128 / 179
物理系魔法少女、天使にパワーで負ける
しおりを挟む
アオイさんを救いたいと考えているが、それを実行するにしてもプランが無い。
そんな状態で突如としてミカエルと言う天使が現れた。
ミドリさんとの会話を聞いている限りだと、アオイさんを殺せと言う事だと思う。
そしてミドリさんの友情をバッサリと切り捨てた。
「お前は不良品ではないだろ。だから頼んだのだ。あの歯車を処分しろと」
「でも、ですが」
「友など我々に必要あるのか? 無いだろう?」
「アオイちゃんは、仲間で」
その言葉にため息でも出したかのような間を空けてからミカエルは言葉を出す。
「我々は軍であり個ではないのだ。それを乱す輩は処分する。それだけだ。友情などとくだらぬ理由で責務を蔑ろにするな。お前も不良品の烙印が欲しいか?」
「不良品は、嫌や。絶対に」
「そうだろう。殺れ」
ミドリさんは『不良品』と言う言葉を聞いてから明らかに動揺が激しくなっている。
身体の震えや目の動きが、その動揺を第三者に分かりやすく伝えている。
何となく、東京で聞いた話と繋がる気がする。
きっと彼女にとっての禁句なのだろう。多分アイツはそれを理解している。
理解した上で煽っているんだ。
捨てられた子は次は捨てられないと、親の望むままに行動する。⋯⋯知らんけど。
「うちは、不良品やない」
感情がなさそうなくせに、人の嫌がる事は分かるのかね?
あーくそ。口も動かねぇ。
ミドリさんは剣を持って、抵抗しないアオイさんに向かって歩いて行く。
横顔は真っ青だ。
止めろ。止めろ!
「や、め、ろおおおおお!」
俺は地面を蹴って、ミドリさんの前に立った。
「なぜ我の前で動ける」
「そこに戸惑いはあるのか? 冷静だな。そんなもん気合いだろ」
俺が前に出ると、ミドリさんと目が合う。
なにかに縋るような目だ。
社会人時代、クビにならないようにしていた自分もあんな目をしていたのだろうか?
「アオイさん。少しでも意識があるなら聞いてくれ」
そうは言ったが、なんて声をかけて良いのか分からない。
数少ないアオイさんとの会話でもヒントはあるはずだ。
思い出せ。
ダークフォレストの時!
「今のアオイさんを見て、支えてくれる人はたくさんいる。ミズノや俺だって。一人で抱え込まずに、悲しい時辛い時は誰かに頼って良いんだ! 自分の価値は自分で決められないからな!」
俺の叫びは静かな森の中に響いた。
しかし、ミカエルの心に響く事はなく、光の魔法をアオイさんに向けて放った。
瞬時に反応できたのが俺だけだったので、殴り軌道をズラす。
しかし、アオイさんの頬を掠めてしまった。
ミドリさんの攻撃は既に回復している。舞った血は己の炎で蒸発する。
「う、ああああああああ!」
悪魔のオーラ? 的なのがアオイさんから溢れる。
絶叫と共に吐き出されたモノが抜けた後、アオイさんはいつもの蒼色に戻っていた。
ミドリさんがそれに気づいて、ミカエルの方を喜びに満ちた顔で振り返る。
「一度堕ちたのだ。二度がある。今、弱っているうちに処分するのが、良品だ」
残酷の一言がミカエルから出される。
膝から崩れ落ちるミドリさんを横切り、俺はミカエルと対峙する。
「⋯⋯なんだお前は。我々の加護を受けてないな。だと言うのにその姿、何者だ」
「俺はな、お前を一発殴る者だ」
ミカエルと俺が同時に動き出し、拳を衝突させた。
吹き飛んだのは俺である。地面に足を埋めて止まる。
右腕から激痛か全身に伝わる。あの一撃で完全に骨折したらしい。
「ミカエルがどんなやつか知らねぇけどな。人の友情を否定する権利なんてねぇ!」
「我々は力を与えている。役目を与えている。それに恩義を返すのは当たり前だ」
