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物理系魔法少女、亀を打ち上げる
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新しい部屋で布団で寝る、特に前の家との変化はなかった。
強いて言うのであれば、冷房の利きが良くてとても快適だった、だろうか?
紗奈ちゃんの冷気が来なかったので、使用した。前だと紗奈ちゃんが居る時は常にちょうど良いくらいに冷えていた。
リビングに向かうためにドアを開く。
「おはよう星夜さん」
「おはよう」
ユリアさんは力の関係で紗奈ちゃんの近くに居るのが一番らしいので、納得はできる。
ただ未だに納得できない事がある。それが彼女だ。
未だに名前どころか苗字すら分かってない本部長の秘書さん。
紗奈ちゃんの晩御飯を食べに不法侵入が日常化し、いつしか同じ屋根の下で寝るまでになった。
仕事場はかなり離れた東京にあるのに、彼女は一瞬で行ける。
「紗奈ちゃんの負担が増えなければ良いんだけど⋯⋯」
当人は楽しそうなので、俺は何も言えない。
朝ごはんを食べ、弁当を受け取り、俺達はギルドに向かう。
ユリアさんと秘書さんは転移で消えた。
ギルドで紗奈ちゃんを待っていると、青年は絡んで来なかった。そのため、ロリ職員が絡んで来る⋯⋯事もなかった。
久しぶり? 懐かしの?
一人で紗奈ちゃんが受付に出るのを待つ。
受付に紗奈ちゃんが出たので、俺は向かう。
「星夜さん、今日はどのダンジョンに行くの?」
「宝玉の草原」
「金稼ぎが目的だね。分かった」
俺は無視しようとしたけど、やっぱり気になってしまったので、チラリと紗奈ちゃんの後ろにいる女性を見る。
目だけを動かして見たのに、彼女は気づいたようだった。
「えっと、おはようなのだ人間!」
まるで自分が人間では無いように言うが⋯⋯もしかしたら正しいのかもしれない。
角に尻尾、それに翼もある。
まじで誰だろう?
「こーら、ちゃんと敬語を使いなさい」
「なにっ! 貴様だってこの人間に敬語を使ってないではないか! 差別だ!」
「区別よ。私は良いの。特別だから。ちゃんと敬語使わないと、ここでは働けないよ」
「ぐぬっ、それは困る。あのスライムのところには居たくない!」
二人で会話を始めてしまった。大丈夫か?
紗奈ちゃんが我に返ったように振り返り、俺にステータスカードを差し出す。
「今日も気をつけてね。残業は許さないから」
「ああ。それはもう、魂の底まで刻まれているさ」
「なんか貴⋯⋯セイヤさん? を見ていると哀れに思えるな」
勝手に哀れむな。
ゲートを通って、ところどころ光に反射する草原が広がるダンジョンに入った。
ここでは宝玉関係のドロップアイテムが多く手に入る。
それは高額で買い取られるため、金を稼ぐにはちょうど良いダンジョンなのだ。
だけどそこまで人気があるとは言えない。それは何故か。
敵がクッソ硬いのである。
宝玉の甲羅を持つ巨大な亀が主な魔物であり、そいつがとにかく硬いのだ。
金は稼げるが時間と労力がかかり、亀を倒すための道具を揃える必要もあるため、不人気なダンジョンとなってしまった。
だが俺は挑む。なぜなら金が欲しいから。
二日間暇で、知識豊富なユリアさんに協力してもらい、俺はとあるアイテムを購入したいと思ったのだ。⋯⋯毎晩己の動画を流すのはかなりの苦行だった。
そのためには金が必要だ。金が欲しい。とにかく金がいるのだ。
「俺の探索者ライフを大きく変えるためにも、たくさん稼ぐぞー!」
と、息巻いて数時間、今は弁当を食べている。
俺の成果はゼロである。
このダンジョンの不人気なポイントは決して、魔物本体だけでは無いのだ。
それを今、痛感している。
「エンカウント率が低い。てか、昼まで走り回って一体も居ねぇ!」
数が少ないんだよ!
