二次創作小説

らい

文字の大きさ
上 下
19 / 30
ハジメ

夢にまで見た天空

しおりを挟む
ずっと私は窓から外を見ていた。
美しく青い空を飛ぶ。
私もあんなふうに、風に乗りたいな。

私は人に飼われていた。
なぜ過去形なのか。
逃げ出したからだよ。

私はこの広い世界になら、私が空を飛べるかもしれないと信じているから。
私もあの空を飛んでみたいと思ってしまったから。

「自由って・・・楽しい!」

とても楽しかった。
どこまでも広く続く野原を走っていた。
息切れも疲れた足もなんのその。
楽しいから走るのだ。美しいこの世界を。

その足を止めた時私は『翼』に出逢った。
ずっとあの窓際から見ていた真っ黒な翼。

所々傷ついていて、それでも力強く。
しかしその姿は掴み所が無い水蒸気や煙のような。

私はそれに目を引かれた。
私にはこの手足しかない。
しかしそれには翼があるから。
翼という未知に触れてみたかったから。

そっと、そっと近づいた。
届かない所へ行ってしまわないように。
天空は私には無縁の世界。
それからしたら大地は無縁の世界。

二つの世界がそこだけ交わった。
私が手を伸ばした。
それは私に気がついて少し離れたけれど。
少し心を開いてくれた。


これは遠い遠い昔の話。
今、私は翼と共にある。
私は飛べないけれど、私は翼と共にあるから。
私の夢見た空はここにあったんだ。
しおりを挟む

処理中です...