二次創作小説

らい

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天乃

君がいた夏は白昼夢の中へ

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陽炎が夏の暑さを際立たせる。
お世辞にも都会とは言えない畑道。
近くに見える山も。
見捨てられた廃家や店があるそんな村。
別段人が少ない訳でもない。
しかし、その村は少しだけ不気味だった。

それが何故なのか。
明確に分かる噂も姿形も無い。
ただ、何かが恐ろしくて。
何か言葉では言えない何かがまとわりついていた。

「早く行こー!」

そんな村の夏祭り。
丘の上にある神社での夏祭り。

「足速いよ~!」

一人は天乃あまの芥太あくた
もう一人はその友達と言った所だろう。
浴衣で着飾り、石段を登る。
提灯が風に揺られ、太鼓の音が鳴り響く。

いちご飴に射的に金魚すくい。
焼きそば、わたあめにかき氷。

数々の屋台が並ぶ。
太鼓の音に狐の面。
村の皆は必ず狐。
お狐様のお面が此方を見る。

「次はどこを回ろうか?」

そんなお狐様の面を顔にかけながら。
彼女は屋台をくるくる回る。

お狐様もくるくる回る。
お狐様も屋台を周り。
お狐様も腹満たす。

お狐様は何食べる。
お狐様は何食べた?
楽しい気持ちか?タマシイか?

村の皆がバタバタ倒れ。
太鼓の音も笑い声も。
全部消えた。

その中くるくる独りだけ。
天乃芥太、一人だけ。
くるくる、くるくる回る。
地に伏せた友達に目もくれず。
空中の何かをぱくり。

美味しく美味しく頂いて。
彼女の身体は陽炎に消える。
揺らりとぐにゃりとぱっくり消えた。

これがこの村の陽炎に。
何も知らない村人は。
またまた朝に目を覚ます。
何も知らない村人は。
隣人が別人に変わっても何も疑わない。
何故ならお狐様の陽炎なので。

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