1 / 9
1悪夢
しおりを挟む
間違いなく、俺は夢の中にいた。
それは本当に起きた出来事の記憶から始まった。
俺は池の中に落ちた。すると、何が白いウナギの様な生き物が動いてきて、すでに傷ついていた腹にくい込んできだのだ。強い痛みで俺は気を失っていた。
しばらくすると、俺の周りは暗い夜空に変わり、たくさんの星々に囲まれていたのだ。それも、見えないはずの真後ろの夜空までもが見えていた。人間である俺が同時に360度の光景を同時に見ることなどできるはずがない。俺は思わず、誰が見ているだろうと頭を廻した。
まるで、大きな窓から外を見るように立っている白い物が見え出したのだ。それは塑像のようにも見え、俺は前に廻り込み、貌をみた。白い顔は笑っていた。だが、眼はただの丸い点でしかなく、笑っている口の中の歯はすべて鋭くとがっていた。
俺は出て行けとこの白い物に向かって言い、医者に相談をしてでも、この白い物から逃れなければならないと思った。すると、白い塑像は溶けて樹液のようになって俺に抱きついてきたのだ。
一緒になったのだ。別になったら、もう生きていることなどできんぞ。
白い物は、俺に向かってそう言った。
途端に、夜空の星は流れ出した。白い物は宇宙を飛んでいたのだ。やがて、一つの星が見えだした。それに、どんどんと近づいて行く。地球だ。さらに周りの風景が変わり出していった。やがてビルが立ち並ぶ街並みに変わった。それは東京の街並み、俺の世界に帰ってきた。
そう思った途端、俺は目覚めていた。
はじかれたようにベッドで上体を起こした。背にも胸にも水を浴びたように汗をかいていた。俺はバスルームに行き、パジャマを脱いで洗濯機に投げ入れ、バスタオルをとるとそれで体を拭いた。
窓から朝日が入ってきていた。洗面台の鏡を前に歯をみがいた。口の中に歯ブラシを入れているだけで空腹を覚えた。俺の空腹感は強烈だった。そう俺一人の食欲でなくなったからだ。俺は、俺に寄生した者、寄生体に必要な栄養分までも食べなければならなくなったのだ。
俺は家を出ると、カフェケルンに行った。
大友警察署に出勤する前による所だ。いつも座る場所に俺はすわった。そこは、目立たずに店の中にいることができる場所だった。やがて、ウエイトレスの前野勝代が近づいてきた。年齢は四十を超えて小太りだが、動きは機敏だった。
「いつものようにステーキの肉を用意はしてあるわよ」
「レアでいいから250グラムを二枚頼むよ。ライスはつけてくれ」
「でも、大丈夫なの?」と、勝代は心配をしてくれる。俺は刑事だが安月給取りにしか過ぎないからだ。それなのに、毎日ステーキの朝食をとり二千円近い金額を支払っている。だが、店としてはこんないい客はいないはずだ。
「まあ、しかたがないさ」と俺は諦めの言葉を口にする。
「ふ~ん」と、鼻を鳴らし、勝代は調理場のカウンターに注文票の伝票を置きに戻っていった。
それは本当に起きた出来事の記憶から始まった。
俺は池の中に落ちた。すると、何が白いウナギの様な生き物が動いてきて、すでに傷ついていた腹にくい込んできだのだ。強い痛みで俺は気を失っていた。
しばらくすると、俺の周りは暗い夜空に変わり、たくさんの星々に囲まれていたのだ。それも、見えないはずの真後ろの夜空までもが見えていた。人間である俺が同時に360度の光景を同時に見ることなどできるはずがない。俺は思わず、誰が見ているだろうと頭を廻した。
まるで、大きな窓から外を見るように立っている白い物が見え出したのだ。それは塑像のようにも見え、俺は前に廻り込み、貌をみた。白い顔は笑っていた。だが、眼はただの丸い点でしかなく、笑っている口の中の歯はすべて鋭くとがっていた。
俺は出て行けとこの白い物に向かって言い、医者に相談をしてでも、この白い物から逃れなければならないと思った。すると、白い塑像は溶けて樹液のようになって俺に抱きついてきたのだ。
一緒になったのだ。別になったら、もう生きていることなどできんぞ。
白い物は、俺に向かってそう言った。
途端に、夜空の星は流れ出した。白い物は宇宙を飛んでいたのだ。やがて、一つの星が見えだした。それに、どんどんと近づいて行く。地球だ。さらに周りの風景が変わり出していった。やがてビルが立ち並ぶ街並みに変わった。それは東京の街並み、俺の世界に帰ってきた。
そう思った途端、俺は目覚めていた。
はじかれたようにベッドで上体を起こした。背にも胸にも水を浴びたように汗をかいていた。俺はバスルームに行き、パジャマを脱いで洗濯機に投げ入れ、バスタオルをとるとそれで体を拭いた。
窓から朝日が入ってきていた。洗面台の鏡を前に歯をみがいた。口の中に歯ブラシを入れているだけで空腹を覚えた。俺の空腹感は強烈だった。そう俺一人の食欲でなくなったからだ。俺は、俺に寄生した者、寄生体に必要な栄養分までも食べなければならなくなったのだ。
俺は家を出ると、カフェケルンに行った。
大友警察署に出勤する前による所だ。いつも座る場所に俺はすわった。そこは、目立たずに店の中にいることができる場所だった。やがて、ウエイトレスの前野勝代が近づいてきた。年齢は四十を超えて小太りだが、動きは機敏だった。
「いつものようにステーキの肉を用意はしてあるわよ」
「レアでいいから250グラムを二枚頼むよ。ライスはつけてくれ」
「でも、大丈夫なの?」と、勝代は心配をしてくれる。俺は刑事だが安月給取りにしか過ぎないからだ。それなのに、毎日ステーキの朝食をとり二千円近い金額を支払っている。だが、店としてはこんないい客はいないはずだ。
「まあ、しかたがないさ」と俺は諦めの言葉を口にする。
「ふ~ん」と、鼻を鳴らし、勝代は調理場のカウンターに注文票の伝票を置きに戻っていった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
婚約破棄の代償
nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」
ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。
エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。
二年間の花嫁
柴田はつみ
恋愛
名門公爵家との政略結婚――それは、彼にとっても、私にとっても期間限定の約束だった。
公爵アランにはすでに将来を誓い合った女性がいる。私はただ、その日までの“仮の妻”でしかない。
二年後、契約が終われば彼の元を去らなければならないと分かっていた。
それでも構わなかった。
たとえ短い時間でも、ずっと想い続けてきた彼のそばにいられるなら――。
けれど、私の知らないところで、アランは密かに策略を巡らせていた。
この結婚は、ただの義務でも慈悲でもない。
彼にとっても、私を手放すつもりなど初めからなかったのだ。
やがて二人の距離は少しずつ近づき、契約という鎖が、甘く熱い絆へと変わっていく。
期限が迫る中、真実の愛がすべてを覆す。
――これは、嘘から始まった恋が、永遠へと変わる物語。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる