物理系魔法少女は今日も魔物をステッキでぶん殴る〜会社をクビになった俺、初配信をうっかりライブにしてしまい、有名になったんだが?〜

ネリムZ

文字の大きさ
86 / 179

人気受付嬢、アメリカ出張その1

しおりを挟む
 アメリカの政治家達と代表として会話する本部長の秘書をやっている、友を見守る。

 現在はそのダンジョンに対して、どのようなメンバーで行くか言い争っていた。

 「アメリカには一瞬で着いたけど、そこからが長いな~」

 眠くなって来るよ。早く帰りたいのに、こんなところで時間を無駄にしたくない。

 アメリカ政治に詳しくないが、かなり偉い人なんだろうな。

 近くに立っているボディガードの人は多分レベル9だろう。

 態度の悪い私をさっきから睨んでいる。

 「私達二人で最初に特攻する、その後に来て欲しい」

 「そんな無謀な事はさせられないって言っているだろ! 相手は過去に見ない災害なんだぞ!」

 正直、この不毛な言い争うはこちらが不利だ。

 そもそも助っ人は私含めて三人しかアメリカに来てないし、どっかに行ってしまった。

 だからもう、私達で特攻する予定だ。残りの一人は途中で拾えるだろうしね。

 だからさっさと移動したいのだが、ダンジョンの場所が分からない。

 分からないと当然行けない。

 アメリカは安全のためにダンジョンにワープゲートを設置してないので、そのダンジョンに直接行かないとダメなのだ。

 だから早く終わってくれ~。

 「ねぇ、もう行かない?」

 「闇雲に探してお目当てのダンジョンは見つからないよ。勝手に行くのは良くないの。だからこうして私が説得を試みてるんだよ?」

 「でもそんな化け物に何人も行く必要ないよね? 屍を増やすだけだよ」

 言ってしまった。

 それが相手の怒りに触れたのが、首を掴まれそうになった。煽りは上々。

 正当防衛がちゃんと機能するか分からないけど、一度受けておこかな?

 反撃なら許してくれるよね?

 「あ、星夜さん以外の男に触って欲しくないや」

 そう考えた瞬間、身体が勝手に動いていた。

 蹴飛ばしてしまった⋯⋯相手のポディガードを。

 「何してんの!」

 「ごめん。つい反射的に」

 でもそこまでダメージはないでしょ。

 周囲にいるアメリカの人達が驚愕を露わにする。

 ちなみに彼女が代表として話しているが、一応日本政府関係者も当然居る。

 本部長の息がかかった人だけど。

 「兵器などを運ぶ。そのために数日欲しい」

 「大きいのは私の転移じゃ運べないよ」

 「大丈夫。大量の物資を運ぶのにちょうど良いのがあるから」

 兵器を集めさせた。

 私が蹴飛ばしてしまった男が近づてきた。

 「さっきは悪かった。ついカッとなって」

 「いえ。こちらも蹴飛ばしてすみません」

 「それは俺の未熟さ故だ。⋯⋯その、連絡先交換は可能か?」

 なんか日本語が流暢だな。日本人なのかな?

 連絡先か⋯⋯要らないかな?

 「ごめんなさい」

 「⋯⋯そうか」

 とぼとぼと帰っていく。

 兵器などが集められたので、私は『青龍』を呼び出した。

 青い鱗を身に纏う細長い龍は龍雲を生み出し掴んで空に浮かぶ。

 本来はダンジョンの外で契約した魔物を呼び出す事はできないのだが、一部例外は存在する。

 一応言っておいたが、それでもこの場の一人を除いて全員が驚愕する。

 「我の出番だな」

 「うん。この荷物一気に運ぶから、地面に降りてくれない?」

 「⋯⋯度々思うのだが、毎回雑用に呼び出すのはやめてくれないか? これでも我は神獣だぞ」

 「えーだって私よりも弱いじゃんか」

 「ぐっ」

 弱い相手と契約して体内に住まわせてあげているのだ。雑用以外に頼む事がまず無い。

 彼の出番が必要なタイミングは基本無いのだ。

 私が勝てない相手に青龍が出ても意味が無い。

 「もっと強ければな⋯⋯」

 「四神獣の中で我が最強なんだぞ!」

 兵器を背中に乗せながらそんな事言われてもね?

