そこは夢の詰め合わせ

らい

文字の大きさ
93 / 165
イバラ

84.塔

しおりを挟む
昔、昔のことだ。そこは美しい街だった。
澄んだ空気に透明感のある水が流れる川、自然豊かな森の中に調和するように建てられた建物。太陽が顔を出せば暗い森も活気を取り戻す。その街の真ん中にシンボルのように立って時計塔があった。

ただの時計塔ではなく、大きな鐘が付いており毎日夜と昼の12時に鐘が鳴る。これは必ず鳴らさねばならなかった。
若者が一度鳴らし忘れた時、大勢から責められるくらいにその鐘の音は人々にとって大切な物だった。

しかしどんな古い文献にもその鐘の事は多くは書かれていない。ただ街が出来た時にはもう鐘と時計塔はあったのだ。


    ある夜 塔 その屋根に

「なんだ・・・あれは・・・!」

一人の若者が時計塔を指さした事から始まった。そこには三角錐の屋根に巻き付くようにして人ならざるものが居た。そして人々は理解した。鐘と時計塔はかの怪物が建て、作ったのだと。

━━━━━━━そこからは蹂躙だった。

見るも無残な街並みとなってしまったその街はある年を境に地図から消えた。人知れず、そしてその森は管理する人が居なくなってしまったため、荒れに荒れた。

いつしか錆れたその街は時計塔を残して消えた。文字通りのだ。何も瓦礫があった訳でもない。砂となった訳でもない。何もそこには無かったかのように消えたのだ。

「LaーーLaーーー!」

時計塔の上で、朽ちた塔の上で彼女は一人。
一人で歌う。綺麗であるが憎悪の声、怨嗟と憎悪の声は聞く人の恐怖を煽る。

一見は綺麗な女性なのだ。しかしなにか違う。その目は何も見ていない。『無』である
その目はさながら「蛇睨み」
蛇に睨まれた蛙は動けなくなるように、ただ獲物を狩るだけの何か。それがそこに居た
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

まなの秘密日記

到冠
大衆娯楽
胸の大きな〇学生の一日を描いた物語です。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...