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激戦
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「ライハ兵長を、殺した?」
目眩がする。体に受けたダメージに寄る影響では無く、言われた事に対して目眩がするのだ。
戦争で敗れるなら納得だけはしよう。
だが、仲間であった相手に殺されたと成ると納得も出来ない。
それだけじゃない。今まで信じていたモノを崩された時の絶望は計り知れない。
言葉に表せない怒りと絶望が心の底から膨れ上がっている。
「ああ。俺が殺した。知ってるだろ? 俺とアイツとの関係をさ。ムカついてなぁ、ちと殺ってしまった。簡単だったぜ! 確かに実力では俺は負けていた。だけどなぁ」
俺とライハさんが写ったペンダントを顔の横に持って行き舌なめずりをする。
その相手を舐め腐り下に見る表情に対して過去の記憶が蘇る。
毎日の様に対立し口論する二人を。
防衛戦だから国を守る事を優先するライハさんに対して相手を殺し壊し潰す事を考えるカイラ。
今と成ってはどっちが正しかったのか⋯⋯どちらにせよ俺はライハさんの意見を尊重していただろう。
相手の兵士を脅しに使うと言ったカイラを今まで止めていたのはライハさんだ。
無意識に剣を握る力が強くなる。
歯を食いしばり、必死に怒りを抑える。
「最後は悲鳴すら上げなかった。死んだ時に何も叫ばなかった。つまらなかったぜ」
「何が、つまらないんだ」
「だってよぉ。死ぬってなら、もう少し良い表情して欲しかっただろ?」
「⋯⋯お前の様な外道に対しても、ライハ兵長は軍人として、逝けたんだな」
「あ、思い出した。最後に遺言聞いてやったんだよ! それがなぁ『家族には手を出さないで』だったんだぁ。それに対して『ノー』って言ってやった時のアイツの顔、最高だったぜ」
俺はもう何も言わず何も考えず特攻した。
漆黒の剣により黒い闇が纏わり、反対の純白の剣にはより白い光が纏わり着く。
魔力を流し強化した斬撃を同じ方向に向かって攻撃出来る様に左側に構える。
「へっ」
二重のサークルを描く様に斬り、防がれたら足のスナップを利用して更に回転して攻撃する。
重心が固定出来ず転けそうに成る力を利用して場所を変え斬り裂く。
攻撃する度に速度は上がり相手に与える一撃は俺の怒り同様に大きくなる。
しかし、その速度にも攻撃にも全て対応して防いで来る。
受け流された感じは毛頭ない。
つまり、⋯⋯相手の実力が予想よりも遥か上がっている。
「ライハが使っていた剣術の一つか。そういやぁ、アイツ、自分の弟子は息子と娘しか取ってなかったな。勿体ねぇよなぁ。皆、皆、アイツに剣術を習いたかっただろうに」
「黙れッ!」
もっと速く! もっと強く!
「そんで、結局剣術はライハの下位互換と呼ばれている奴が教える様に成って⋯⋯そいつも下位互換、下位互換って言われ続けて病んじまったんだよなぁ」
「黙れッ!」
「でなぁ、ライハ殺しにはそいつも関わってんだよ。ま、今と成ってはアイツもこの世には居ないのかもしれないがな! お前らが見ていた軍の光景と俺が見てきた軍の光景は違うってのを、覚えておけよ!」
「グッ」
弾かれて後ろに飛ばされる。
「お前らが尊敬する上官達は全員良い奴だったなぁ。偽善者の集まりで面白過ぎて、ほんと良い奴だったなぁ!」
「だあああまあああれえええ!」
俺は剣を背中の鞘に高速で収める。腰のホルダーに仕舞ってあった、戦争では一切使う事の無かった⋯⋯否、旅を始めてから一度も抜く事が無かったハンドガンを二丁抜く。
剣を振るう速度を凌駕する速度で相手の急所を狙い放つ。
「ようやくガチで殺るってか! ここまで煽ってようやくか! さぁ、本当の絶望を教えてやるよ!」
ハンドガンに入っている弾を全て放つ。
しかし、カイラは後ろに跳びながら多節棍で全てを弾いた。弾の弾く金属音がやけに響く。
「相変わらず目線と殺気が射線と合ってねぇなあ! お前の拳銃と狙撃銃だけは皆がその実力を認めていた⋯⋯だが、拳銃では純粋に火力不足、狙撃銃は自動発動型の防御結界で防がれる⋯⋯戦争では何の役にも立たない才能! そして、ライハの息子でありながら剣術はイマイチなユウキ君よぉ! 俺はそんなお前を一度殺してみたかったんだあああ!」
相手から漏れ出る死そのモノの恐怖。
全身から汗が出そうな威圧感。
だが、俺は何も反応を示さない。
命に対する考えも何も無い。命の尊さなんて、こいつに問う必要は無い。
だから俺は──。
カイラの言っている事は事実だ。
ハンドガンでは純粋に火力が足らない。そもそも、俺が戦争に参加出来た時には相手は殆ど遠距離攻撃が主体だった。
現在、俺のハンドガンはアクアの鍛冶師のおやっさんに改造して貰っている。
正確には錬金術師か。
魔道具の制作には元を鍛冶師が作り、魔力を流せたり能力を発動させる原理を作るのが錬金術師だ。
そして、俺の改造されたハンドガンには自動でリロードしてくれるオートリロード機能が存在する。
「⋯⋯さぁ、もっと見せてくれ! お前の本気を! 軍人最強、国の最強の人間と呼ばれた女の子供の力を!」
「お望み通り!」
俺はカイラに向かって駆けながら弾を放ち、全弾撃ち終わったら即リロード。
マガジンは瞬時に腕輪から出す。
「まだまだあああ!」
魔力を流し能力を発動させる。
砲口の中に取り付けられているレールに魔道具としての力で生み出された高圧の電気を流し、電磁力を作り出す。
それが溜まって行き、火薬を使っての弾を放ち、電磁力を利用して更に加速する。
ざっくり言えば、手軽に使える超電磁砲だ。
「ぬっ!」
第一回の連射を防ぐのに徹したカイラの不意を突き、蒼き閃光と成った二本の弾丸をギリギリになって躱した。
だが、弾丸に纏われた電気や風圧により弾を躱すだけでは完全にダメージは防げない。
「チィ!」
相手の両頬を掠めた弾丸は俺が最初に与えれたダメージである。
しかし、レールガンの加速は一発に対して最低二秒程のチャージが必要であり、一度放つと銃口に高熱の熱が溜まりオーバーヒートして撃てない。
だからこそ、新たな能力を発動させて急速に冷やす。
「前に使っていたのと変わらない⋯⋯どこかで改造したのか!」
「前の俺とは違うんだよ!」
咆哮を上げ、神経を集中させてレールガンの能力を使わず放つ。
カイラは高く跳ぶ。
空を見上げると相手が太陽光と被る。
そして、黒い筒状の影が雨の様に降り注いでいた。
「多節棍連撃・雨!」
相手の多節棍の伸び縮みが自由に行える能力を利用した連撃。
それをカイラが技術で引き上げた力。
残像を生み出す程の速度で突きの連撃を多節棍で放つカイラ。
「俺は、成長しているんだ!」
目眩がする。体に受けたダメージに寄る影響では無く、言われた事に対して目眩がするのだ。
戦争で敗れるなら納得だけはしよう。
だが、仲間であった相手に殺されたと成ると納得も出来ない。
それだけじゃない。今まで信じていたモノを崩された時の絶望は計り知れない。
言葉に表せない怒りと絶望が心の底から膨れ上がっている。
「ああ。俺が殺した。知ってるだろ? 俺とアイツとの関係をさ。ムカついてなぁ、ちと殺ってしまった。簡単だったぜ! 確かに実力では俺は負けていた。だけどなぁ」
俺とライハさんが写ったペンダントを顔の横に持って行き舌なめずりをする。
その相手を舐め腐り下に見る表情に対して過去の記憶が蘇る。
毎日の様に対立し口論する二人を。
防衛戦だから国を守る事を優先するライハさんに対して相手を殺し壊し潰す事を考えるカイラ。
今と成ってはどっちが正しかったのか⋯⋯どちらにせよ俺はライハさんの意見を尊重していただろう。
相手の兵士を脅しに使うと言ったカイラを今まで止めていたのはライハさんだ。
無意識に剣を握る力が強くなる。
歯を食いしばり、必死に怒りを抑える。
「最後は悲鳴すら上げなかった。死んだ時に何も叫ばなかった。つまらなかったぜ」
「何が、つまらないんだ」
「だってよぉ。死ぬってなら、もう少し良い表情して欲しかっただろ?」
「⋯⋯お前の様な外道に対しても、ライハ兵長は軍人として、逝けたんだな」
「あ、思い出した。最後に遺言聞いてやったんだよ! それがなぁ『家族には手を出さないで』だったんだぁ。それに対して『ノー』って言ってやった時のアイツの顔、最高だったぜ」
俺はもう何も言わず何も考えず特攻した。
漆黒の剣により黒い闇が纏わり、反対の純白の剣にはより白い光が纏わり着く。
魔力を流し強化した斬撃を同じ方向に向かって攻撃出来る様に左側に構える。
「へっ」
二重のサークルを描く様に斬り、防がれたら足のスナップを利用して更に回転して攻撃する。
重心が固定出来ず転けそうに成る力を利用して場所を変え斬り裂く。
攻撃する度に速度は上がり相手に与える一撃は俺の怒り同様に大きくなる。
しかし、その速度にも攻撃にも全て対応して防いで来る。
受け流された感じは毛頭ない。
つまり、⋯⋯相手の実力が予想よりも遥か上がっている。
「ライハが使っていた剣術の一つか。そういやぁ、アイツ、自分の弟子は息子と娘しか取ってなかったな。勿体ねぇよなぁ。皆、皆、アイツに剣術を習いたかっただろうに」
「黙れッ!」
もっと速く! もっと強く!
「そんで、結局剣術はライハの下位互換と呼ばれている奴が教える様に成って⋯⋯そいつも下位互換、下位互換って言われ続けて病んじまったんだよなぁ」
「黙れッ!」
「でなぁ、ライハ殺しにはそいつも関わってんだよ。ま、今と成ってはアイツもこの世には居ないのかもしれないがな! お前らが見ていた軍の光景と俺が見てきた軍の光景は違うってのを、覚えておけよ!」
「グッ」
弾かれて後ろに飛ばされる。
「お前らが尊敬する上官達は全員良い奴だったなぁ。偽善者の集まりで面白過ぎて、ほんと良い奴だったなぁ!」
「だあああまあああれえええ!」
俺は剣を背中の鞘に高速で収める。腰のホルダーに仕舞ってあった、戦争では一切使う事の無かった⋯⋯否、旅を始めてから一度も抜く事が無かったハンドガンを二丁抜く。
剣を振るう速度を凌駕する速度で相手の急所を狙い放つ。
「ようやくガチで殺るってか! ここまで煽ってようやくか! さぁ、本当の絶望を教えてやるよ!」
ハンドガンに入っている弾を全て放つ。
しかし、カイラは後ろに跳びながら多節棍で全てを弾いた。弾の弾く金属音がやけに響く。
「相変わらず目線と殺気が射線と合ってねぇなあ! お前の拳銃と狙撃銃だけは皆がその実力を認めていた⋯⋯だが、拳銃では純粋に火力不足、狙撃銃は自動発動型の防御結界で防がれる⋯⋯戦争では何の役にも立たない才能! そして、ライハの息子でありながら剣術はイマイチなユウキ君よぉ! 俺はそんなお前を一度殺してみたかったんだあああ!」
相手から漏れ出る死そのモノの恐怖。
全身から汗が出そうな威圧感。
だが、俺は何も反応を示さない。
命に対する考えも何も無い。命の尊さなんて、こいつに問う必要は無い。
だから俺は──。
カイラの言っている事は事実だ。
ハンドガンでは純粋に火力が足らない。そもそも、俺が戦争に参加出来た時には相手は殆ど遠距離攻撃が主体だった。
現在、俺のハンドガンはアクアの鍛冶師のおやっさんに改造して貰っている。
正確には錬金術師か。
魔道具の制作には元を鍛冶師が作り、魔力を流せたり能力を発動させる原理を作るのが錬金術師だ。
そして、俺の改造されたハンドガンには自動でリロードしてくれるオートリロード機能が存在する。
「⋯⋯さぁ、もっと見せてくれ! お前の本気を! 軍人最強、国の最強の人間と呼ばれた女の子供の力を!」
「お望み通り!」
俺はカイラに向かって駆けながら弾を放ち、全弾撃ち終わったら即リロード。
マガジンは瞬時に腕輪から出す。
「まだまだあああ!」
魔力を流し能力を発動させる。
砲口の中に取り付けられているレールに魔道具としての力で生み出された高圧の電気を流し、電磁力を作り出す。
それが溜まって行き、火薬を使っての弾を放ち、電磁力を利用して更に加速する。
ざっくり言えば、手軽に使える超電磁砲だ。
「ぬっ!」
第一回の連射を防ぐのに徹したカイラの不意を突き、蒼き閃光と成った二本の弾丸をギリギリになって躱した。
だが、弾丸に纏われた電気や風圧により弾を躱すだけでは完全にダメージは防げない。
「チィ!」
相手の両頬を掠めた弾丸は俺が最初に与えれたダメージである。
しかし、レールガンの加速は一発に対して最低二秒程のチャージが必要であり、一度放つと銃口に高熱の熱が溜まりオーバーヒートして撃てない。
だからこそ、新たな能力を発動させて急速に冷やす。
「前に使っていたのと変わらない⋯⋯どこかで改造したのか!」
「前の俺とは違うんだよ!」
咆哮を上げ、神経を集中させてレールガンの能力を使わず放つ。
カイラは高く跳ぶ。
空を見上げると相手が太陽光と被る。
そして、黒い筒状の影が雨の様に降り注いでいた。
「多節棍連撃・雨!」
相手の多節棍の伸び縮みが自由に行える能力を利用した連撃。
それをカイラが技術で引き上げた力。
残像を生み出す程の速度で突きの連撃を多節棍で放つカイラ。
「俺は、成長しているんだ!」
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