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一章 同格の管理者
13話 新たな出会い
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なかなか良い勉強をした気がした。
手に入ったアイテムは雪姫が管理するらしい。
終わった後に飲み会的な感じで誘われたけど、俺は遠慮して帰った。
帰り道でとある人だかりが出来ている事に気づいた。
正確には人が一度止まっているのだ。
その原因を俺も見る。
そこにはダンボールの中にポツンと座って、ホワイトボードに文字を書いた、ボロボロな女の子だった。
『拾ってください』
そう書いてあった。
俺は気になって、その女の子に近づいた。
そして、女の子は俺に気づいて、ホワイトボードをしまって、もう1枚のホワイトボードを取り出した。
『怖い。来ないで』
「いやなんで! 今完全に誰か近くに寄ってくる前提でやってるよね! 寧ろなんでそんな格好でホワイトボード持ってんのよ?」
ホワイトボードの文字を消して書き直す。
声が出せないのかもしれない。
『捨ててあった』
「うん。それは良くないね。で、どうしてこんな事しているの」
『母、パチカス虐待母親(義理)。父、ギャンブルとアルコール中毒者』
『怖い人達に白い粉貰って飲んでる。キャバクラ毎日通い。虐待はしないけど無関心、普通にやばい父親(義理)』
『怖くなった私は逃げて来た』
『ホワイトボードを拾って、ゴミ箱漁ってまだインクが出るペンを数本手に入れた』
『善意があり金持ちでイケメンで私を溺愛してくれる独身のそこそこ歳の取ったお父さんが欲しく、ここで待機中』
「ねぇ、君何歳?」
『女の子に歳を聞くとは無礼な奴め』
『14歳です』
「義務教育も終わってないやん! 行く宛ては無いよね」
『見てわかるだろ。頭悪いんか?』
「⋯⋯何日ご飯食べてない?」
『カラスの生活を見て、ゴミ漁って食い繋いでいる。近くのコンビニは最高。沢山飯取れる』
『めっちゃ怒られる』
『服は川で洗ってる』
それは、なんか逞しいな。
良く頑張ってるよ。君は。
「なら、お兄さんの所に来るか?」
『ロリコンさん?』
「ちゃうわ! 17歳、高二だよ。雨宮天音。衣食住は保証するよ」
『!!有頂天外』
「良く四字熟語知ってるね」
『ドヤァ! 捨ててあった本を漁って手に入れてから読んで覚えた』
「で、返事は? 迷宮に来る?」
『110』
「怪しい人じゃないから! 超好青年だから! 自分で言ってて恥ずかしわ! てか、携帯持ってないだろ!」
『ところがどっこい。半分壊れた充電切れのスマホならこちらに』
「結局意味ねぇやん!」
『ちなみに答えはYESです。貴方は、面白い』
「じゃ、こっち来て」
何故か、この女の子は見捨てる事が出来なかった。
女の子はダンボールとホワイトボード、ペンを持って俺の背後を歩く。
俺は人目の無い場所にすぐに移動した。
カメラを向けられる前にだ。
「今から見る事は誰にも言うなよ?」
「分かりました」
「よし。スペルカード、入室、発動! え、待って今⋯⋯」
俺達はダンジョンに入った。
管理室の中央廊下である。
レッドカーペットの上にボロボロの格好の女の子が来た事で、メイド達の目が怖い。
「今、喋った?」
「一体何時から喋れないと錯覚していた? おバカさん? ホワイトボードで会話していたからと言って喋れないとは確定してない。明記した訳でも無い。貴方は、貴方の自分の価値観の物差しで私の事を判断した。それだけです」
「大人びてんなぁ」
「マスター、その子は?」
「あぁ、秋か。拾って来た」
「マスター。そこまでするくらいなら、この私がいくらでも成りますのに!」
