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25風雲
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私たちは竜山からおり馬に乗って城に向かっていた。
「あっ」と、ルイズが声をあげた。ルイズの見ている方に私も目を向けた。
五剣山の頂の一つ、鶴山から黙々と黒い煙があがっていた。
「いったい、何が起きたのかしら?」
「思っていた通りのことが起きたな。火がつけられたんだ」と、リチャード王が指さした所はイバラの森。焼けて黒くなり所々に火がついて赤くなっていた。
後で鶴山で警護をしていた兵士たちに聞くことになるのだが、弓でイバラに火をつける前に、ゴマ油が入った袋を矢につけて飛ばし、イバラの森を油だらけにしてから、火のついた矢を放っていたのだ。その矢を放ったのは、岩崖まで矢を飛ばせる魔将軍ヤガラに違いなかった。
「ゾンド国が本気で私らを相手にし出した証拠だ。自分の力をそぐ月のしずくをまず無くしたかっている。私らが城で持っている薬草をも無くしてしまう気でいるのだろう」
王は先に立ち、後ろついている私らの方を顔を向けた。
「次に狙うとすれば、城の中にある薬草庭園だな。すぐに城に帰るぞ」
王は鞭を振って、馬の尻をたたくと、馬を走らせ出していた。私たちも鞭をふって、王の後を追った。
半時もすると、王たち一行は城に戻ってきた。
王が門番に声をかけると、すぐに城門は開いた。
薬草を育成管理をしてきたのは私だ。侍女たちに命じて、少し早いが青い薬草を刈らせていた。薬草を刈り取って干しておけば、煮詰めたり、すりつぶして薬にすることができる。つまり、薬の原料を確保したことになるからだ。その作業をしているとサブが現れた。手に大きなバスケットをさげていた。
「ナターシャ様。昼もとらずに、働くのはよくないですよ」
「でも、これを早く終えてしまいたいの」
「これから、さらに忙しくなるはずですよ。いろんな食材を入れたサンドイッチをお持ちいたしました。いっしょに働いている方の分もあります。どうぞ、お召し上がりください」
そう言ったサブは私ばかりでなく侍女たちの分の手拭きも用意してきて配っていた。そんなサブを見ていると、私も微笑んでしまう。渡されたサンドイッチをほおばると、確かに体に力がみなぎってくるのを覚えた。
「リチャード王様や騎士の方にもすでにお持ちしておりますので、ご安心ください」
私がうなずくと、サブはまだサンドイッチが残っているバスケットを置いて調理場に戻って行った。
この後、薬草の根が付いた物をいくつかを鉢に入れて宮殿の部屋に運ばせた。これで薬草庭園を襲って焼きはられることがあっても、とっておいた薬草をつかって薬草庭園を復元することができる。また、夜には侍女たちが交代で薬草庭園を見張ることにした。
王は、城の警護を高めるために、塀の上には槍の先のようにとがった金属を取り付けて並べさせた。これで、塀の高さが5メートルになって、人が塀を乗り越えてくることができなくした。
夕刻、早馬で伝令がやってきた。伝令は、ライズ王国の警護隊長ゾラだった。それも、私の所にきてくれたのだ。
「どうかしたのですか?」
「ナターシャ様、どうしてもすぐにお伝えしておかないことがありまして」
「なんですか、それは?」
「ゾンド国の使者がやってきて、ライズ王国の親交国になったのでございます。仲立ちをしたのは、ガンジ侯爵でございますよ」
「えt、本当ですか?」
すぐに、私はゾラを連れて、王の間に行った。そして、先ほど私に言ったことと同じことをリチャード王にも言ってもらった。
「なに、それは誠か?」
「はい、本当のことでございます」
「信じられんな!」
さすがに、リチャード王も顔を青ざめていた。ライズ王国がゾンド国と結びつくことなど絶対にありないと思っていたからだ。
ともかく、ゾラには、一晩客間にとまってもらい、その間、馬も休ませてやった。
その晩、リチャード王は、寝ないで考え続けていた。
