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一章 同格の管理者
11話
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カミラが放った弾丸は的を貫いた。
綺麗に貫いて、壁に穴を空けて終わった。
「ふーん。超合金を貫くか。結構いい武器だね」
「当然です」
カミラはそれだけ言って、俺の背後に立った。
そして、誰にも気づかれないようにスペルカードを発動させる。
『主人様』
カミラからメッセージが届く。
脳内で考えた言葉が相手に通じる用になるスペルカードだ。
『なんだ?』
『これはなんですか。一応言われた通りにしましたが、いまいち状況が読み取れません。無知たるわたくしめに教えて下さいませんか?』
『そんな畏まらなくて良いよ。とあるダンジョンを攻略するアドベンチャーラーの中で、俺はサモナーとして居るんだ。それでカミラを召喚した』
『左様でしたか。でしたら、ある程度の力で良いですよね?』
『ああ』
それから他の人の力も見る事になった。
雪姫は氷を使っての攻撃を使っていた。
的を破壊する、貫く事は出来なかったが、手数が多く相手の動きを鈍らせる事が出来る。
次にオーディンさんの番となった。
レーヴァテインさんは回復なので今回は実力が分からない。
2本の大剣を背中から抜いて、地を蹴って的に高速で接近した。
同時に大剣を払い、的を輪切りにする。
剣を振るって出来た光の一閃が目に入り、次には的が切れていたのだ。
流石は最高火力保有者と言われるだけはあるな。
次に東条姉妹だった。
朱里さんは右腕をゴリラにして的を殴った。
ドン、と大きな音を鳴らして的をへこました。
それだけだった。
一見地味だが、超合金はダイアよりも硬い金属だ。
それをへこますだけで凄いと言える。
美穂さんは杖を取り出して掲げる。
次の瞬間には3つの魔法陣が展開された。
それぞれ黄色、青色、赤色をしていた。
「サンダーボルテージ、ウォーターバレル、フレアドライブ!」
激しい轟音と目を潰さん勢いの光を放つ電撃。
見ているだけで気持ちが落ち着くような深い色をした水。
全てを焼き尽くさん勢いの熱を持った炎。
その3つ全てが同時に的に向かって放たれ、衝突した。
的がドロドロになっていた。
「この程度ですか」
「こらカミラ!」
「すみません。つい」
口を手で塞いで「なにも言ってませんよー」アピールをしている。
ちょっと可愛いと思いながらも、誰にも聞かれてなくて良かった。
ウチの魔法士とここの魔法士を比べちゃあかんだろ。
実力が違うんよ実力が。
次にアイスさんだった。
普通に近づいて遠心力を乗せたメイスを的に振るっただけだった。
それで大きくへこむ。
武器や身体強化系のアビリティ、そして鍛えた筋力での攻撃。
なんか朱里さんと被っているような気がするが、アイスさんは魔法も使える。
最後にフェンさんだった。
離れた場所から大剣を横払いし、斬撃を放ってその的を切り裂いた。
「どうですか天音さん。私がスカウトした面々は!」
「凄いですね」
それだけ言った。
「これなら、絶対にクリア出来る筈です! 専用の武具、さらにもっと鍛錬を重ねれば、絶対に出来る!」
そう雪姫ははしゃいでいた。
だけど、俺はそれを見て、ボソリと呟いてしまった。
何故か、自然と言葉が出てしまった。
「無理だな」
「え?」
「あ、いえ、なんでも無いです」
超合金程度が的のせいで本当の力は分からないし、皆本気じゃないから本領は分からない。
だけど、ここにいる全員がウチのダンジョンに挑んでも、勝てないだろう。
ウチのダンジョンの総戦力はこの地球を地獄に落とせる程にあるんだから。
ま、あくまで『総戦力』なだけで、迷宮だけのモンスターならそこまでないけど。多分。
「絶対に、絶対に! ぜっっったいに! 難攻不落迷宮を攻略してみせる!」
「何?」
「カミラ!」
「すみません!」
カミラにとっては産まれ育った場所に攻めようとしている人達だ。
速攻で周囲に重い殺気を放ってしまった。
本の僅かな短い時間。一瞬の時間。
しかし、その一瞬だけでこの場にいる雪姫以外の人は気づいた。
カミラが殺気を放った事に。
「にしても、なんでそんなにこだわるんですか?」
「それは、気になるからです」
「気になる?」
「そこまで絶大な力まで成長した迷宮管理者は居ません。攻略されて成長阻害され、年老いた管理者は管理者としての力も衰える。ですが、あんな力を手に入れた管理者はこの世に居る。しかし、その人は何もしてない。過去一度足りとも活性化させずに引きこもりを貫いている管理者の考えや、思いが、私はそれがとても気になるんです!」
「もしかしたら、その人は平凡を望んでいるかもしれませんよ。誰にも怯えられず、誰にも怖がられず、そんな平凡を」
「それはないですよ。流石に」
「はは、どうですかね」
そんな会話をしていると、カミラからメッセージが入る。
『主人様、は。わたくし、達を、裏切る、のですか?』
『そんな訳ないだろ。でも、もしも裏切ったらどうする?』
『主人様がお望みとあれば、貴方様が自分の意思でそう思うのであれば、わたくし達、あの迷宮に居る全モンスター、主人様に忠誠を誓う我々は、自ら命を、断ちます』
『そっか。ま、そんな事は「絶対」にありえないから。安心して。ただ、ちょっと私情でね。大丈夫、俺は皆の仲間で主だ』
『はい』
俺は『絶対』を強調して言った。
俺がこいつらを裏切る事は絶対にない。
その事は、心に止めておいて欲しい。
「さて、訓練しないと怪しまれるし、訓練するか」
