能力者とダンジョンがありふれた世界の最高位迷宮管理者〜ようこそ神が救いし世界へ

ネリムZ

文字の大きさ
4 / 86
一章 同格の管理者

4話

しおりを挟む
 生徒教師含め全員がとある閉鎖空間に居る。
 見えるのは2本の道だけ。

「どこだここは!」

「誰よ! 誰がここにダンジョンを建設したの! 出してよ!」

「お、落ち着け! 管理者が居るなら殺されない筈だ!」

「そんな保証がどこにあるんだ!」

「そうだ! 管理者はまず名乗れよ!」

 あちこちから叫び声が轟く。
 皆叫んで混乱しているけど、根っこの部分では分かっているんだな。
 これが、迷宮管理者の資格を得た人の仕業だと。
 まぁ、後天的だからな資格得るの。俺は速すぎた。
 だからあんなやばい⋯⋯今は良いや。

 まずは管理者を探そうか。

 管理者は魂に管理者としての資格の因子がある。
 他にも勇者因子とか魔王因子とか諸々。
 その因子は同じ因子を持つ者同士で感知出来る。
 漏れ出る因子を隠す事も可能だが、こんなポットでの管理者と長年の管理者の実力差で、相手からは気づかれないだろうが、俺は分かる。

 しっかし、人が多くて上手く探れんな。
 中には勇者因子の種の持ち主とかも居るし。

「天音。怖いね」

「ああ、千秋か。まぁ、管理者がモンスターに指示は出せるからある程度は安心していいだろ。いざと成ったらアビリティを使うよ」

「天音のアビリティ知らないけど、天音がそう言うなら信じる」

「はぁ。今日の帰り甘百合さんに告白しようと思っていたのに」

「バカ?」

「バカとはなんだ。今日初めて会話が出来たんだぞ。やるだけ価値はある」

「無いでしょ。あれは会話とは言わんでしょ。全く、和ませてくれてありがと」

 あ、冗談だと思った? 俺結構ガチよ?

「⋯⋯もしかして本気?」

「本気と書いてガチと読む」

「泣く時は胸貸すわ」

「お前の借りてなんの意味が?」

「私の結構大きぞ~⋯⋯ッ! うそ、でかい」

 俺は千秋が向いている方を見る。
 そこには身長4メートルはありそうな顔がライオンの獣人間が居た。
 大きな大剣を持って、道から現れたようだ。
 顔を動かして、獲物を認識したかのように動き出す。

 生徒は誰一人として動こうとはしない。
 恐怖と驚愕で足が奪われ、動けないのだ。
 ライオンは大剣を掲げ、振り下ろす。

「な!」

 その先には雪姫が居た!
 急がないと! 折角の好感度アップチャンスだ!
 気づくのが遅れた!

「雪姫さん!」

 そう言って、とある男が飛び出して来た。
 隣のクラスのアドベンチャーラーもしている有名な男だった。
 大剣を剣で塞ぎ、足の空気を圧縮して、そこに立っている。

「あ⋯⋯」

「雪姫さん! 皆さん、逃げて! 速く!」

 刹那、現実に戻った生徒達と先生方は残った道へと走る。
 俺も千秋に手を引っ張られ行きそうに成るが、ライオンが目の前に居る雪姫は硬直していた。

 俺は雪姫へと近づいて、手を取り走らせる。

「あ」

「行きますよ!」

 千秋のもとに行って、俺は雪姫の手を引きながら道へと進む。
 雪姫は終始、さっきの男の事を見ていた。
 悔しい! そもそもこんな事して許されると思うなよ!

 少し行くと、開けた空間があり、そこで固まっている。
 だが、最悪な事にゴブリンの集団が現れたのだ。

『あれ? 俺達ってここで戦うんだっけ?』

『そうだアホ! えっと、銀髪でべっぴんな奴を拐うのが我々の仕事だ』

『りょーかい』

 俺は管理者だからモンスターの言語が分かるが、一般の人が聞いても鳴き声にしか聞こえない。
 あぁ、内容が内容なだけにめちゃくちゃ腹立つー。
 別に戦闘出来る能力者も数人居るし、危害は抑えられるだろう。
 しかし、⋯⋯あーグダグダ考えるのは俺の性にあわない!

「サモンズスペルカード、アダマン、サモン」

 1枚のスペルカードを取り出してリッチを召喚する。
 ローブを着て、赤い眼光を放つスケルトンだ。

「これは天音様。珍しいですね」

「あそこのゴブリンを片付けろ」

「承知致しました」

 アダマンは魔法を得意とする。
 しかし、この程度の雑魚なら近接の方が楽なのか、速攻で接近して杖を振るって倒していた。
 筋肉ないけど、脳筋な考えだな。
 その光景をじっと見詰めて来る雪姫。
 こ、これは⋯⋯どっちだ?
 スケルトンを召喚したのは間違えだったか?
 アップか? ダウンか?

「天音、凄いね。あんな強いスケルトンナイトを召喚するなんて」

「リッチな?」

「え?」

 さて、俺はさっきの場所に行くか。
 皆がアダマンに集中しているウチに。

「千秋はここに居ろよ」

 俺はさっきの道を戻る。

 スペルカードは作ってから数日で腐る。
 腐ると暴走してしまう。それを知らなかった当初は大変な目にあった。
 だから、定期的なメンテナンスが必要なのだ。他にも消去して新たなスペルカードを作るしかない。
 スペルカードが消費するアイテムだが、アビリティには1度作ったスペルカードは保存されるのだ。
 作るのは簡単だが、使えないと暴走してしまう。
 メンテナンスも面倒。
 なので、最低限のスペルカードしか俺は持ってない。

 ま、この程度なら関係ないか。

 さっきの道に戻って、隠れる。
 覗くと、アドベンチャーラーでパーティを組んでいる人達が溜まっていた。
 さっきの逃げる時に「俺達も加勢するぜ!」って行った奴らだ。
 そして、ライオンの奴も居る。
 互いに座って雑談している。

「あとはライナー達から報告があったら、そこに向かうだけだな」

「いやー策士だね」

「これで好感度アップは間違いなし! ゼウス、俺に管理者の資格をくれてありがとう!」

 ばーか。管理者を設定する神は別だわ!
 ま、こんな下級の管理者には知らされる事の無い事実だけど。
 しかし、あのアダマンでもしかしたら好感度アップしているかもしれない。
 他にも手を引いたので、それによって意識してしまうとか?
 それには感謝しよう。
 だから、誰も死なない超平和的な解決方法を使ってやるよ。

管理者同士之戦闘ダンジョンラグナロクを所望する!」

 右手を上に上げる。

《承認しました》

《ダンジョンラグナロクをここに開きます》

《以後、内部に侵入する事、外部に脱出する事及び応援要求する事は出来なくなります》
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~

喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。 庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。 そして18年。 おっさんの実力が白日の下に。 FランクダンジョンはSSSランクだった。 最初のザコ敵はアイアンスライム。 特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。 追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。 そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。 世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

ダンジョンに行くことができるようになったが、職業が強すぎた

ひまなひと
ファンタジー
主人公がダンジョンに潜り、ステータスを強化し、強くなることを目指す物語である。 今の所、170話近くあります。 (修正していないものは1600です)

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

チート魔力はお金のために使うもの~守銭奴転移を果たした俺にはチートな仲間が集まるらしい~

桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。 交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。 そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。 その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。 だが、それが不幸の始まりだった。 世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。 彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。 さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。 金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。 面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。 本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。 ※小説家になろう・カクヨムでも更新中 ※表紙:あニキさん ※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ ※月、水、金、更新予定!

【最強モブの努力無双】~ゲームで名前も登場しないようなモブに転生したオレ、一途な努力とゲーム知識で最強になる~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
アベル・ヴィアラットは、五歳の時、ベッドから転げ落ちてその拍子に前世の記憶を思い出した。 大人気ゲーム『ヒーローズ・ジャーニー』の世界に転生したアベルは、ゲームの知識を使って全男の子の憧れである“最強”になることを決意する。 そのために努力を続け、順調に強くなっていくアベル。 しかしこの世界にはゲームには無かった知識ばかり。 戦闘もただスキルをブッパすればいいだけのゲームとはまったく違っていた。 「面白いじゃん?」 アベルはめげることなく、辺境最強の父と優しい母に見守られてすくすくと成長していくのだった。

異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。 異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。 せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。 そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。 これは天啓か。 俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

処理中です...