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くもり
夕日が見える踏切で
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カタンカタン・・・カタンカタン・・・
いつも見るだけだった特になんの変哲もない踏切。
私はいつものように二人で通るだけだった踏切。
私はこの踏切の景色が好きだ。
二人で夕焼けへの道が開けるように遮断管が上がるこの景色が好きだ。
遮断管が降り軋む音、いつものあの音も。
ずっとずっと聴いてきた。
もちろん、電車が通り過ぎる音も。
でも一番好きなのは、遮断管が上に消えて夕日が綺麗に見える時。
影がぐんと伸びるんだ。その影が伸びる瞬間が大好きなんだ。
ただずっとずっと、伸びる影は一つだけなんだ。
たった一つ。二人で帰るのに影は一つだけ。
私は何も気にしなかった。
何も。なにも。気にしなかった。
「今日は暑いね・・・」
7月30日、午後16時。
蒸し暑い日の事だった。
いつものように学校から帰る。
いつものように。これまでのように。
16時3分。いつも電車がここを通る。
いつものように通り過ぎる風を待っていた。
「あれ・・・遮断管折れてる・・・」
何か自然的に折れた物ではなく、刃物のような鋭いもので叩き切られたような。断面。
「まぁいつか直るでしょ!ね!」
隣にいる子に話しかける。
彼女はこくんと頷くだけ。
少し笑っていたけれど。
右側から勢い良く、風が走ってくる。
いつものように踏切で待っていた。
風が通り過ぎる少し前。
背中から強い力で押される。
ふわっとした浮遊感が私を襲う。
はっと止まった時、そこにはいつも横から見ていた電車が目の前にあった。ずっと見てきた電車が長く、長く。いつの間にか目の前に。
いつの間にかそれは私の身体に。
ゆっくり、壁が迫ってくるように。
『ドン』という音が重く響く。
赤い赤い液体が周りに広がる。
私が最後に見た景色は、影がない私の友達が恐ろしく笑った顔だった。
それはそれは恐ろしくつり上がった口角だった。
それを最後に私は命を手放した。
私の意志とは違うのに。
いつも見るだけだった特になんの変哲もない踏切。
私はいつものように二人で通るだけだった踏切。
私はこの踏切の景色が好きだ。
二人で夕焼けへの道が開けるように遮断管が上がるこの景色が好きだ。
遮断管が降り軋む音、いつものあの音も。
ずっとずっと聴いてきた。
もちろん、電車が通り過ぎる音も。
でも一番好きなのは、遮断管が上に消えて夕日が綺麗に見える時。
影がぐんと伸びるんだ。その影が伸びる瞬間が大好きなんだ。
ただずっとずっと、伸びる影は一つだけなんだ。
たった一つ。二人で帰るのに影は一つだけ。
私は何も気にしなかった。
何も。なにも。気にしなかった。
「今日は暑いね・・・」
7月30日、午後16時。
蒸し暑い日の事だった。
いつものように学校から帰る。
いつものように。これまでのように。
16時3分。いつも電車がここを通る。
いつものように通り過ぎる風を待っていた。
「あれ・・・遮断管折れてる・・・」
何か自然的に折れた物ではなく、刃物のような鋭いもので叩き切られたような。断面。
「まぁいつか直るでしょ!ね!」
隣にいる子に話しかける。
彼女はこくんと頷くだけ。
少し笑っていたけれど。
右側から勢い良く、風が走ってくる。
いつものように踏切で待っていた。
風が通り過ぎる少し前。
背中から強い力で押される。
ふわっとした浮遊感が私を襲う。
はっと止まった時、そこにはいつも横から見ていた電車が目の前にあった。ずっと見てきた電車が長く、長く。いつの間にか目の前に。
いつの間にかそれは私の身体に。
ゆっくり、壁が迫ってくるように。
『ドン』という音が重く響く。
赤い赤い液体が周りに広がる。
私が最後に見た景色は、影がない私の友達が恐ろしく笑った顔だった。
それはそれは恐ろしくつり上がった口角だった。
それを最後に私は命を手放した。
私の意志とは違うのに。
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