物理系魔法少女は今日も魔物をステッキでぶん殴る〜会社をクビになった俺、初配信をうっかりライブにしてしまい、有名になったんだが?〜

ネリムZ

文字の大きさ
72 / 179

人気受付嬢、出張を確信した

しおりを挟む
 はぁ、私がどうしてわざわざ彼女の手伝いをしないといけないのだろうか?

 確かに、星夜さんが関係しているから私が自ら手を貸したいとは言ったさ。

 だけどさぁ、アメリカのエージェントを相手にしないといけないとは聞いてない。

 捕らえるのに私の魔法は便利だけどさ。

 「それで、どうしてエレキトルコアを狙っているのか、教えて貰えるかな?」

 「⋯⋯言うと思うか?」

 レベル8なので、私達には手も足も出ない強さだ。なのに口を割らないのか。

 めんどくさいなぁ。帰りたい。

 ⋯⋯でもこの人は許さない。

 星夜さんのところに行っていた可能性が高い。それが許せない。何をしたかは関係ない。

 星夜さんと密室の空間に二人きりで居た、その事実だけで許せない。

 「口を割らないなら、色々と凍らせて喋らせるよ? 責任感か、正義感か、そこら辺を凍らせれば喋るんじゃない?」

 「紗奈ちょっと怖いよ? ん~使用目的が分かれば、エレキトルコアを渡しても構わないんだよ?」

 「それを信じろと言うのか?」

 帰って来たら仲間が全員氷の石像になってました、その犯人の言葉を信じれますか? 答えは「いいえ」だろう。

 やっぱり説得ってのは面倒だ。コイツは星夜さんに何かをした可能性があるんだ。

 だから説得する必要は無い。

 感情とか記憶とか、色々と凍らせて洗脳させちゃえば完了だ。

 合理的ではなく平和的に行こうとする意味が分からない。アメリカと敵対したくないんだろうか?

 日本ギルド総戦力ならどんな国にも負けないだろ。その時は世界が危険かな?

 天使が出て来そう。

 「これが証拠になるかな?」

 そう言って彼女が見せたのは、自分とエレキトルコアのツーショットだ。

 加工とかはしている⋯⋯主に自分の顔に。

 今見せているのに加工する必要はあるのだろうか? 分からんな。

 「エレキテルコアはグレイプニルを動かす為に必要なエネルギー源なんだ」

 「知ってるぅ」

 「なにっ!」

 え、私知らない。

 あ、なんかメッセージで詳細が送られて来た。

 ふむふむ、グレイプニルの使い道が知りたいのか。

 まぁ私は氷を維持していれば良いかな? 殺すって言う怖い事はできないので問題ないと思うけど。

 酸素を氷の中にしっかりと送らないとね。間接的なら行けるから。

 「今、アメリカには新たに発見されたダンジョンがある」

 そんなのあるんだ?

 私、何も知らないんだけど? 支部長に聞いてみようかな。

 「そのダンジョンにはとても強い魔物が一体存在しているんだ。それが徐々に出口に向かって来ている」

 ダンジョンは一定数の数の魔物が現れると外に溢れる。

 そんな一体が出口まで向かって、外に出る事があるのか?

 私には分からない事か。

 「その魔物を倒す為に必要なんだ!」

 「よく分からないな。魔物を倒すのにどうして捕縛装置が必要なんだ?」

 「そいつが強すぎるんだ! 捕縛して動きを鈍らせないと、倒せない!」

 そんなに強いの?

 え、そんなのが日本に来て欲しくないんだけど。

 頑張れアメリカ!!

 それが難しいから、日本のダンジョンにあるエレキトルコアが必要なんだろうけどさ。

 日本のダンジョンで得られた物は日本の資源だ。

 それを密かに奪おうとするのは、条約違反となる。

 「ふーん。どのくらい強いの?」

 「政府直属のレベル9が三人も居た部隊が⋯⋯かすり傷も与える事ができなかった」

 「「ッ!」」

 レベル9の強さは自分達が良く知っている。

 だからそれがどれだけ異常事態なのかは、はっきり分かる。

 レベル9が三人も居て、かすり傷も与えられなかった魔物がアメリカに居る。

 しかも出口に向かって進行している⋯⋯それだけで異常性の高さが伺える。

 「紗奈、どうする?」

 「私はアメリカに行きたくないよ。これ以上星夜さんと離れたくない! 離れちゃうとストレスが溜まって爆発しそう!」

 「お、それは良いね。その魔物にぶっぱなせ!」

 「お前にぶっぱなそうか?」

 彼女の顔が真剣になる。

 なので私も真顔になって、考えているアピールをしておく。

 明日の晩御飯はどうしようかな? とか考えながら。

 「私と紗奈が行ってどれくらいダメージを与えられるかな?」

 「おい待て。なんで私が戦力に入る」

 「だって、日本ではトップスリーに入る実力だし、世界的にも強いじゃん?」

 「だからってなんで他国の為に動かないといけないのよ。だいたい、私は国に興味ありません!」

 「知ってる。⋯⋯この案件は多分、本部長も動くよ。だから報酬も期待できる」

 私にはお金もあるし、報酬なんて正直どうでも良いんだよなぁ。

 星夜さんとは離れたくないので、断ろう。

 頑張れ、遠征しに行く人達。

 「セキュリティの高くて二人で暮らせて安いマンション、それに将来の戸建て⋯⋯」

 「⋯⋯ッ!」

 「それを優遇して貰えるかもしれないよ?」

 確かに、今日の事がまた起こるかもしれないし、星夜さんの収入も考えればそろそろ引っ越して良い時期だ。

 本部長の紹介があれば、良さげな場所が比較的容易に手に入るだろう。

 こ、コイツ。

 さすがは私の親友と豪語するだけはある⋯⋯性格を理解している。

 「支部長にも声をかけておくよ」

 「うん。そうこなくっちゃ。私は本部長、それと他のレベル9かな?」

 「な、何を言っている?」

 おっと、置いてけぼりだった。

 「お前らが数人来たところで何かが変わると思うか?」

 「大丈夫だよ。私達、普通とは違う化け物だから。特に紗奈は」

 「私を化け物にするな」

 むしろ化け物はそっちだろう。加護を持って使徒であるこの私と同等に戦えるのだから。

 未だに現状把握ができてない様子のエージェントさんを放置して、私はギルドに向かった。

 支部長は必ずあそこに居て、何かしらの仕事を二十四時間継続して行っているから、会える。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

『冒険者をやめて田舎で隠居します 〜気づいたら最強の村になってました〜』

チャチャ
ファンタジー
> 世界には4つの大陸がある。東に魔神族、西に人族、北に獣人とドワーフ、南にエルフと妖精族——種族ごとの国が、それぞれの文化と価値観で生きていた。 その世界で唯一のSSランク冒険者・ジーク。英雄と呼ばれ続けることに疲れた彼は、突如冒険者を引退し、田舎へと姿を消した。 「もう戦いたくない、静かに暮らしたいんだ」 そう願ったはずなのに、彼の周りにはドラゴンやフェンリル、魔神族にエルフ、ドワーフ……あらゆる種族が集まり、最強の村が出来上がっていく!? のんびりしたいだけの元英雄の周囲が、どんどんカオスになっていく異世界ほのぼの(?)ファンタジー。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

ゲームコインをザクザク現金化。還暦オジ、田舎で世界を攻略中

あ、まん。@田中子樹
ファンタジー
仕事一筋40年。 結婚もせずに会社に尽くしてきた二瓶豆丸。 定年を迎え、静かな余生を求めて山奥へ移住する。 だが、突如世界が“数値化”され、現実がゲームのように変貌。 唯一の趣味だった15年続けた積みゲー「モリモリ」が、 なぜか現実世界とリンクし始める。 化け物が徘徊する世界で出会ったひとりの少女、滝川歩茶。 彼女を守るため、豆丸は“積みゲー”スキルを駆使して立ち上がる。 現金化されるコイン、召喚されるゲームキャラたち、 そして迫りくる謎の敵――。 これは、還暦オジが挑む、〝人生最後の積みゲー〟であり〝世界最後の攻略戦〟である。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活

髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。 しかし神は彼を見捨てていなかった。 そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。 これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。

掘鑿王(くっさくおう)~ボクしか知らない隠しダンジョンでSSRアイテムばかり掘り出し大金持ち~

テツみン
ファンタジー
『掘削士』エリオットは、ダンジョンの鉱脈から鉱石を掘り出すのが仕事。 しかし、非戦闘職の彼は冒険者仲間から不遇な扱いを受けていた。 ある日、ダンジョンに入ると天災級モンスター、イフリートに遭遇。エリオットは仲間が逃げ出すための囮(おとり)にされてしまう。 「生きて帰るんだ――妹が待つ家へ!」 彼は岩の割れ目につるはしを打ち込み、崩落を誘発させ―― 目が覚めると未知の洞窟にいた。 貴重な鉱脈ばかりに興奮するエリオットだったが、特に不思議な形をしたクリスタルが気になり、それを掘り出す。 その中から現れたモノは…… 「えっ? 女の子???」 これは、不遇な扱いを受けていた少年が大陸一の大富豪へと成り上がっていく――そんな物語である。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

処理中です...