156 / 179
物理系魔法少女、感染は気合い
しおりを挟む
「がはっ」
全身に走った激痛。焼けるような痛みが爪の攻撃を受けた箇所に走る。
「闇よ!」
シロエさんの白い闇によって地面に激突する事はなかった。
俺の腕の中から出て、回復魔法を使ってくれる。
油断していたとは言え、あの一撃で右腕がへし折れた。
「あん?」
攻撃を受けた場所が焼け爛れたような、腐ったような、どす黒い色に変色していた。
シロエさんの回復魔法も通ってないようだ。
その場所がまじで痛い。しかも、その黒いのは広がっていく。
「まさか腐食! くっ、まだですわ!」
「腐食? 腐ってんのか。でも、広がっているのなら」
俺は骨の治った右腕を隆起させる。
「らあああああああああ!」
叫び声しかあげられない激痛が巡り、腐った部分は徐々に治っていく。
「どうなってますの?!」
「なんかゾンビ感染っぽいし、気合いで収まるんじゃないかと思って⋯⋯」
「そんなの普通はありえませんよ!」
自己再生やアンデッドに対する特攻や耐性のおかげかもしれない。
気合いで進行を遅らせれば、シロエさんの魔法も相まって治るのだ。
さて、犯人の顔でも拝むとするか。
俺達は空を羽ばたくドラゴンを見上げる。
『生きてたのか!』
『なんか変じゃね?』
『ポツポツ落ちてる』
さっきまでのドラゴンとは大いに違い、片目は外れて今でも落ちそうだ。目を繋ぐ神経が見えている。
身体のあちこちで腐っているような色合いで、血が途切れることなく、ポトポトと落ちている。
骨もあちこちで露出している。翼にも穴がある。
俺達の戦いであんなにボコボコにはなってないのだが、ゾンビ化した影響なのだろうか?
「なんでこう、俺はアンデッドとの遭遇率が高いのかな」
嫌になるぜ。
「さながら、ドラゴンゾンビと言ったところでしょうか?」
「そうだな。一番しっくり来るよ」
ドラゴンが緑色の炎を吐き出した。
俺達を殺すと言う意志は変わらない様子だ。
「ふんっ!」
裏拳を使った衝撃波で、その炎を分散させる。
ドラゴンゾンビは上を向いて、黒い霧を出し始めた。
「レッドドラゴンからなっているのに、ドラゴンゾンビの特徴もしっかりと使えますの? それは厄介ですわね」
『うわ。嫌な思い出が蘇った』
『嫌な予感しかしない』
『なんだっけこれ?』
「腐食の雨ですわ。雨粒に当たると、徐々に腐るのですわ。全て」
「それは厄介だな」
シロエさんが歯を食いしばる。
「わたくしが時間を稼ぎますので、逃げてくださいまし。あれは超広範囲の厄介な攻撃ですわ。腐食耐性のある装備を着てない以上、戦えないですわ」
「シロエさんはどうするの?」
「アカツキさんが帰ったら、折を見て逃げ出しますわ。わたくしの闇なら腐食攻撃もどうにかなりますからね」
いつもの笑みを浮かべるシロエさんの肩に、俺は手を置いた。
「逃げねぇよ」
一歩前に出る。
「助っ人ホワイトマジックガールなんだろ? 助ける相手がいねぇと、ダメじゃないか」
今も広められている雲を確認する。
かなりと高さだが、うん。いけるな。
「それに俺、脳筋らしいからさ。難しい事分かんねぇ」
『らしいってなんだよ、らしいって』
『脳筋じゃないの?』
『え、自分の事脳筋だと思ってませんか』
『悲報、アカツキさんは現実を見れてなかった』
『らしい、じゃないんだよな』
『脳筋ですよw』
足に力を入れて、構える。
殴りの火力を出すには下半身の力も重要となる。
「それにさ、危険ならぶっ飛ばせば良いだろ」
強く拳を固めると、光を発する。
「必殺マジカルシリーズ、本気殴り上げ」
俺の本気で突き上げた拳は、黒く淀んだ雲に衝撃波を直撃させた。
その勢いはそれだけでは止まらない。
殴った衝撃で地面にクレーターができたのだ。
火力は別格、雲は殴り上げたところを中心に波紋上に広がって行き、雲から光が刺し始める。
その光は大きくなる。
「これでも俺は逃げる必要があるかな?」
「そう、そうですわね」
唖然としたシロエさんがいつもの調子を取り戻し、俺の隣に立った。
「ドラゴンソンビの厄介な点は腐食攻撃、攻撃を受けるのは避けてくださいまし」
「りょーかい」
「アンデッドの特徴として、物理攻撃の耐性、再生能力もあるかもしれません。それだけではなく、攻撃力も上がっているかと」
しっかりと説明してくれた。
ほんと、厄介な奴らに好かれたな俺は。
それにシロエさんを巻き込んだ形になってしまっている。
「それと、一番厄介な点がありますわ」
「ほうほう」
「ゾンビになる前にアカツキさんの強い攻撃を受けました。その影響で、物理攻撃耐性はとんでもないと思いますわ」
おっと、それは俺にとってかなりの悲報じゃないか?
どれだけ耐性があろうとも、関係ないけどね。
倒せるまで殴るだけだ。
それに今回はシロエさんって言う魔法を扱える人も居るんだ。
長い時間はかからんだろ。
『ドラゴンゾンビか。厄介だな』
『空は飛ぶし物理攻撃は通りにくいし⋯⋯なんでこうなるのやら』
『さすがはアカツキさんだな』
『アカツキクオリティは健在か』
『頑張れ!』
『まだ行けるだろ? 知らんけど』
全身に走った激痛。焼けるような痛みが爪の攻撃を受けた箇所に走る。
「闇よ!」
シロエさんの白い闇によって地面に激突する事はなかった。
俺の腕の中から出て、回復魔法を使ってくれる。
油断していたとは言え、あの一撃で右腕がへし折れた。
「あん?」
攻撃を受けた場所が焼け爛れたような、腐ったような、どす黒い色に変色していた。
シロエさんの回復魔法も通ってないようだ。
その場所がまじで痛い。しかも、その黒いのは広がっていく。
「まさか腐食! くっ、まだですわ!」
「腐食? 腐ってんのか。でも、広がっているのなら」
俺は骨の治った右腕を隆起させる。
「らあああああああああ!」
叫び声しかあげられない激痛が巡り、腐った部分は徐々に治っていく。
「どうなってますの?!」
「なんかゾンビ感染っぽいし、気合いで収まるんじゃないかと思って⋯⋯」
「そんなの普通はありえませんよ!」
自己再生やアンデッドに対する特攻や耐性のおかげかもしれない。
気合いで進行を遅らせれば、シロエさんの魔法も相まって治るのだ。
さて、犯人の顔でも拝むとするか。
俺達は空を羽ばたくドラゴンを見上げる。
『生きてたのか!』
『なんか変じゃね?』
『ポツポツ落ちてる』
さっきまでのドラゴンとは大いに違い、片目は外れて今でも落ちそうだ。目を繋ぐ神経が見えている。
身体のあちこちで腐っているような色合いで、血が途切れることなく、ポトポトと落ちている。
骨もあちこちで露出している。翼にも穴がある。
俺達の戦いであんなにボコボコにはなってないのだが、ゾンビ化した影響なのだろうか?
「なんでこう、俺はアンデッドとの遭遇率が高いのかな」
嫌になるぜ。
「さながら、ドラゴンゾンビと言ったところでしょうか?」
「そうだな。一番しっくり来るよ」
ドラゴンが緑色の炎を吐き出した。
俺達を殺すと言う意志は変わらない様子だ。
「ふんっ!」
裏拳を使った衝撃波で、その炎を分散させる。
ドラゴンゾンビは上を向いて、黒い霧を出し始めた。
「レッドドラゴンからなっているのに、ドラゴンゾンビの特徴もしっかりと使えますの? それは厄介ですわね」
『うわ。嫌な思い出が蘇った』
『嫌な予感しかしない』
『なんだっけこれ?』
「腐食の雨ですわ。雨粒に当たると、徐々に腐るのですわ。全て」
「それは厄介だな」
シロエさんが歯を食いしばる。
「わたくしが時間を稼ぎますので、逃げてくださいまし。あれは超広範囲の厄介な攻撃ですわ。腐食耐性のある装備を着てない以上、戦えないですわ」
「シロエさんはどうするの?」
「アカツキさんが帰ったら、折を見て逃げ出しますわ。わたくしの闇なら腐食攻撃もどうにかなりますからね」
いつもの笑みを浮かべるシロエさんの肩に、俺は手を置いた。
「逃げねぇよ」
一歩前に出る。
「助っ人ホワイトマジックガールなんだろ? 助ける相手がいねぇと、ダメじゃないか」
今も広められている雲を確認する。
かなりと高さだが、うん。いけるな。
「それに俺、脳筋らしいからさ。難しい事分かんねぇ」
『らしいってなんだよ、らしいって』
『脳筋じゃないの?』
『え、自分の事脳筋だと思ってませんか』
『悲報、アカツキさんは現実を見れてなかった』
『らしい、じゃないんだよな』
『脳筋ですよw』
足に力を入れて、構える。
殴りの火力を出すには下半身の力も重要となる。
「それにさ、危険ならぶっ飛ばせば良いだろ」
強く拳を固めると、光を発する。
「必殺マジカルシリーズ、本気殴り上げ」
俺の本気で突き上げた拳は、黒く淀んだ雲に衝撃波を直撃させた。
その勢いはそれだけでは止まらない。
殴った衝撃で地面にクレーターができたのだ。
火力は別格、雲は殴り上げたところを中心に波紋上に広がって行き、雲から光が刺し始める。
その光は大きくなる。
「これでも俺は逃げる必要があるかな?」
「そう、そうですわね」
唖然としたシロエさんがいつもの調子を取り戻し、俺の隣に立った。
「ドラゴンソンビの厄介な点は腐食攻撃、攻撃を受けるのは避けてくださいまし」
「りょーかい」
「アンデッドの特徴として、物理攻撃の耐性、再生能力もあるかもしれません。それだけではなく、攻撃力も上がっているかと」
しっかりと説明してくれた。
ほんと、厄介な奴らに好かれたな俺は。
それにシロエさんを巻き込んだ形になってしまっている。
「それと、一番厄介な点がありますわ」
「ほうほう」
「ゾンビになる前にアカツキさんの強い攻撃を受けました。その影響で、物理攻撃耐性はとんでもないと思いますわ」
おっと、それは俺にとってかなりの悲報じゃないか?
どれだけ耐性があろうとも、関係ないけどね。
倒せるまで殴るだけだ。
それに今回はシロエさんって言う魔法を扱える人も居るんだ。
長い時間はかからんだろ。
『ドラゴンゾンビか。厄介だな』
『空は飛ぶし物理攻撃は通りにくいし⋯⋯なんでこうなるのやら』
『さすがはアカツキさんだな』
『アカツキクオリティは健在か』
『頑張れ!』
『まだ行けるだろ? 知らんけど』
0
あなたにおすすめの小説
役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !
本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。
主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。
その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。
そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。
主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。
ハーレム要素はしばらくありません。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
ゲームコインをザクザク現金化。還暦オジ、田舎で世界を攻略中
あ、まん。@田中子樹
ファンタジー
仕事一筋40年。
結婚もせずに会社に尽くしてきた二瓶豆丸。
定年を迎え、静かな余生を求めて山奥へ移住する。
だが、突如世界が“数値化”され、現実がゲームのように変貌。
唯一の趣味だった15年続けた積みゲー「モリモリ」が、 なぜか現実世界とリンクし始める。
化け物が徘徊する世界で出会ったひとりの少女、滝川歩茶。
彼女を守るため、豆丸は“積みゲー”スキルを駆使して立ち上がる。
現金化されるコイン、召喚されるゲームキャラたち、 そして迫りくる謎の敵――。
これは、還暦オジが挑む、〝人生最後の積みゲー〟であり〝世界最後の攻略戦〟である。
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活
髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。
しかし神は彼を見捨てていなかった。
そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。
これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。
掘鑿王(くっさくおう)~ボクしか知らない隠しダンジョンでSSRアイテムばかり掘り出し大金持ち~
テツみン
ファンタジー
『掘削士』エリオットは、ダンジョンの鉱脈から鉱石を掘り出すのが仕事。
しかし、非戦闘職の彼は冒険者仲間から不遇な扱いを受けていた。
ある日、ダンジョンに入ると天災級モンスター、イフリートに遭遇。エリオットは仲間が逃げ出すための囮(おとり)にされてしまう。
「生きて帰るんだ――妹が待つ家へ!」
彼は岩の割れ目につるはしを打ち込み、崩落を誘発させ――
目が覚めると未知の洞窟にいた。
貴重な鉱脈ばかりに興奮するエリオットだったが、特に不思議な形をしたクリスタルが気になり、それを掘り出す。
その中から現れたモノは……
「えっ? 女の子???」
これは、不遇な扱いを受けていた少年が大陸一の大富豪へと成り上がっていく――そんな物語である。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
『冒険者をやめて田舎で隠居します 〜気づいたら最強の村になってました〜』
チャチャ
ファンタジー
> 世界には4つの大陸がある。東に魔神族、西に人族、北に獣人とドワーフ、南にエルフと妖精族——種族ごとの国が、それぞれの文化と価値観で生きていた。
その世界で唯一のSSランク冒険者・ジーク。英雄と呼ばれ続けることに疲れた彼は、突如冒険者を引退し、田舎へと姿を消した。
「もう戦いたくない、静かに暮らしたいんだ」
そう願ったはずなのに、彼の周りにはドラゴンやフェンリル、魔神族にエルフ、ドワーフ……あらゆる種族が集まり、最強の村が出来上がっていく!?
のんびりしたいだけの元英雄の周囲が、どんどんカオスになっていく異世界ほのぼの(?)ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる