そこは夢の詰め合わせ

あいる

115.手を伸ばしたショーウィンドウ

天窓のようなショーウィンドウが道に面している。その中に綺麗な青い服を着た人形が居た。綺麗な青い服を着ていた。

目の前の道は石畳が敷かれ、雪が少し積もっていた。その石畳から青い服を着た人形を見つめる中学生くらいの女性が居た。

赤色のマフラーを巻き、緑色のニット帽をつけた彼女は青色の人形に惹かれた。

「この人形。欲しいなぁ・・・でも高いなぁ・・・」

中学生には高い高い値段。しかしそれは彼女人形を諦める理由にはならない。

「待ってて。絶対私が買うから。」

中学生はそれから家族の手伝いを健気に頑張った。そしてようやく買えるだけのお金を集めた。

「ようやく！これで買える・・・」

走って走ってショーウィンドウがあるあの店に走る。そのショーウィンドウには変わらず青い服を着た人形があった。

「すいません！この青い人形ください！」

店主がそっとショーウィンドウを開けその人形を取る。その人形をずっと前からしか見ていなかったが初めて後ろからの姿を見た。

「あぁやっぱり・・・貴女は綺麗！」

お金を払い、自分の部屋に飾った。
説明書には着せ替え人形と書いてあった。

「でも私は青い服が良いな」

彼女は自分の部屋の一番目が届く場所に青い人形を置いた。

『貴女は私をどう着飾ってくれるの？』

そう聞こえた気がした。
それは絶対に空耳では無かった。

彼女人形の服は薄い水色のような服を着ていた。
しかし彼女が着せた服は空に輝く星のような薄いけれど明るく深い青色。

「天を束ねたあの天の川のような青色の人形」

説明書の最後にはそう書いてあった。