 目的地は海中にあるらしい。

 青龍のスピードなら数十分かからずに到着するだろう。

 今は市民に魔物が飛ぶことを宣言しているらしい。

 「深い理由は言えない⋯⋯だからてきとーな憶測が飛び交うだろうなぁ」

 彼女はアメリカ観察を頼んしでいたであろうもう一人を連れて、帰って来た。

 彼の役目は私達にバフを与える事だ。後は秘密兵器。

 この中で一番火力を出せるのは私、その次に彼女だ。

 アメリカのレベル9がかなりの人数集まりだした。

 「七人か⋯⋯かなり多いね」

 「それでも、そこまで強い気配は感じないね~」

 「紗奈は化け物だからね」

 「お前が言うなっ!」

 乙女に向かって化け物は失礼だ。

 世界最高到達点であるレベル9に対して、私が言った言葉も失礼だけど。

 だからだろう。さっきの一言で全員が私に敵意を向け出した。

 これで作戦とか崩れて、確約させたドロップアイテムの一部を受け取る計画もパーになりそうだ。

 支部長に怒られそうなので、それだけは避けたい。

 「しかたない。少し脅かすだけなら⋯⋯」

 「止めとけ。問題が大きくなるだけだ」

 「ごめんね。私が悪くしちゃって」

 「ほんとだよ。もっと発言には気をつけてね。いくら『自分ら』よりも弱いからってさ。どんなに小さく言っても、五感強化されてるから聞かれちゃうしさ」

 ってのを言いやがった。

 一人の大きな男が絡んで来た。

 「ジャパニーズのガール達、ずいぶん口が達者だな」

 「そちらこそ、日本がお上手ですね」

 「ちょ」

 慌ててみる。

 相手は大剣を既に装備している。きちんと武器防具も運ばれているらしい。

 男は目を見開き、大剣を抜いて振り下ろす。

 寸止め⋯⋯してくれるかな?

 「剣を抜いちゃダメだよ?」

 「なっ!」

 彼女は一瞬で背後に移動して、振り下ろそうとした腕を止めた。

 何が起こったのか、誰も理解してないだろう。できない、その方が正しいか。

 転移の兆候が見られないだから。なぜなら、転移じゃないから。

 彼女の力は自覚しようとしてもできない、とても難しいのだ。

 「お前の強さは分かった。だが、そっちの女はどうだぁ?」

 ニヤニヤと。

 準備が終わるまでの準備運動とでもしようかな?

 頼まれた事にも繋がるし。

 「手加減してね」

 耳打ちされたその一言が火に油を注いだ。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

『冒険者をやめて田舎で隠居します 〜気づいたら最強の村になってました〜』

チャチャ
ファンタジー
> 世界には4つの大陸がある。東に魔神族、西に人族、北に獣人とドワーフ、南にエルフと妖精族——種族ごとの国が、それぞれの文化と価値観で生きていた。 その世界で唯一のSSランク冒険者・ジーク。英雄と呼ばれ続けることに疲れた彼は、突如冒険者を引退し、田舎へと姿を消した。 「もう戦いたくない、静かに暮らしたいんだ」 そう願ったはずなのに、彼の周りにはドラゴンやフェンリル、魔神族にエルフ、ドワーフ……あらゆる種族が集まり、最強の村が出来上がっていく!? のんびりしたいだけの元英雄の周囲が、どんどんカオスになっていく異世界ほのぼの(?)ファンタジー。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

ゲームコインをザクザク現金化。還暦オジ、田舎で世界を攻略中

あ、まん。@田中子樹
ファンタジー
仕事一筋40年。 結婚もせずに会社に尽くしてきた二瓶豆丸。 定年を迎え、静かな余生を求めて山奥へ移住する。 だが、突如世界が“数値化”され、現実がゲームのように変貌。 唯一の趣味だった15年続けた積みゲー「モリモリ」が、 なぜか現実世界とリンクし始める。 化け物が徘徊する世界で出会ったひとりの少女、滝川歩茶。 彼女を守るため、豆丸は“積みゲー”スキルを駆使して立ち上がる。 現金化されるコイン、召喚されるゲームキャラたち、 そして迫りくる謎の敵――。 これは、還暦オジが挑む、〝人生最後の積みゲー〟であり〝世界最後の攻略戦〟である。

独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活

髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。 しかし神は彼を見捨てていなかった。 そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。 これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。

掘鑿王(くっさくおう)~ボクしか知らない隠しダンジョンでSSRアイテムばかり掘り出し大金持ち~

テツみン
ファンタジー
『掘削士』エリオットは、ダンジョンの鉱脈から鉱石を掘り出すのが仕事。 しかし、非戦闘職の彼は冒険者仲間から不遇な扱いを受けていた。 ある日、ダンジョンに入ると天災級モンスター、イフリートに遭遇。エリオットは仲間が逃げ出すための囮(おとり)にされてしまう。 「生きて帰るんだ――妹が待つ家へ!」 彼は岩の割れ目につるはしを打ち込み、崩落を誘発させ―― 目が覚めると未知の洞窟にいた。 貴重な鉱脈ばかりに興奮するエリオットだったが、特に不思議な形をしたクリスタルが気になり、それを掘り出す。 その中から現れたモノは…… 「えっ? 女の子???」 これは、不遇な扱いを受けていた少年が大陸一の大富豪へと成り上がっていく――そんな物語である。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

現代錬金術のすゝめ 〜ソロキャンプに行ったら賢者の石を拾った〜

涼月 風
ファンタジー
御門賢一郎は過去にトラウマを抱える高校一年生。 ゴールデンウィークにソロキャンプに行き、そこで綺麗な石を拾った。 しかし、その直後雷に打たれて意識を失う。 奇跡的に助かった彼は以前の彼とは違っていた。 そんな彼が成長する為に異世界に行ったり又、現代で錬金術をしながら生活する物語。

処理中です...