友だち

矢野 零時

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 次のから、あさちち忠幸ただゆき学校がっこうまでくるまおくり、かえりははは忠幸ただゆきむかえに行っていた。両親りょうしん必死ひっし忠幸ただゆきまもろうとしていたのだが、忠幸ただゆきくらかおをしつづけていた。

 忠幸ただゆきがためいけもうとしたから一週間いちしゅうかんがすぎた。

 テレビをつけていると、夕方ゆうがたのニュースをやっていた。
 女性じょせいのアナウンサーが、ためいけ子供こども死体したいかんでいたことをはなしていた。
 その顔写真かおじゃしんうつしだされた。
 すぐに「ひろしくんだ」と、忠幸ただゆきった。
 ぼくも両親りょうしんひたいにしわをつくって、その写真しゃしんた。
 写真しゃしんおとこは、やさしい表情ひょうじょうかべていて、どこか忠幸ただゆきていた。

 アナウンサーは「名前なまえ山本博やまもとひろしさん、三年前さんねんまえ学校がっこうでいじめにあって、行方不明いくえふめいになっていたのを家族かぞくでさがしつづけていたそうです。警察けいさつはなしでは遺体いたいいけのそこにはえていた樹木じゅもくにからまってしずんでいたのが、樹木じゅもくからはずれてかんできたのではないかと、っております」とはなしていた。

ひろしくんも、ぼくとおなじだったんだ。だから、ぼくがこまっていたのをともだちになりにでてきてくれた。それなのに、いだしてしまった」 
 忠幸ただゆき大声おおごえきだしていた。
わるかったな、忠幸ただゆきともだちは大切たいせつだ。ともだちをつくることは、おとうさんも賛成さんせいだよ」
 そのちちは、ともだちはきているひとにしてくれよなと、おうとしていた。

 だが、ちちが、それをいだすまえに、玄関げんかんでチャイムがなった。
 すると、忠幸ただゆきなみだをぬぐって笑顔えがおになった。
「きっとひろしくんだよ」とって、忠幸ただゆきがり居間いまからでて玄関げんかんかった。

 やがて居間いまちかづいてくる忠幸ただゆきひろしわらごえこえてきた。
馬鹿ばかな、そんなことはあるわけがない」とったちちこえはふるえている。 
 ぼくは、強張こわばったちちははかおつめつづけていた。




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