そして、朝が来ると、王みずからが騎士隊長ロバートを連れて、ポーマル国に向かったのだ。
ポーマル国では、スノール王が出てきて、「もし、あなたの国がゾンド国にやぶれれば、次は私たちの国が狙われるでしょう。ここは、レンズ王国と敵対をしておりますエリア王国にも協力を呼びかけて、すぐにでも同盟を結んでおきましょう」と言ってくれた。
「お願いできますか?」
「そのためには、金貨を2千枚を用意できますか?」
「それならば、同額になる。金の延べ棒をご用意いたしましょう」
「ならば、私たちの兵を同行させましょう。運ぶ最中に、盗られることがあると困りますのでな。彼らに案内をさせますので、エリア王国に直接運んでください。その間、私どもも、先にエリア王国に行って話をつけておきますよ」
すぐにリチャード王とロバートはポーマル国の兵士10人を連れて自国に戻り、リチャード王はリカードに金の延べ棒を集めさせた。リカードは金細工を作っている商店を駆け回り、金の延べ棒を集め出していた。
明け方には金の延べ棒25本を二台の荷馬車にのせることができた。王とポーマル国の兵士たちは荷馬車とともに馬を走らせ、昼過ぎにはエリア王国についていた。
エリア王国のグロス王は笑顔でリチャード王を迎え、大広間に案内をしてくれた。すでに、スノール王が東洋風な装飾を施されたテーブルを前にした椅子にすわっていた。リチャード王も置かれていた椅子に腰をおろすと、グロス王が話し出した。
「レンズ王国がゾンド国と手を結ぶことなど無いように思われるかもしれませんが、そうなった背景があるんですよ。それはレンズ王国が、近隣の国に協力金と言う名目で、多額の税をかけ出して反感をかっているからですよ。それを押さえるために、少しでも仲間が欲しくなった」
「なるほど、そういうことですか」とリチャード王はうなずいていた。
その後、三国の王たちによって話し合いが行われ、ここに、カルゾ国、ポーマル国、そしてエリア王国による三国同盟が結ばれた。
だが、このことはレンズ王国にもゾンド国にも知られていないことだった。
「あっ」と、ルイズが声をあげた。ルイズの見ている方に私も目を向けた。
五剣山の頂の一つ、鶴山から黙々と黒い煙があがっていた。
「いったい、何が起きたのかしら?」
「思っていた通りのことが起きたな。火がつけられたんだ」と、リチャード王が指さした所はイバラの森。焼けて黒くなり所々に火がついて赤くなっていた。
後で鶴山で警護をしていた兵士たちに聞くことになるのだが、弓でイバラに火をつける前に、ゴマ油が入った袋を矢につけて飛ばし、イバラの森を油だらけにしてから、火のついた矢を放っていたのだ。その矢を放ったのは、岩崖まで矢を飛ばせる魔将軍ヤガラに違いなかった。
「ゾンド国が本気で私らを相手にし出した証拠だ。自分の力をそぐ月のしずくをまず無くしたかっている。私らが城で持っている薬草をも無くしてしまう気でいるのだろう」
王は先に立ち、後ろついている私らの方を顔を向けた。
「次に狙うとすれば、城の中にある薬草庭園だな。すぐに城に帰るぞ」
王は鞭を振って、馬の尻をたたくと、馬を走らせ出していた。私たちも鞭をふって、王の後を追った。
半時もすると、王たち一行は城に戻ってきた。
王が門番に声をかけると、すぐに城門は開いた。
薬草を育成管理をしてきたのは私だ。侍女たちに命じて、少し早いが青い薬草を刈らせていた。薬草を刈り取って干しておけば、煮詰めたり、すりつぶして薬にすることができる。つまり、薬の原料を確保したことになるからだ。その作業をしているとサブが現れた。手に大きなバスケットをさげていた。
「ナターシャ様。昼もとらずに、働くのはよくないですよ」
「でも、これを早く終えてしまいたいの」
「これから、さらに忙しくなるはずですよ。いろんな食材を入れたサンドイッチをお持ちいたしました。いっしょに働いている方の分もあります。どうぞ、お召し上がりください」
そう言ったサブは私ばかりでなく侍女たちの分の手拭きも用意してきて配っていた。そんなサブを見ていると、私も微笑んでしまう。渡されたサンドイッチをほおばると、確かに体に力がみなぎってくるのを覚えた。
「リチャード王様や騎士の方にもすでにお持ちしておりますので、ご安心ください」
私がうなずくと、サブはまだサンドイッチが残っているバスケットを置いて調理場に戻って行った。
この後、薬草の根が付いた物をいくつかを鉢に入れて宮殿の部屋に運ばせた。これで薬草庭園を襲って焼きはられることがあっても、とっておいた薬草をつかって薬草庭園を復元することができる。また、夜には侍女たちが交代で薬草庭園を見張ることにした。
王は、城の警護を高めるために、塀の上には槍の先のようにとがった金属を取り付けて並べさせた。これで、塀の高さが5メートルになって、人が塀を乗り越えてくることができなくした。
夕刻、早馬で伝令がやってきた。伝令は、ライズ王国の警護隊長ゾラだった。それも、私の所にきてくれたのだ。
「どうかしたのですか?」
「ナターシャ様、どうしてもすぐにお伝えしておかないことがありまして」
「なんですか、それは?」
「ゾンド国の使者がやってきて、ライズ王国の親交国になったのでございます。仲立ちをしたのは、ガンジ侯爵でございますよ」
「えt、本当ですか?」
すぐに、私はゾラを連れて、王の間に行った。そして、先ほど私に言ったことと同じことをリチャード王にも言ってもらった。
「なに、それは誠か?」
「はい、本当のことでございます」
「信じられんな!」
さすがに、リチャード王も顔を青ざめていた。ライズ王国がゾンド国と結びつくことなど絶対にありないと思っていたからだ。
ともかく、ゾラには、一晩客間にとまってもらい、その間、馬も休ませてやった。
その晩、リチャード王は、寝ないで考え続けていた。
そして、朝が来ると、王みずからが騎士隊長ロバートを連れて、ポーマル国に向かったのだ。
ポーマル国では、スノール王が出てきて、「もし、あなたの国がゾンド国にやぶれれば、次は私たちの国が狙われるでしょう。ここは、レンズ王国と敵対をしておりますエリア王国にも協力を呼びかけて、すぐにでも同盟を結んでおきましょう」と言ってくれた。
「お願いできますか?」
「そのためには、金貨を2千枚を用意できますか?」
「それならば、同額になる。金の延べ棒をご用意いたしましょう」
「ならば、私たちの兵を同行させましょう。運ぶ最中に、盗られることがあると困りますのでな。彼らに案内をさせますので、エリア王国に直接運んでください。その間、私どもも、先にエリア王国に行って話をつけておきますよ」
すぐにリチャード王とロバートはポーマル国の兵士10人を連れて自国に戻り、リチャード王はリカードに金の延べ棒を集めさせた。リカードは金細工を作っている商店を駆け回り、金の延べ棒を集め出していた。
明け方には金の延べ棒25本を二台の荷馬車にのせることができた。王とポーマル国の兵士たちは荷馬車とともに馬を走らせ、昼過ぎにはエリア王国についていた。
エリア王国のグロス王は笑顔でリチャード王を迎え、大広間に案内をしてくれた。すでに、スノール王が東洋風な装飾を施されたテーブルを前にした椅子にすわっていた。リチャード王も置かれていた椅子に腰をおろすと、グロス王が話し出した。
「レンズ王国がゾンド国と手を結ぶことなど無いように思われるかもしれませんが、そうなった背景があるんですよ。それはレンズ王国が、近隣の国に協力金と言う名目で、多額の税をかけ出して反感をかっているからですよ。それを押さえるために、少しでも仲間が欲しくなった」
「なるほど、そういうことですか」とリチャード王はうなずいていた。
その後、三国の王たちによって話し合いが行われ、ここに、カルゾ国、ポーマル国、そしてエリア王国による三国同盟が結ばれた。
だが、このことはレンズ王国にもゾンド国にも知られていないことだった。
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