二次創作小説

らい

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狐谷

西洋の夜と東洋の妖怪

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クリスマスと言うらしい。
木々に灯りを灯し、飾り付けをする人間達を見ていた。
小生にそれは分からぬ。
西洋の伝統がいつの間にかこの地でも行われるようになったようだ。

「折角だから楽しんでみようかね」

小生はあまり格好こそ合わないだろう。
小生を表すのは少し・・・難しい。
昔、小生が見えた人間様が居た。
人間様は小生を現そうとしていた。

『可愛くてグロテスク、無邪気の中に妖艶があり、艶やかだがおぞましい。優雅だが凄まじく。』

そう言っていたが現せているのだろうか。

和服をくずした洋服で身を包み、人間には無い大きな耳を頭に生やす。
爪は長く、二メートルはある大きな身体。

ビルの屋上から煙草をふかして下を見る。
灯りは妙に眩しくいつもより明るい。
昨日と同じような夜なのに。
幾つも過ごしたよると同じような夜な筈なのに。
人間達は今日という日を待ちわびたように満面に笑う。

強いてというか普通にその気持ちはよく分からない。
同じ夜だろう?
西洋の伝説だろうがなんだろうが同じ夜だろう。

何度目か分からない煙草をふかして煙を吐き出す。
ここはビルの屋上。
暗い夜空と明るい地上の境目のような場所。
小生も人間と化け物の間にいるようなもの。

東洋の国に生まれいでた小生はいくつもの時代を超えてきた。

血と怒号、光る刀が落ちる戦乱の時代。
煉瓦を叩く革靴と文明の進む機械の音。
スーツと薄い携帯が普及したここ数十年。

それでもやはりこの夜は慣れぬ。
いつの間にかこの夜は伝統のようなものになっていた。

赤い服。鹿のような動物。袋。贈り物。
毎年見るが中々面白い。

「小生にも贈り物は届くしね」

祀られる神社に捧げ物が幾つも届くこの夜は最近の楽しみでもあるものさ。

油揚げをひとつ摘んで口に放り込む。
それからまた煙草に火をつけてみる。

ふぅっと吐き出す煙は灯りに消えるが夜が呑み込む。

突然後ろの扉が開き、警備員のような男が怒鳴り込む。

「いつの間に入り込んだんだ!降りるんだ!」

どうやら人間と思われているようだ。
灯りはあまり無いし仕方の無いことだ。
しかしいい気分ではない。

「それは失敬。」

煙を残して屋上から消え失せる。

さんた?とやらが空を走るなら。
小生は空を跳んで見せよう。
大きな灯りはないけれど。
贈り物もないけれど。
人の世は面白いものだから。

「メリークリスマスさ」

月に消える大妖怪は。
あれよあれよとゆめうつつ。
見つけた人間いたのだろうか?
見た人間は幸運だろう。

「それでは失敬。またコンど。」

夢のような夜を過ごそう。
夢が覚めるも良いだろう。
何時でも小生は待っているよ。
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