二次創作小説

らい

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siki

崩れた神が恋しき小さなロウソク

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初めて知った。
どのくらい生きて、どのくらい時が経ったのか。
神であるから故、生きてるというのも怪しい所ではある。

しかしながら。私が生まれた日も何も覚えていない。
それでも今の仲間達は。
出会った日を誕生日というものにした。

誕生日というもの。
私はこれまで嫌でも目にしたもの。
毎日毎日、誰かしら生クリームに刺さったロウソクの炎を吹き消す。

一年中どこかで行われるそれ。
貧しい道端の子供でも。
裕福な王国の皇族でも。
一般的で普通の家族も。
どこでも同じこと。
言語は違えど同じことを歌い。
同じことを言う。

「お誕生日おめでとう」と。

私にはそれが無かった。
私には言ってくれる者がいなかった。
別にそれでも良かった。
私に誕生日という概念はなかったから。

そのはずなのに。
一人増えた。
四つ腕の化け物が。
また一人増えた。
ヒトガタの狐が。
また一人。
赤髪の聖職者が。
また一人。
緑の猫が。

また一人。
また一人と。

私が最初に四つ腕と出会った日を誕生日ということになり。
それが2月の12。
私には特に何もなかった毎日に。
少しだけ楽しみとも言える日ができた。

ただ。私は神だ。
寿命なんてない。おそらく。
彼らよりは長く生きるだろう。
それでも今。

「おめでとう。梓歖」

と。久しく呼ばれなかった名前を呼ばれ。
あれほど鬱陶しかったことを言われ。
こんなにも嬉しいことだったのかと。

「ありがとう。みんな」

あと何年になるかも分からない。
どのくらい言われるかも分からない。
それでも私は今。
今こうして祝われることが。
とても嬉しい。

土地に座る神でも無く。
世界を創る神でも無い。

私は世界にとって名も無き神。
そうかもしれない。
それでも。

今、私は周りに取ってそれが関係ないことだと思う。
ただ誕生日という、突然増えた大切な日を。
この手達で抱きしめて噛み締めるのだ。
それが私にできることであり。
祝うみんなに返せるものだろう。

ふぅ。とロウソクの火を吹き消す。
光を吹消し、暗闇に戻ってしまう。
それでも私の胸は暖かな光に包まれていた。

「「「お誕生日おめでとう!」」」

私の世界にみんなの声がする。
私は少しだけ目尻の赤みを悟らせないように。
頑張って笑うのだ。
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