「皐月様を呼びますか?」
「馬鹿なの?」
「冗談です(テヘペロ)」
綺麗に貫いて、壁に穴を空けて終わった。
「ふーん。超合金を貫くか。結構いい武器だね」
「当然です」
カミラはそれだけ言って、俺の背後に立った。
そして、誰にも気づかれないようにスペルカードを発動させる。
『主人様』
カミラからメッセージが届く。
脳内で考えた言葉が相手に通じる用になるスペルカードだ。
『なんだ?』
『これはなんですか。一応言われた通りにしましたが、いまいち状況が読み取れません。無知たるわたくしめに教えて下さいませんか?』
『そんな畏まらなくて良いよ。とあるダンジョンを攻略するアドベンチャーラーの中で、俺はサモナーとして居るんだ。それでカミラを召喚した』
『左様でしたか。でしたら、ある程度の力で良いですよね?』
『ああ』
それから他の人の力も見る事になった。
雪姫は氷を使っての攻撃を使っていた。
的を破壊する、貫く事は出来なかったが、手数が多く相手の動きを鈍らせる事が出来る。
次にオーディンさんの番となった。
レーヴァテインさんは回復なので今回は実力が分からない。
2本の大剣を背中から抜いて、地を蹴って的に高速で接近した。
同時に大剣を払い、的を輪切りにする。
剣を振るって出来た光の一閃が目に入り、次には的が切れていたのだ。
流石は最高火力保有者と言われるだけはあるな。
次に東条姉妹だった。
朱里さんは右腕をゴリラにして的を殴った。
ドン、と大きな音を鳴らして的をへこました。
それだけだった。
一見地味だが、超合金はダイアよりも硬い金属だ。
それをへこますだけで凄いと言える。
美穂さんは杖を取り出して掲げる。
次の瞬間には3つの魔法陣が展開された。
それぞれ黄色、青色、赤色をしていた。
「サンダーボルテージ、ウォーターバレル、フレアドライブ!」
激しい轟音と目を潰さん勢いの光を放つ電撃。
見ているだけで気持ちが落ち着くような深い色をした水。
全てを焼き尽くさん勢いの熱を持った炎。
その3つ全てが同時に的に向かって放たれ、衝突した。
的がドロドロになっていた。
「この程度ですか」
「こらカミラ!」
「すみません。つい」
口を手で塞いで「なにも言ってませんよー」アピールをしている。
ちょっと可愛いと思いながらも、誰にも聞かれてなくて良かった。
ウチの魔法士とここの魔法士を比べちゃあかんだろ。
実力が違うんよ実力が。
次にアイスさんだった。
普通に近づいて遠心力を乗せたメイスを的に振るっただけだった。
それで大きくへこむ。
武器や身体強化系のアビリティ、そして鍛えた筋力での攻撃。
なんか朱里さんと被っているような気がするが、アイスさんは魔法も使える。
最後にフェンさんだった。
離れた場所から大剣を横払いし、斬撃を放ってその的を切り裂いた。
「どうですか天音さん。私がスカウトした面々は!」
「凄いですね」
それだけ言った。
「これなら、絶対にクリア出来る筈です! 専用の武具、さらにもっと鍛錬を重ねれば、絶対に出来る!」
そう雪姫ははしゃいでいた。
だけど、俺はそれを見て、ボソリと呟いてしまった。
何故か、自然と言葉が出てしまった。
「無理だな」
「え?」
「あ、いえ、なんでも無いです」
超合金程度が的のせいで本当の力は分からないし、皆本気じゃないから本領は分からない。
だけど、ここにいる全員がウチのダンジョンに挑んでも、勝てないだろう。
ウチのダンジョンの総戦力はこの地球を地獄に落とせる程にあるんだから。
ま、あくまで『総戦力』なだけで、迷宮だけのモンスターならそこまでないけど。多分。
「絶対に、絶対に! ぜっっったいに! 難攻不落迷宮を攻略してみせる!」
「何?」
「カミラ!」
「すみません!」
カミラにとっては産まれ育った場所に攻めようとしている人達だ。
速攻で周囲に重い殺気を放ってしまった。
本の僅かな短い時間。一瞬の時間。
しかし、その一瞬だけでこの場にいる雪姫以外の人は気づいた。
カミラが殺気を放った事に。
「にしても、なんでそんなにこだわるんですか?」
「それは、気になるからです」
「気になる?」
「そこまで絶大な力まで成長した迷宮管理者は居ません。攻略されて成長阻害され、年老いた管理者は管理者としての力も衰える。ですが、あんな力を手に入れた管理者はこの世に居る。しかし、その人は何もしてない。過去一度足りとも活性化させずに引きこもりを貫いている管理者の考えや、思いが、私はそれがとても気になるんです!」
「もしかしたら、その人は平凡を望んでいるかもしれませんよ。誰にも怯えられず、誰にも怖がられず、そんな平凡を」
「それはないですよ。流石に」
「はは、どうですかね」
そんな会話をしていると、カミラからメッセージが入る。
『主人様、は。わたくし、達を、裏切る、のですか?』
『そんな訳ないだろ。でも、もしも裏切ったらどうする?』
『主人様がお望みとあれば、貴方様が自分の意思でそう思うのであれば、わたくし達、あの迷宮に居る全モンスター、主人様に忠誠を誓う我々は、自ら命を、断ちます』
『そっか。ま、そんな事は「絶対」にありえないから。安心して。ただ、ちょっと私情でね。大丈夫、俺は皆の仲間で主だ』
『はい』
俺は『絶対』を強調して言った。
俺がこいつらを裏切る事は絶対にない。
その事は、心に止めておいて欲しい。
「さて、訓練しないと怪しまれるし、訓練するか」
「皐月様を呼びますか?」
「馬鹿なの?」
「冗談です(テヘペロ)」
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