いっそ、この辺の土を掘り起こして宝石を見つける方が稼げるんじゃないかと思ってしまう程だ。
だからこそ、人が少ないダンジョンなのだろう。
「何かコツとかないのかな?」
そんな事をグチグチ言いながら、必死に魔物を探した。
そしてようやく、ようやく発見した。
「甲羅は見た感じ⋯⋯サファイアか」
亀の中ではランクは低い。
「魔法少女のパンチ力で沈めや亀ええええええ!」
落下の勢いを乗せた拳が亀の甲羅に炸裂した。
プルプルと全身に回る衝撃。
「いっっっってえええええええ!」
クッソ硬いってレベルじゃないだろ。なんだよこの硬さ!
しかも硬質感がとてもあるせいで、反動がめっちゃ痛い。
いや、宝石の甲羅を殴っただけでここまでの反動が来るとは考えにくい。
「お前、攻撃反射系のスキル持ってんな」
ただ、少しだけ甲羅は凹んでいる。何発が殴れば勝てるだろう。
だけど痛い。
亀が顔を出して、石を吐き出した。これは大した事はなく、簡単に砕ける。
「問題は⋯⋯って、器用だな」
亀が裏返り、自らを回転させて迫ってくる。
甲羅のツルツル感を利用したスピン攻撃だろう。なかなかに速い。
跳躍して避けた。
「腹は柔らかかったりしますか?」
だけど同じ宝石があるんだよなぁ。嫌な感じがビンビンするので攻撃は止めておく。
それだったら顔とかの方が良いかもしれないが、引っ込んでしまうんだよな。踏んでもないのに。
「あ」
俺はステッキを鉄の棒にして、瞬時に横に周り腹の下に差し込む。
大きなスプーンをイメージして、変化させる。
後は壊れないステッキのチート性能を利用して、力いっぱい持ち上げる。
「ミュータントゾンビの方が、重いんじゃ!」
上空にぶち上げて、そのまま落下して来る亀。
うん。これが一番簡単に倒せる方法だ。間接的なら反動もねぇし。
三回やったら甲羅が砕けて魔石に変わった。あと、サファイアがドロップした。
強いて言うのであれば、冷房の利きが良くてとても快適だった、だろうか?
紗奈ちゃんの冷気が来なかったので、使用した。前だと紗奈ちゃんが居る時は常にちょうど良いくらいに冷えていた。
リビングに向かうためにドアを開く。
「おはよう星夜さん」
「おはよう」
ユリアさんは力の関係で紗奈ちゃんの近くに居るのが一番らしいので、納得はできる。
ただ未だに納得できない事がある。それが彼女だ。
未だに名前どころか苗字すら分かってない本部長の秘書さん。
紗奈ちゃんの晩御飯を食べに不法侵入が日常化し、いつしか同じ屋根の下で寝るまでになった。
仕事場はかなり離れた東京にあるのに、彼女は一瞬で行ける。
「紗奈ちゃんの負担が増えなければ良いんだけど⋯⋯」
当人は楽しそうなので、俺は何も言えない。
朝ごはんを食べ、弁当を受け取り、俺達はギルドに向かう。
ユリアさんと秘書さんは転移で消えた。
ギルドで紗奈ちゃんを待っていると、青年は絡んで来なかった。そのため、ロリ職員が絡んで来る⋯⋯事もなかった。
久しぶり? 懐かしの?
一人で紗奈ちゃんが受付に出るのを待つ。
受付に紗奈ちゃんが出たので、俺は向かう。
「星夜さん、今日はどのダンジョンに行くの?」
「宝玉の草原」
「金稼ぎが目的だね。分かった」
俺は無視しようとしたけど、やっぱり気になってしまったので、チラリと紗奈ちゃんの後ろにいる女性を見る。
目だけを動かして見たのに、彼女は気づいたようだった。
「えっと、おはようなのだ人間!」
まるで自分が人間では無いように言うが⋯⋯もしかしたら正しいのかもしれない。
角に尻尾、それに翼もある。
まじで誰だろう?