「なにを何を勘違いしているのか知らんが、この子を4層の風呂に入れてやってくれ。それと、この子について色々と考えるから。動物型人間達にこの子の素性を調べるように伝えておいて」
「畏まりました」
さて、俺は1層に行こうかな。
1層に行って、俺は周囲の光景を見る。
天井に吊るされたランタン、壁にぶっ刺さっている松明。
壁には鉱石、宝石なんて一切ない。
俺はあのダンジョンで色々と知った。
ダンジョンの中には本の僅かな光もない。
しかし、モンスターが生活するプライベート空間の光が迷宮にも漏れ出ていたのだ。
それを迷宮の壁で増幅させ、鉱石や宝石で反射させていた。
まずは周囲の灯りを取り除く。
次に、ここら辺の壁から光が出るように変える。
俺の場合は1層のモンスターはコロコロ変わるので、1層にモンスターの生活空間は待合室しかない。
なので、壁を光らせる事にしたのだ。
その1部だけ光る壁が目立たないように鉱石を配置する。
この鉱石の配置により全方位に光を放つ。
それを他の鉱石や宝石が光を反射し、綺麗な色の光として周囲を照らす。
しかし、色の組み合わせを失敗すると汚い色になる。
思っていた以上に難しい。
迷宮の中にはボーナスステージがある。
そこら辺の担当の人にも助力を頼もうかな?
と、言う訳で今はボーナスステージ『粘着力のない糸を上手く歩いて報酬を手に入れろ』に来ている。
「これは天音様。この度はこのような場所に何用ですぅ?」
「あぁ、アラネ。ちょっと話が」
この部屋にはめちゃくちゃに糸が散らばっている。
粘りがあるもの、無いもの。
無いものの上を歩いて中央の宝箱を開ける部屋だ。
色とか変わらないので見つけ出すのは難しい。
捕まったら最後、蜘蛛型女人のアラネにぐるぐる巻きにされて外に出される。
報酬はアビリティオーブ『蜘蛛』である。
蜘蛛の力が使えるようになる。
「成程です。面白そうです。頑張らせて頂きますです」
よし、頑張ろ。
手に入ったアイテムは雪姫が管理するらしい。
終わった後に飲み会的な感じで誘われたけど、俺は遠慮して帰った。
帰り道でとある人だかりが出来ている事に気づいた。
正確には人が一度止まっているのだ。
その原因を俺も見る。
そこにはダンボールの中にポツンと座って、ホワイトボードに文字を書いた、ボロボロな女の子だった。
『拾ってください』
そう書いてあった。
俺は気になって、その女の子に近づいた。
そして、女の子は俺に気づいて、ホワイトボードをしまって、もう1枚のホワイトボードを取り出した。
『怖い。来ないで』
「いやなんで! 今完全に誰か近くに寄ってくる前提でやってるよね! 寧ろなんでそんな格好でホワイトボード持ってんのよ?」
ホワイトボードの文字を消して書き直す。
声が出せないのかもしれない。
『捨ててあった』
「うん。それは良くないね。で、どうしてこんな事しているの」
『母、パチカス虐待母親(義理)。父、ギャンブルとアルコール中毒者』
『怖い人達に白い粉貰って飲んでる。キャバクラ毎日通い。虐待はしないけど無関心、普通にやばい父親(義理)』
『怖くなった私は逃げて来た』
『ホワイトボードを拾って、ゴミ箱漁ってまだインクが出るペンを数本手に入れた』
『善意があり金持ちでイケメンで私を溺愛してくれる独身のそこそこ歳の取ったお父さんが欲しく、ここで待機中』
「ねぇ、君何歳?」
『女の子に歳を聞くとは無礼な奴め』
『14歳です』
「義務教育も終わってないやん! 行く宛ては無いよね」
『見てわかるだろ。頭悪いんか?』
「⋯⋯何日ご飯食べてない?」
『カラスの生活を見て、ゴミ漁って食い繋いでいる。近くのコンビニは最高。沢山飯取れる』
『めっちゃ怒られる』
『服は川で洗ってる』
