物理系魔法少女は今日も魔物をステッキでぶん殴る〜会社をクビになった俺、初配信をうっかりライブにしてしまい、有名になったんだが?〜

ネリムZ

文字の大きさ
52 / 179

物理系魔法少女、依頼品を発見?

しおりを挟む
 「右撃つ」

 「了解!」

 二本の剣を持った、動物要素のないロボット。

 ルミナスさんが右側の肩を正確に撃ち抜いて壊した。

 反対側の剣が重いのか、バランスを崩した瞬間に俺は接近して、回し蹴りを決めた。

 「ふぅ。倒した倒した」

 「同じ個体でも硬度が大きく違ったりするね」

 「これもイレギュラーの一つなんかね?」
 
 だとしても、倒したら普通に倒れる⋯⋯なんて良い事なんだろうか。

 生物感がなく、むしろ硬質感があって殴りがいのある魔物。

 同じ見た目でも、一発で倒れる奴から十発で倒れる奴もいる。

 「さっきの良い動きだったよ」

 「それはこっちの台詞だよ。⋯⋯なんかサポートに回しちゃってごめんね?」

 「いやいや。さっきのも六層なはずだから、僕の相棒じゃ倒せないよ」

 そう言って微笑む。目線はチャージライフルに向いている。

 あの正確に小さい部分である関節を撃ち抜く⋯⋯こんな技術があるなら普通に倒せると思うんだけどな。

 それともこれって普通なのかな?

 「他の魔物が来るかもしれないから、急いでこの場を離れよう」

 「おけ」

 経験者の意見に従って俺は動いているのだが、最低限の戦いだけでポイントの場所に移動している。

 一つ目はハズレ、今はその近くの新たなポイントに向かって移動をしている。

 「ここは世界観が違う感じがするな⋯⋯ほんと」

 「自分の事言ってるの?」

 「⋯⋯そうかもしれん」

 ルミナスさんもこのダンジョンもメカメカしいのに、俺だけ魔法少女だ。

 ある程度移動して、個室に入る。

 「こう言う小さな部屋に宝箱とかありそう⋯⋯」

 「ん? このダンジョンにそんなのは出現しないよ」

 「え、そうなの?」

 「うん。まぁ限定アイテムはあるけど、宝箱ってのは無いね」

 「そっかー」

 ちょっと残念。

 休憩なので、弁当を食べる。ルミナスさんは軽食だ。

 「自分で作ったの? すっごいね」

 「あ、いや。違う。えっと⋯⋯」

 「お、もしかして彼氏か!」

 「彼氏かぁ。絶対に要らんな」

 俺は彼女⋯⋯も要らないか。

 紗奈ちゃんがいるので恋人は募集しておりません。

 弁当をどう説明するか⋯⋯紗奈ちゃん。

 「ん~お姉さん?」

 「良いお姉さんやね」

 「そうだね」

 休憩も終わり、次のポイントに向けて移動を再開した。

 ポイントの場所を遠目で確認すると⋯⋯ビリビリした球体を発見した。

 「あれか?」

 「えっと違うかな? あんな魔法の塊みたいなのじゃない」

 「でも⋯⋯」

 ポイントの場所だし、ビリビリしているのだ。

 あれが依頼品だと思う。

 「多分あれだと思うから、ちょっと回収してくるよ」

 俺が隠れている場所から出ようとすると、腕を引っ張られる。

 力が弱くて、腕を引っ張られるだけで終わったけど。

 「あれ見て」

 「ん?」

 熊か?

 両手に光る剣、背中から蜘蛛の足のように合計八本の剣が伸びている。

 全部で10本の剣を持っている熊がその球体を守っている。

 「十層出身の魔物、推奨レベル4だけどその中では上の強さ。機械熊メカトリックベアー電子剣武装エレキトルソードカスタムだよ」

 「⋯⋯」

 な、名前が長すぎるしカタカナで分かりにくい。

 「大丈夫?」

 「大丈夫! えっと、メカベアって強いの?」

 「メカ⋯⋯ベア⋯⋯そりゃあ強いですよ。ギリギリレベル4推奨ってレベルやからね」

 そっか。危険だよなそれだと。

 命大事にが紗奈ちゃんとの約束である。

 でも⋯⋯本当にそれで良いんだろうか?

 「確かに、俺じゃ火力不足かもしれない。だけど、試す価値はあると思うんだ」

 「⋯⋯へ?」

 「それじゃ、行って来る」

 「いやいや、待ってて」

 まだ掴むか。

 目的のアイテムが目の前にあるなら回収したい。

 俺の目的はそれだ。

 別に倒す必要は無い。手に入れる物だけ手に入れるだけで良い。

 「危険だって」

 「大丈夫。無理だと判断したら逃げるから」

 「追いつかれるかもよ?」

 「それは大丈夫じゃない?」

 依頼品から光がゆらゆらと出て、熊に吸収されている。

 予想だが、アレからエネルギーを吸収しているのだろう。

 そう考えると、追って来る可能性は低いと言える。

 「そんな仮説だけで動くのは危険だ。引き返そう」

 「⋯⋯すみません。わがままで。それでもやります」

 リュックを置いて、俺は動く。

 相手も俺に気づいたのか、咆哮をあげる。

 だけど攻めて来る様子は無い。

 「あ」

 他の魔物が依頼品に向かって進むと、熊が動いてその魔物を倒した。

 依頼品を守った⋯⋯ってよりも餌を奪われないようにしただけか?

 「そうか。イレギュラーの原因はアレか」

 「ん?」

 ルミナスさんが言葉を出す。

 「あれが魔物を呼び寄せてるんだ。深い理由は分からないけど、アレがエネルギーの塊で餌だとするなら、それを奪うために下層から魔物が来る」

 「ほうほう」

 「軽いな。下層の魔物が上層に来て、あそこに留まったら、このダンジョンの難易度は一気に跳ね上がる。⋯⋯それは嫌だ。⋯⋯あれが依頼品なら回収するんでしょ? イレギュラーが収まるかもしれない」

 弾倉を確認するルミナスさん。

 「一緒に戦う。相手の行動パターンもある程度知っている」

 「ルミナスさんって、自分の探索可能範囲外の魔物の情報に詳しいですよね」

 「え、あ、いや。色々とあってね。あはは」

 深く詮索されたくないんだろうな。

 ならしない。その必要は無い。

 「それじゃ、行く」

 「おーけー」

 俺がまず走る。

 「アイツの攻撃は基本薙だ! 刃の向きを見れば君なら回避できる。斬撃を放つ攻撃があるから気をつけて」

 「了解」

 バットにステッキを変えて、攻撃をする。

 剣で防ごうとするのを、強く攻撃して飛ばす。

 二本、剣をへし折った。

 「やっぱアカツキさんの力えぐぅ。アレでレベル2って本当ですか視聴さん⋯⋯」

 ボソボソと言った言葉に俺は反応できない。

 重要な事だったらどうしようね。

 「やっぱり数が多い分回避が難しいな」

 回避できない部分はバットで弾く。

 ⋯⋯あれ?

 へし折ったはずなのに、復活している?

 「アレの吸収したエネルギーで武器を修復してるんだ! ここの魔物はそれを普通にやる!」

 「え! なにそれずるっ!」

 破壊不可能なステッキもズルいとか、知らね!

 「どう倒すの!」

 「本体をぶっ壊すか、エネルギー吸収を断つ。それから倒す」

 「おっけ」

 リッチのようにならん為に、引き剥がすか。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

『冒険者をやめて田舎で隠居します 〜気づいたら最強の村になってました〜』

チャチャ
ファンタジー
> 世界には4つの大陸がある。東に魔神族、西に人族、北に獣人とドワーフ、南にエルフと妖精族——種族ごとの国が、それぞれの文化と価値観で生きていた。 その世界で唯一のSSランク冒険者・ジーク。英雄と呼ばれ続けることに疲れた彼は、突如冒険者を引退し、田舎へと姿を消した。 「もう戦いたくない、静かに暮らしたいんだ」 そう願ったはずなのに、彼の周りにはドラゴンやフェンリル、魔神族にエルフ、ドワーフ……あらゆる種族が集まり、最強の村が出来上がっていく!? のんびりしたいだけの元英雄の周囲が、どんどんカオスになっていく異世界ほのぼの(?)ファンタジー。

ゲームコインをザクザク現金化。還暦オジ、田舎で世界を攻略中

あ、まん。@田中子樹
ファンタジー
仕事一筋40年。 結婚もせずに会社に尽くしてきた二瓶豆丸。 定年を迎え、静かな余生を求めて山奥へ移住する。 だが、突如世界が“数値化”され、現実がゲームのように変貌。 唯一の趣味だった15年続けた積みゲー「モリモリ」が、 なぜか現実世界とリンクし始める。 化け物が徘徊する世界で出会ったひとりの少女、滝川歩茶。 彼女を守るため、豆丸は“積みゲー”スキルを駆使して立ち上がる。 現金化されるコイン、召喚されるゲームキャラたち、 そして迫りくる謎の敵――。 これは、還暦オジが挑む、〝人生最後の積みゲー〟であり〝世界最後の攻略戦〟である。

独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活

髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。 しかし神は彼を見捨てていなかった。 そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。 これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。

掘鑿王(くっさくおう)~ボクしか知らない隠しダンジョンでSSRアイテムばかり掘り出し大金持ち~

テツみン
ファンタジー
『掘削士』エリオットは、ダンジョンの鉱脈から鉱石を掘り出すのが仕事。 しかし、非戦闘職の彼は冒険者仲間から不遇な扱いを受けていた。 ある日、ダンジョンに入ると天災級モンスター、イフリートに遭遇。エリオットは仲間が逃げ出すための囮(おとり)にされてしまう。 「生きて帰るんだ――妹が待つ家へ!」 彼は岩の割れ目につるはしを打ち込み、崩落を誘発させ―― 目が覚めると未知の洞窟にいた。 貴重な鉱脈ばかりに興奮するエリオットだったが、特に不思議な形をしたクリスタルが気になり、それを掘り出す。 その中から現れたモノは…… 「えっ? 女の子???」 これは、不遇な扱いを受けていた少年が大陸一の大富豪へと成り上がっていく――そんな物語である。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

現代錬金術のすゝめ 〜ソロキャンプに行ったら賢者の石を拾った〜

涼月 風
ファンタジー
御門賢一郎は過去にトラウマを抱える高校一年生。 ゴールデンウィークにソロキャンプに行き、そこで綺麗な石を拾った。 しかし、その直後雷に打たれて意識を失う。 奇跡的に助かった彼は以前の彼とは違っていた。 そんな彼が成長する為に異世界に行ったり又、現代で錬金術をしながら生活する物語。

処理中です...