「こーら、ちゃんと敬語を使いなさい」
「なにっ! 貴様だってこの人間に敬語を使ってないではないか! 差別だ!」
「区別よ。私は良いの。特別だから。ちゃんと敬語使わないと、ここでは働けないよ」
「ぐぬっ、それは困る。あのスライムのところには居たくない!」
二人で会話を始めてしまった。大丈夫か?
紗奈ちゃんが我に返ったように振り返り、俺にステータスカードを差し出す。
「今日も気をつけてね。残業は許さないから」
「ああ。それはもう、魂の底まで刻まれているさ」
「なんか貴⋯⋯セイヤさん? を見ていると哀れに思えるな」
勝手に哀れむな。
ゲートを通って、ところどころ光に反射する草原が広がるダンジョンに入った。
ここでは宝玉関係のドロップアイテムが多く手に入る。
それは高額で買い取られるため、金を稼ぐにはちょうど良いダンジョンなのだ。
だけどそこまで人気があるとは言えない。それは何故か。
敵がクッソ硬いのである。
宝玉の甲羅を持つ巨大な亀が主な魔物であり、そいつがとにかく硬いのだ。
金は稼げるが時間と労力がかかり、亀を倒すための道具を揃える必要もあるため、不人気なダンジョンとなってしまった。
だが俺は挑む。なぜなら金が欲しいから。
二日間暇で、知識豊富なユリアさんに協力してもらい、俺はとあるアイテムを購入したいと思ったのだ。⋯⋯毎晩己の動画を流すのはかなりの苦行だった。
そのためには金が必要だ。金が欲しい。とにかく金がいるのだ。
「俺の探索者ライフを大きく変えるためにも、たくさん稼ぐぞー!」
と、息巻いて数時間、今は弁当を食べている。
俺の成果はゼロである。
このダンジョンの不人気なポイントは決して、魔物本体だけでは無いのだ。
それを今、痛感している。
「エンカウント率が低い。てか、昼まで走り回って一体も居ねぇ!」
数が少ないんだよ!
いっそ、この辺の土を掘り起こして宝石を見つける方が稼げるんじゃないかと思ってしまう程だ。
だからこそ、人が少ないダンジョンなのだろう。
「何かコツとかないのかな?」
そんな事をグチグチ言いながら、必死に魔物を探した。
そしてようやく、ようやく発見した。
「甲羅は見た感じ⋯⋯サファイアか」
亀の中ではランクは低い。
「魔法少女のパンチ力で沈めや亀ええええええ!」
落下の勢いを乗せた拳が亀の甲羅に炸裂した。
プルプルと全身に回る衝撃。
「いっっっってえええええええ!」
クッソ硬いってレベルじゃないだろ。なんだよこの硬さ!
しかも硬質感がとてもあるせいで、反動がめっちゃ痛い。
いや、宝石の甲羅を殴っただけでここまでの反動が来るとは考えにくい。
「お前、攻撃反射系のスキル持ってんな」
ただ、少しだけ甲羅は凹んでいる。何発が殴れば勝てるだろう。
だけど痛い。
亀が顔を出して、石を吐き出した。これは大した事はなく、簡単に砕ける。
「問題は⋯⋯って、器用だな」
亀が裏返り、自らを回転させて迫ってくる。
甲羅のツルツル感を利用したスピン攻撃だろう。なかなかに速い。
跳躍して避けた。
「腹は柔らかかったりしますか?」
だけど同じ宝石があるんだよなぁ。嫌な感じがビンビンするので攻撃は止めておく。
それだったら顔とかの方が良いかもしれないが、引っ込んでしまうんだよな。踏んでもないのに。
「あ」
俺はステッキを鉄の棒にして、瞬時に横に周り腹の下に差し込む。
大きなスプーンをイメージして、変化させる。
後は壊れないステッキのチート性能を利用して、力いっぱい持ち上げる。
「ミュータントゾンビの方が、重いんじゃ!」
上空にぶち上げて、そのまま落下して来る亀。
うん。これが一番簡単に倒せる方法だ。間接的なら反動もねぇし。
三回やったら甲羅が砕けて魔石に変わった。あと、サファイアがドロップした。
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