「それは恩の押しつけだ。てめぇらが利用するために勝手にやってる事だろ」
「強く望んでいたからこそ、与えたのだ。履き違えるなよ」
右腕が使えないからってなんぼのもんじゃい。
そんなんで、俺は止まらない。
走り出そうと足に力を入れたのと同時だった、俺達の周囲を様々な精霊が囲んだ。
「大精霊や精霊王だと? なぜここに?」
「さぁ、理由なんて一つだろ」
精霊達が魔法陣を展開する。
「さすがにまずいか」
ミカエルがいきなり姿をパッと消した。
逃げたのだろう。
しかし、精霊にも上位種ってのはいるんだな。
アオイさんは助かった感じ? だったからまぁ良いか。
今回の報告はどうしようか。
「身体が、重いな」
「その姿で天使に矛を向けたからじゃろ。帰りはわらわに任せるのじゃ」
意識を落とした。
目を覚ますと、家の天井が目に入り、柔らかい果実で息の根を止められそうになっているところだった。
冷静に紗奈ちゃんをゆっくりと転がして、周囲を確認する。
俺の部屋でもリビングでもない。紗奈ちゃんの部屋なのだろう。
ドアのところがガチガチに氷で凍らされており、脱出は困難に見える。
「つっ」
右腕に痛みが走る。普通に動かせるけど痛みがあるな。
窓は空けれそうなので開けて、外に出る。
魔法で足場を作ってベランダに移動し、魔法で鍵を開ける。
鍵の開いた幻影を真にすれば良いのである。ダンジョンでは使えない成長だ。
俺は自分の部屋でゆっくりと寝た。紗奈ちゃんが隣にいるとゆっくり寝れん。
嫌では無い。むしろ嬉しいが、心臓がうるさいのである。
明日、今日の事を聞こう。
そんな状態で突如としてミカエルと言う天使が現れた。
ミドリさんとの会話を聞いている限りだと、アオイさんを殺せと言う事だと思う。
そしてミドリさんの友情をバッサリと切り捨てた。
「お前は不良品ではないだろ。だから頼んだのだ。あの歯車を処分しろと」
「でも、ですが」
「友など我々に必要あるのか? 無いだろう?」
「アオイちゃんは、仲間で」
その言葉にため息でも出したかのような間を空けてからミカエルは言葉を出す。
「我々は軍であり個ではないのだ。それを乱す輩は処分する。それだけだ。友情などとくだらぬ理由で責務を蔑ろにするな。お前も不良品の烙印が欲しいか?」
「不良品は、嫌や。絶対に」
「そうだろう。殺れ」
ミドリさんは『不良品』と言う言葉を聞いてから明らかに動揺が激しくなっている。
身体の震えや目の動きが、その動揺を第三者に分かりやすく伝えている。
何となく、東京で聞いた話と繋がる気がする。
きっと彼女にとっての禁句なのだろう。多分アイツはそれを理解している。
理解した上で煽っているんだ。
捨てられた子は次は捨てられないと、親の望むままに行動する。⋯⋯知らんけど。
「うちは、不良品やない」
感情がなさそうなくせに、人の嫌がる事は分かるのかね?
あーくそ。口も動かねぇ。
ミドリさんは剣を持って、抵抗しないアオイさんに向かって歩いて行く。
横顔は真っ青だ。
止めろ。止めろ!
「や、め、ろおおおおお!」
俺は地面を蹴って、ミドリさんの前に立った。
「なぜ我の前で動ける」
「そこに戸惑いはあるのか? 冷静だな。そんなもん気合いだろ」
俺が前に出ると、ミドリさんと目が合う。
なにかに縋るような目だ。
社会人時代、クビにならないようにしていた自分もあんな目をしていたのだろうか?
「アオイさん。少しでも意識があるなら聞いてくれ」
そうは言ったが、なんて声をかけて良いのか分からない。
数少ないアオイさんとの会話でもヒントはあるはずだ。
思い出せ。
ダークフォレストの時!
