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9接近開始
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朝になってリチャード王が目をさますと、すぐにカンナはリカードが用意していた薬を飲ませ、体にできた吹き出物に効く薬を塗りに行っていた。
カンナが戻ってきたのを知ると、私はリチャード王の部屋に行き、深呼吸をしてからドアを開けた。私の後ろにリカードが影のようについてくれる。
「リチャード様、お話できそうですか?」と言って近づいてみる。すると、リチャード王はオオカミに変わり口を開けて牙をむき出したのだ。すぐに、私は彼から離れた。リカードの話では、この後一時間ほどしたら、オオカミになった王は人に戻ってくれるそうだ。
今日は、王との距離を2メートルまで近づいて王はオオカミに変わってしまうことがわかった。
次の日には、3メートルまで離れてみたが、それでも、王はオオカミになってしまう。
その後、毎日、10センチづつ距離を伸ばして離れることにした。そして、3メートル60センチ離れれば、王はオオカミにならずに、話をできることを知った。
「リチャード様、私が分かりますか?」
「あ~、わかるさ。ナターシャだろう。話ができるのを待っていたんだよ」
だが、話ができるのは20分しかもたなかったのだ。過ぎればすぐに王はオオカミに変わってしまった。その後、いくら距離を取っても同じことが起きる。それが起きないのは、声がまるで聞こえない距離を取った時だけだった。
やはり、王の呪いを完全に消し去ることを考えなければならない。
そう思った私は、すぐにリカードに、これまで使っていた薬はどんな薬だったのか、改めて聞いてみた。
彼が使っていた薬は、吹き出物を治療する塗り薬が中心で呪いを解く薬にはガマを使っていた。だが、ガマは効目が弱い薬だった。つまり王の体が腐らないようにするための薬だったのだ。
次の日から、私は祖母から貰った生命力を強める薬ポーションと体の中から毒素を出し傷治療を行う軟膏薬ノトを練り合わせた物を王の体に塗ることにした。私は自分で薬を塗れないので、カンナにそれをお願いした。
私が調合をした薬の効き目についてカンナに聞くと吹き出物の数が減り出し、あざのような斑点も消え出していると言っていた。
だが、私が持っている薬も使い続ければ、薬がなくなってしまう。そこで城の庭園の一画を借りて、私はポーションの原料となる薬草とノトの原料なる薬草を作りに専念をすることにした。
たしかに、私の作った薬で、王の体から腐っていく兆候は消えていった。
だが、それは、私の薬をぬり続けている間だけの話だ。薬を塗ることをやめたとたん、王の体は吹き出物が増え出しやがて腐り出してしまう。
やはり、根本的に呪いを解く方法を見つけなければならない。
そう思った私は、改めてリカードに相談をしたのだった。
「私も、ナターシャ様が望んでいるようにしたくて、魔術と呪いについて調べてみましたよ。まず呪われないためには、ジュエリー(宝石)を持って、その霊的な力を借りる方法がある。そこで、戦いの場に立つ者たちに宝石の中でも一番力があるクリスタルを持たせています。だが、強い呪いがかけられた場合には、クリスタルでも押さえることができない。やはり、事後になりますが薬草の力で消し去るしかないようですよ」
「完全に消し去るそんな薬はどこに行けば、手に入るのかしら?」
「そうですな。それができるとすれば、泥棒市場ですよ」
「泥棒市場?」
「この辺境の地の街道ぞいに、月に一度開かれる市場です。盗んだ物などは普通の市場で売ると、国の役人に通報されてしまいます。だから、非公式なその市場では売り買いが行われる。そこならば、呪いに関わる物や魔女の道具や占いの道具、魔法の薬なんかも売っているんですよ」
ちなみに、街道というのは、国と国のとの間を行き来して物を売り買いする商人たちの要望を受けて、また手紙等のやり取りをできるようにするため、国同士が協力をして建設をしたものであった。その建設の際には、商人たちから多額の寄付をもらっていた。
「それじゃ、すぐそこに私を連れて行ってください」
「お連れするのはいいですよ。私も泥棒市場に何度か行ってはいるが、いまだにアンのかけた呪いすべてを解ける物を見つけることができないでおります」
「でも、そこでクリスタルを手に入れたんですよね」
「そうです。まず、王を腐らせようとしている呪いを解くのが先だと、いまは考えているんですよ。私が作った薬を飲んだり塗ったりしていただいておりましたが、抑えきれずいて、少しづつ王の体を弱わせてしまっていた。しかし、ナターシャ様が作ってくれた薬のおかげでよくなっている」
「ともかく、私を一度そこへ連れて行ってください。人の目が変われば、また違うことが見えてくるかもしれません」
