ギルドを追放された俺、傭兵ギルドのエリートに拾われる〜元ギルドは崩壊したらしい〜

ネリムZ

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エリート傭兵と野良の超能力者

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 フィリアとルナティカが20メートルより大きい距離を開けて勝負が始まる。

 「まずは手始めに」

 フィリアが電撃の球体を形成してルナティカに向かって放った。
 ルナティカは桃色の瞳で冷静に攻撃の軌道を確認して、鉄骨で防いだ。

 「そうよね~」

 フィリアは横に走りながら電撃を飛ばす。
 ルナティカはその全てを鉄骨で霧散させる。
 縦横無尽に駆け回る鉄骨が回転し、フィリアに向かって吹き飛ばされた。

 「おっと」

 フィリアは自身を電流で強化し加速する。
 鉄骨の上を蒼き電気が駆け上がる。

 「えい!」

 体を宙に浮かせ電気を放出する。
 電気を使って鉄骨の主導権を奪い、ルナティカに飛ばす。

 「無駄ね」

 鉄骨は徐々に減速して行き、飛んだまま停止する。
 ルナティカが手を振るえば、それに合わせて複数の鉄骨がフィリアに飛んで行く。

 「同じ事よ!」

 同じように足場として扱おうとする。

 だが、鉄骨は急に停止し上空へ飛ばされた。

 「なっ!」

 「同じ手なんて使うのは素人よ」

 鉄骨の足場が無くなったフィリアは自分を雷の1部にして床に高速で着地。
 すぐさま自由落下で襲って来る鉄骨を回避する。

 「あっぶなぁ」

 「ふーん」

 ルナティカは冷静にフィリアを分析していた。
 飛行魔法は持たないが身体強化の魔法は使える、遠距離からの攻撃が可能。
 数分の戦闘でも分かる事があり、そこから戦うための戦略も立てられる。

 だが、ルナティカは気に要らない空気を感じていた。
 遠距離からの攻撃を走りながら繰り返すフィリア。
 ルナティカは一歩も動かずに全てを防いでいる。

 「気に入らない」

 ルナティカの口からゴギッと歯を軋ませる音がした。

 「あんた、ルナの事を誰から聞いたの?」

 「⋯⋯さて、何の事かしらね」

 「初見でルナの超能力の効果範囲を把握しているなんておかしい。ルナを馬鹿にしないで」

 「あらら」

 ルナティカの推測は当たっている。
 フィリアはカグラからルナティカの情報を詳細に聞いていた。
 魔法の射程距離を把握するために距離感を掴む力があるフィリアは一定の距離をキープ出来ていた。

 ルナティカの能力が作用する範囲は20メートル以内。
 かつ、視界に収まったモノだ。

 「気づかれたなら、正面突破と行くわね」

 フィリアはコートで隠れた部分から刀を取り出し、抜刀する。
 全身と刀に蒼い雷が走る。

 「ルナと正面衝突なんて⋯⋯中々に無謀ルナティクね」

 ルナティカは親指を上に、人差し指をフィリアに、残りの指は折り曲げて腕を真っ直ぐに伸ばした。
 フィリアを狙い撃ちするかのようなポーズ、だが彼女は怯まず駆け出した。

 まるで閃光。
 そのスピードを肉眼で捉える事は限りなく難しい⋯⋯のが普通だ。

 「右側ね」

 右に回ったフィリアの動きをで確認し木材を動きに合わせて放った。

 「私はこれでもエリートよ!」

 木材に蒼き閃光が舞い、粉々に切り裂かれた。

 「へぇ」

 ルナティカは鉄骨に乗り込み、それを浮かして飛んだ。

 「撃ち落とす!」

 フィリアの魔法は雷。
 雷とは天から地に落ちるモノ。
 ルナティカに向かって落雷が迫る。

 「無駄ね」

 ルナティカを守るように鉄骨の傘を作り防いだ。
 刹那のタイミングでフィリアが真下に迫っていた。
 死角⋯⋯だがルナティカには見えている。

 「おっと」

 傘にした鉄骨を操り、真下にいたフィリア目掛けて放った。
 回避のためやむを得ず着地するフィリア。

 「魔力量が多いのね。直接操れない」

 ルナティカは死角の物と魔力が多く、魔法抵抗力が高い人は操れない。
 超能力であっても魔法抵抗力で対抗する事は出来る。

 「まぁそれは今に始まった事じゃないね」

 桃色の瞳で見下ろされるフィリア。
 ルナティカの周囲には無数の鉄骨が浮かんでいる。

 「⋯⋯見えない物は操れないんじゃないの? 情報と違うよ~」

 「誰に教えられたか分からないけど、ルナに死角は無いわ」

 「あらま~」

 鉄骨がフィリアに向かって放たれる。
 回避するため走れば、追いかけるようにルナティカの乗った鉄骨が迫って来る。
 常に効果範囲内に入れておけば戦いやすい。

 「クッソ」

 鉄骨を斬っても相手の手数が増えるだけだった。

 「本当に女の子! 強くない?!」

 「ルナを侮っていた罰ね」

 「⋯⋯いーや」

 フィリアはニヤリと笑った。

 「鏡を使って全方位を視界に収める、人を殺す様な攻撃はしない⋯⋯情報通りよ」

 「⋯⋯ッ!」

 この戦いは互いに全力を出していない。
 ルナティカはこの戦いの裏にあるモノに気がついた。

 ⋯⋯時間稼ぎ⋯⋯。

 気づいたと同時、屋根が破壊され球体の何かがルナティカ目掛けて落下して来た。

 「誘われた!」

 「作戦通り」

 「ルナを舐めるな!」

 超能力で弾き飛ばそうとする。
 だが⋯⋯ルナティカの想定を超える重さがあった。

 「この⋯⋯感覚っ!」

 ◆◆◆

 「フィリアの雷だな。暗いと良く目立つ。カグラ、準備は良いか?」

 「よろしく頼むクロウ」

 クロウ=ロウドー、カラスの獣人で風魔法を得意とする。
 オールバックの強面の男だが、仲間想いで数少ないギルド内で交流のある人だ。

 「つーかこれで本当に大丈夫か?」

 「ああ、問題無い」

 ただの鉄の球体。人が入れるくらいには大きい。

 俺は作戦会議を思い出す。

 フィリアがまず初めにどうやって戦うのか聞いてきた。
 そして俺はブーゲンビリアでやっていたルナの攻略法を教えた。
 それは、壁となる大きな物を押しながら進み、3mで押さえつける事で超能力を防ぎ、間合いに入ったら速攻で勝負を決める。

 だが、ここでフィリアが同じ手は止めた方が良いと言った。
 俺はルナを攻撃出来ないし、何か不意を付く方法をしないとルナには見切られる。
 そこでフィリアが提案した作戦があった。

 それは囮作戦。
 フィリアを囮にして俺が不意を打つ。
 タイミングや場所はフィリアが合図してくれる。

 落雷による合図⋯⋯ルナならそれを防御する。

 「⋯⋯行ける」

 「了解。カグラ、しっかり歯食いしばれ!」

 「おう!」

 クロウが風の魔法で俺を吹き飛ばした。
 ビューっと吹き飛び、面白い程ぐるぐる回る。
 方向感覚が狂いそうだ。

 「この辺か。⋯⋯3m!」

 俺は真下に向けて拳を突き出し、3mで球体を落下させる。
 ルナの気配がする。そして押し返される感覚を全身に感じる。

 俺の3m、ルナの超能力。

 それは技術力の差で勝敗が決まり⋯⋯俺の方が上だ。

 「3m!」

 3mで鉄を吹き飛ばし球体から脱出する。

 「⋯⋯ッ!」

 「ルナああああああ!」

 俺はルナを抱き寄せて、落下した。
 受身を取りながら、ルナが傷つかないように守る。

 「ルナ⋯⋯久しぶりだな」

 ルナは驚いた顔をしたが、次の瞬間には鬼の形相に変わる。

 「お兄ちゃんが⋯⋯」

 「ん?」

 「お兄ちゃんがルナの情報を売ったんだな!」

 ルナの怒号が俺の鼓膜を貫く。

 「許さないっ!」

 「ルナ、話を⋯⋯」

 ルナからの返事で鉄骨が返って来た。
 俺は瞬時に回避する。

 「ルナ⋯⋯」

 ルナは俺を親の仇を見るような目で見て来る。

 「お兄ちゃんって⋯⋯カグラの妹なの?」

 フィリアが空気の読めない発言をして来る。

 「ルナはギルド皆の妹だよ⋯⋯妹を攻撃出来る兄はいない」

 俺はフィリアの疑問を先回りして晴らしておく。
 俺がなぜルナを攻撃出来ないなのか、言っていなかったからだ。

 ルナの呟きが聞こえてくる。

 「嘘つき」

 「え?」

 「嘘つき嘘つき! ルナ達はずっと家族だって! 離れ離れにはしないって言ってたのに! お兄ちゃん達の嘘つき! ルナをクエスト先でいきなり破門にして!」

 「待ってくれルナ⋯⋯話を」

 「裏切り者の話なんて聞きたくない!」

 ルナは甲高い声で俺の話を拒絶した。
 ひたすらに俺を睨み、ルナは周囲に鉄骨を浮かせ、手鏡も浮かせた。
 ⋯⋯本気だ。

 「ルナ⋯⋯頼む⋯⋯話を⋯⋯」

 「うるさい!」

 ルナが鉄骨を俺に向かって放った。
 ⋯⋯このままじゃ何も進まないか。

 俺は鉄骨を回避してルナに迫る。

 ⋯⋯ルナがギルドを追い出されたタイミングは仕事クエスト先か。
 やはりマスターは⋯⋯。

 だが今は他の事を考えている余裕は無い。
 ⋯⋯裏切り者⋯⋯嫌な言葉だ。
 俺はブーゲンビリアを裏切ったつもりは無いのに。

 「ルナ⋯⋯久しぶりに兄妹喧嘩と行くか」
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