「今のアオイさんを見て、支えてくれる人はたくさんいる。ミズノや俺だって。一人で抱え込まずに、悲しい時辛い時は誰かに頼って良いんだ! 自分の価値は自分で決められないからな!」
俺の叫びは静かな森の中に響いた。
しかし、ミカエルの心に響く事はなく、光の魔法をアオイさんに向けて放った。
瞬時に反応できたのが俺だけだったので、殴り軌道をズラす。
しかし、アオイさんの頬を掠めてしまった。
ミドリさんの攻撃は既に回復している。舞った血は己の炎で蒸発する。
「う、ああああああああ!」
悪魔のオーラ? 的なのがアオイさんから溢れる。
絶叫と共に吐き出されたモノが抜けた後、アオイさんはいつもの蒼色に戻っていた。
ミドリさんがそれに気づいて、ミカエルの方を喜びに満ちた顔で振り返る。
「一度堕ちたのだ。二度がある。今、弱っているうちに処分するのが、良品だ」
残酷の一言がミカエルから出される。
膝から崩れ落ちるミドリさんを横切り、俺はミカエルと対峙する。
「⋯⋯なんだお前は。我々の加護を受けてないな。だと言うのにその姿、何者だ」
「俺はな、お前を一発殴る者だ」
ミカエルと俺が同時に動き出し、拳を衝突させた。
吹き飛んだのは俺である。地面に足を埋めて止まる。
右腕から激痛か全身に伝わる。あの一撃で完全に骨折したらしい。
「ミカエルがどんなやつか知らねぇけどな。人の友情を否定する権利なんてねぇ!」
「我々は力を与えている。役目を与えている。それに恩義を返すのは当たり前だ」
「それは恩の押しつけだ。てめぇらが利用するために勝手にやってる事だろ」
「強く望んでいたからこそ、与えたのだ。履き違えるなよ」
右腕が使えないからってなんぼのもんじゃい。
そんなんで、俺は止まらない。
走り出そうと足に力を入れたのと同時だった、俺達の周囲を様々な精霊が囲んだ。
「大精霊や精霊王だと? なぜここに?」
「さぁ、理由なんて一つだろ」
精霊達が魔法陣を展開する。
「さすがにまずいか」
ミカエルがいきなり姿をパッと消した。
逃げたのだろう。
しかし、精霊にも上位種ってのはいるんだな。
アオイさんは助かった感じ? だったからまぁ良いか。
今回の報告はどうしようか。
「身体が、重いな」
「その姿で天使に矛を向けたからじゃろ。帰りはわらわに任せるのじゃ」
意識を落とした。
目を覚ますと、家の天井が目に入り、柔らかい果実で息の根を止められそうになっているところだった。
冷静に紗奈ちゃんをゆっくりと転がして、周囲を確認する。
俺の部屋でもリビングでもない。紗奈ちゃんの部屋なのだろう。
ドアのところがガチガチに氷で凍らされており、脱出は困難に見える。
「つっ」
右腕に痛みが走る。普通に動かせるけど痛みがあるな。
窓は空けれそうなので開けて、外に出る。
魔法で足場を作ってベランダに移動し、魔法で鍵を開ける。
鍵の開いた幻影を真にすれば良いのである。ダンジョンでは使えない成長だ。
俺は自分の部屋でゆっくりと寝た。紗奈ちゃんが隣にいるとゆっくり寝れん。
嫌では無い。むしろ嬉しいが、心臓がうるさいのである。
明日、今日の事を聞こう。
0
あなたにおすすめの小説
役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !
本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。
主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。
その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。
そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。
主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。
ハーレム要素はしばらくありません。
『冒険者をやめて田舎で隠居します 〜気づいたら最強の村になってました〜』
チャチャ
ファンタジー
> 世界には4つの大陸がある。東に魔神族、西に人族、北に獣人とドワーフ、南にエルフと妖精族——種族ごとの国が、それぞれの文化と価値観で生きていた。
その世界で唯一のSSランク冒険者・ジーク。英雄と呼ばれ続けることに疲れた彼は、突如冒険者を引退し、田舎へと姿を消した。
「もう戦いたくない、静かに暮らしたいんだ」
そう願ったはずなのに、彼の周りにはドラゴンやフェンリル、魔神族にエルフ、ドワーフ……あらゆる種族が集まり、最強の村が出来上がっていく!?
のんびりしたいだけの元英雄の周囲が、どんどんカオスになっていく異世界ほのぼの(?)ファンタジー。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
ゲームコインをザクザク現金化。還暦オジ、田舎で世界を攻略中
あ、まん。@田中子樹
ファンタジー
仕事一筋40年。
結婚もせずに会社に尽くしてきた二瓶豆丸。
定年を迎え、静かな余生を求めて山奥へ移住する。
だが、突如世界が“数値化”され、現実がゲームのように変貌。
唯一の趣味だった15年続けた積みゲー「モリモリ」が、 なぜか現実世界とリンクし始める。
化け物が徘徊する世界で出会ったひとりの少女、滝川歩茶。
彼女を守るため、豆丸は“積みゲー”スキルを駆使して立ち上がる。
現金化されるコイン、召喚されるゲームキャラたち、 そして迫りくる謎の敵――。
これは、還暦オジが挑む、〝人生最後の積みゲー〟であり〝世界最後の攻略戦〟である。
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。
異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。
せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。
そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。
これは天啓か。
俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。
世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~
aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」
勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......?
お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる