そこは夢の詰め合わせ

らい

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紫蘭ママ

93.一面の不吉

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「これは僕が見た、下半身が蛇のような姿の女性の話だ。」

真夜中、月明かりに照らされたそこは一面紫の世界。花吹雪により地面だけでなく空も紫に染まる。そんな紫の空間を作りしだしているのは「紫蘭しらん」という花である。そこにたった一人。彼女はそんな花を持って月に掲げる。紫が白い月の光に照らされて輝く。

紫蘭の花言葉のひとつにこんなのがある。

「美しい姿」

それはおそらく何も知らない人からすればそう見れるだろう。なんとも美しく綺麗な姿。

彼女紫蘭である。彼女はずっと紫の花に紛れて紫の彼女は哀しい顔をする。
紫蘭の花弁をひとつひとつ取りながら、夜空を見上げる。

「また・・・・」

それだけ言うと岩の上で下半身を蛇のような姿に変えた。その下半身は美しく綺麗な鱗でおおわれ、薄い緑色がかかった青。そんな姿をした彼女は紫の地面に降り立つ。

紫の花びらが空中を舞う。
巻き上がった花びらは重力に逆らうように空へ飛び、重力に習ってゆっくりと落ち始める。しかしその一瞬、花びらが落ち始める前に彼女はこちらを見た。

僕はその時「死」を覚悟した。蛇睨みのような体がすくみ、動けなくなった。その時、僕は一面に咲いていた紫蘭の花言葉をひとつ思い出した。不吉な花言葉として有名だからだ。

紫蘭の花言葉のひとつ

「不吉な予感」

僕が逃げようともがいているのを見て嘲笑うように彼女は僕に近づいた。しかし、何かを思う素振りを見せて、花畑の奥へと消えた。

そして僕はその時ハッとした。彼女の通った道は驚く程に酷い毒のようなもので地面が溶けていた。人にそんなものに勝てるものなどない。人は道具が無ければ生きていけない。人はだからそんな怪物を、強き怪物を忌み嫌う。

忌み嫌うもののたとえ。それを人は「蛇蝎」という。
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