上 下
42 / 57
天空魔人グール

18 間に合いました

しおりを挟む
 急がなければならないことをカオルはすぐに思いだしました。
 ともかく、後のことは女神たちにまかせて、カオルは開けたドアの中に入ると、そこは魔法学校のある小屋の中であることにすぐに気がつきました。ホテルのような空間の一画にドナ・レストランが見えていたからです。

「ごくろうだったね」
 いつの間にか、現れたおばあさんは笑っています。すぐに創成魔法でおばあさんは自分の横に大きな壁を立ち上げました。次に自分のバッグからドアノブを出すと、それを壁に押しつけていました。
 
 すると新たなドアが生まれたのです。それをおばあさんはゆっくりと開きました。
「さあ、早くお行き、そこはカオルの部屋だよ。魔法使いの道具をちゃんとかたずけたら、いつもの生活に戻ることができる。それに、天空の世界で過ぎた一日は、カオルの世界では五分しか過ぎてはいないからね」
 カオルは大きくうなずきながら、ドアの中に入って行きました。

 そこは間違いなく自分の部屋でした。
 カオルは、背負っていたホウキをおろし壁のホックにかけました。次に肩からさげていたバッグをおろして本棚の空いている場所におきました。最後に、背からおろしたリュックの中からぬいぐるみのクマを出して机の左端におき、リュックは壁につけられた二番目のホックにかけました。

 すると階段下からお母さんの声がしました。
「いつまで寝ているの。早く朝ご飯を食べてしまわないと、学校に遅れるわよ」
「はい、いま行きます」と言って、カオルは部屋を飛びだし階段をおりて行きました。
 
 歯をみがき、顔を洗ってから、カオルはお父さんやお母さんに「おはよう」と挨拶をしながら食卓テーブルを前に自分の席にすわりました。
 食卓テーブルの上にはトースト、目玉焼き、それにポテトサラダが三つの皿にのせられていました。カオルはすでにチャーハンを食べていたのですが、天空の世界でものすごく動きまわっていましたので、もう一食を食べることができるほどお腹は空いていたのでした。




しおりを挟む

処理中です...