王子だって、一体どうなるのか?物語

矢野 零時

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第9話親衛隊 1 罠にはまって!

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 外で、人の叫び声が聞こえた。
 忠司と花音はテントから出ていった。すると、原っぱの真ん中に人が倒れていたのだ。すぐに、二人は人のそばにかけつけ顔を見て驚いた。
「ビルじゃないか、どうした?」
 ビルの口に布が押し込まれ、手足は縄でしばられていた。その上に、右肩には肩傷がついていた。すぐに、忠司は口の中に押し込まれていた布を引き出した。
「すぐに、逃げてください。これは罠なんです」
 ビルは、大声でさけんだ。その間、花音は手足の縄を剣で切っていた。
 忠司は、周りを見ました。すると、獣人たちがぐるりと周りを囲んでいた。それも、手に弓を持ちそれに矢をついでいた。
「サルタン王子、ここがあんたの最後だな。仲間の二人を見殺しにして、逃げ出すことができれば生き残るかもしれんがな」
 大声をあげているのは、豹頭をした獣人だった。たしかに、忠司一人だったら、体に傷を負っても頑張れば、ここから逃げられたかもしれない。
「民を見殺しにして、王子をやっていられないだろう」
 忠司は、自嘲の笑いを浮かべると、ビルと花音からなるべく離れた場所に立ち、そこで剣を草の上に投げ捨てた。
「いい覚悟だ」
 豹頭は片手をあげて、忠司に向かって矢を放つ指示をあたえた。忠司は目をつむる。
 矢がはなたれた。だが、矢は忠司に向かったものではなかった。たくさんの矢が空を飛び、忠司を囲んでいた獣人たち向かったのだ。忠司の周りを円陣で囲んでいた獣人たちはばたばたと倒れていった。
 その音に気がつき、忠司は頭を回して、周りをみた。
 倒れている獣人たちの外に弓をかまえた者たちがたっていた。彼らは間違いなく人だった。彼らが忠司たちを襲ってくる気配はまるでなかった。
 
 
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