それは、なんか逞しいな。
良く頑張ってるよ。君は。
「なら、お兄さんの所に来るか?」
『ロリコンさん?』
「ちゃうわ! 17歳、高二だよ。雨宮天音。衣食住は保証するよ」
『!!有頂天外』
「良く四字熟語知ってるね」
『ドヤァ! 捨ててあった本を漁って手に入れてから読んで覚えた』
「で、返事は? 迷宮に来る?」
『110』
「怪しい人じゃないから! 超好青年だから! 自分で言ってて恥ずかしわ! てか、携帯持ってないだろ!」
『ところがどっこい。半分壊れた充電切れのスマホならこちらに』
「結局意味ねぇやん!」
『ちなみに答えはYESです。貴方は、面白い』
「じゃ、こっち来て」
何故か、この女の子は見捨てる事が出来なかった。
女の子はダンボールとホワイトボード、ペンを持って俺の背後を歩く。
俺は人目の無い場所にすぐに移動した。
カメラを向けられる前にだ。
「今から見る事は誰にも言うなよ?」
「分かりました」
「よし。スペルカード、入室、発動! え、待って今⋯⋯」
俺達はダンジョンに入った。
管理室の中央廊下である。
レッドカーペットの上にボロボロの格好の女の子が来た事で、メイド達の目が怖い。
「今、喋った?」
「一体何時から喋れないと錯覚していた? おバカさん? ホワイトボードで会話していたからと言って喋れないとは確定してない。明記した訳でも無い。貴方は、貴方の自分の価値観の物差しで私の事を判断した。それだけです」
「大人びてんなぁ」
「マスター、その子は?」
「あぁ、秋か。拾って来た」
「マスター。そこまでするくらいなら、この私がいくらでも成りますのに!」
「なにを何を勘違いしているのか知らんが、この子を4層の風呂に入れてやってくれ。それと、この子について色々と考えるから。動物型人間達にこの子の素性を調べるように伝えておいて」
「畏まりました」
さて、俺は1層に行こうかな。
1層に行って、俺は周囲の光景を見る。
天井に吊るされたランタン、壁にぶっ刺さっている松明。
壁には鉱石、宝石なんて一切ない。
俺はあのダンジョンで色々と知った。
ダンジョンの中には本の僅かな光もない。
しかし、モンスターが生活するプライベート空間の光が迷宮にも漏れ出ていたのだ。
それを迷宮の壁で増幅させ、鉱石や宝石で反射させていた。
まずは周囲の灯りを取り除く。
次に、ここら辺の壁から光が出るように変える。
俺の場合は1層のモンスターはコロコロ変わるので、1層にモンスターの生活空間は待合室しかない。
なので、壁を光らせる事にしたのだ。
その1部だけ光る壁が目立たないように鉱石を配置する。
この鉱石の配置により全方位に光を放つ。
それを他の鉱石や宝石が光を反射し、綺麗な色の光として周囲を照らす。
しかし、色の組み合わせを失敗すると汚い色になる。
思っていた以上に難しい。
迷宮の中にはボーナスステージがある。
そこら辺の担当の人にも助力を頼もうかな?
と、言う訳で今はボーナスステージ『粘着力のない糸を上手く歩いて報酬を手に入れろ』に来ている。
「これは天音様。この度はこのような場所に何用ですぅ?」
「あぁ、アラネ。ちょっと話が」
この部屋にはめちゃくちゃに糸が散らばっている。
粘りがあるもの、無いもの。
無いものの上を歩いて中央の宝箱を開ける部屋だ。
色とか変わらないので見つけ出すのは難しい。
捕まったら最後、蜘蛛型女人のアラネにぐるぐる巻きにされて外に出される。
報酬はアビリティオーブ『蜘蛛』である。
蜘蛛の力が使えるようになる。
「成程です。面白そうです。頑張らせて頂きますです」
よし、頑張ろ。
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