「そうですな。それでは今月の末に開かれる泥棒市場にお連れしますよ」と、リカードは言っていた。
カンナが戻ってきたのを知ると、私はリチャード王の部屋に行き、深呼吸をしてからドアを開けた。私の後ろにリカードが影のようについてくれる。
「リチャード様、お話できそうですか?」と言って近づいてみる。すると、リチャード王はオオカミに変わり口を開けて牙をむき出したのだ。すぐに、私は彼から離れた。リカードの話では、この後一時間ほどしたら、オオカミになった王は人に戻ってくれるそうだ。
今日は、王との距離を2メートルまで近づいて王はオオカミに変わってしまうことがわかった。
次の日には、3メートルまで離れてみたが、それでも、王はオオカミになってしまう。
その後、毎日、10センチづつ距離を伸ばして離れることにした。そして、3メートル60センチ離れれば、王はオオカミにならずに、話をできることを知った。
「リチャード様、私が分かりますか?」
「あ~、わかるさ。ナターシャだろう。話ができるのを待っていたんだよ」
だが、話ができるのは20分しかもたなかったのだ。過ぎればすぐに王はオオカミに変わってしまった。その後、いくら距離を取っても同じことが起きる。それが起きないのは、声がまるで聞こえない距離を取った時だけだった。
やはり、王の呪いを完全に消し去ることを考えなければならない。
そう思った私は、すぐにリカードに、これまで使っていた薬はどんな薬だったのか、改めて聞いてみた。
彼が使っていた薬は、吹き出物を治療する塗り薬が中心で呪いを解く薬にはガマを使っていた。だが、ガマは効目が弱い薬だった。つまり王の体が腐らないようにするための薬だったのだ。
次の日から、私は祖母から貰った生命力を強める薬ポーションと体の中から毒素を出し傷治療を行う軟膏薬ノトを練り合わせた物を王の体に塗ることにした。私は自分で薬を塗れないので、カンナにそれをお願いした。
私が調合をした薬の効き目についてカンナに聞くと吹き出物の数が減り出し、あざのような斑点も消え出していると言っていた。
だが、私が持っている薬も使い続ければ、薬がなくなってしまう。そこで城の庭園の一画を借りて、私はポーションの原料となる薬草とノトの原料なる薬草を作りに専念をすることにした。
たしかに、私の作った薬で、王の体から腐っていく兆候は消えていった。
だが、それは、私の薬をぬり続けている間だけの話だ。薬を塗ることをやめたとたん、王の体は吹き出物が増え出しやがて腐り出してしまう。
やはり、根本的に呪いを解く方法を見つけなければならない。
そう思った私は、改めてリカードに相談をしたのだった。
「私も、ナターシャ様が望んでいるようにしたくて、魔術と呪いについて調べてみましたよ。まず呪われないためには、ジュエリー(宝石)を持って、その霊的な力を借りる方法がある。そこで、戦いの場に立つ者たちに宝石の中でも一番力があるクリスタルを持たせています。だが、強い呪いがかけられた場合には、クリスタルでも押さえることができない。やはり、事後になりますが薬草の力で消し去るしかないようですよ」
「完全に消し去るそんな薬はどこに行けば、手に入るのかしら?」
「そうですな。それができるとすれば、泥棒市場ですよ」
「泥棒市場?」
「この辺境の地の街道ぞいに、月に一度開かれる市場です。盗んだ物などは普通の市場で売ると、国の役人に通報されてしまいます。だから、非公式なその市場では売り買いが行われる。そこならば、呪いに関わる物や魔女の道具や占いの道具、魔法の薬なんかも売っているんですよ」
ちなみに、街道というのは、国と国のとの間を行き来して物を売り買いする商人たちの要望を受けて、また手紙等のやり取りをできるようにするため、国同士が協力をして建設をしたものであった。その建設の際には、商人たちから多額の寄付をもらっていた。
「それじゃ、すぐそこに私を連れて行ってください」
「お連れするのはいいですよ。私も泥棒市場に何度か行ってはいるが、いまだにアンのかけた呪いすべてを解ける物を見つけることができないでおります」
「でも、そこでクリスタルを手に入れたんですよね」
「そうです。まず、王を腐らせようとしている呪いを解くのが先だと、いまは考えているんですよ。私が作った薬を飲んだり塗ったりしていただいておりましたが、抑えきれずいて、少しづつ王の体を弱わせてしまっていた。しかし、ナターシャ様が作ってくれた薬のおかげでよくなっている」
「ともかく、私を一度そこへ連れて行ってください。人の目が変われば、また違うことが見えてくるかもしれません」
「そうですな。それでは今月の末に開かれる泥棒市場にお連れしますよ」と、リカードは言っていた。
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