能力者とダンジョンがありふれた世界の最高位迷宮管理者〜ようこそ神が救いし世界へ

ネリムZ

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一章 同格の管理者

18話 格差

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 見つけた!
 ボス部屋だ!

 俺はボス部屋の大きな扉を蹴飛ばし、開いて中に入る。
 中には8つの頭を持った龍がいた。
 日本の神話にもいる伝説の生物、八岐大蛇と言った所か。

『くくく』
『来たな来たな』
『今日で終わりだ』
『速く行かないと取り返しがつかないよー』
『かかかか』
『がルルル』
『さぁ、始めようか』
『この世が変わる瞬間を』

「何を言ってんのやら。お前程度でこの俺を止められると?」

『『『『『『『『当然だ!』』』』』』』』

 俺は大蛇に向かって駆ける。
 8つの頭それぞれから違う魔法のブレスが放たれる。
 普通のアドベンチャーラーなら苦戦を強いられる強さだろう。
 かなりの力が篭ったブレスが同時に8つ放たれるのだ。
 並大抵のタンクでは防ぐ事すら出来ない。

 俺は跳躍してそれを躱す。
 俺でもこれを簡単には防げない。

 宙に体を投げ出した俺に向かってブレスの向きを顔を動かして変えて来る。

「教えてやるよ。SSとSSSの違いを。サモンズスペルカード、ヤマたん、召喚サモン!」

 同じ八岐大蛇であっても、生成に使ったダンジョンエナジー、そして生きている年数、訓練している年月。
 その違いが大きな戦力差を生み出す。

「圧倒的な力を示せ!」

『『『『『『『『御意』』』』』』』』

 同じ魔法が8つ相手の八岐大蛇に向かって放たれた。

『くだらん』

 その属性に相性の良い魔法を相手が放って来る。
 確かに相性が悪ければ押し返されるかもしれない。
 だが、圧倒的な力の差がある場合、それすら意味が無い。
 ヤマたんの得意分野は火炎魔法。
 今はその火炎魔法、豪火炎を使っている。

 8つそれぞれ違う属性が得意な分野でも当然強いだろう。
 しかし、全て同じにする事で専攻する分野がひとつに決り、訓練がしやすく伸びやすいのだ。
 幅広くすると浅くなるが、幅を狭くすると深くなる。

 相手の八岐大蛇が押され始め、遂にはその身を焼き付く事となる。
 力量が違うんだよ力量が。

『ふん。若造が』
『天音様褒めて褒めて』
『いいや! 私が先よ!』
『いいや! 俺だ!』

「ごめん皆。先を急がないといけないから、後でね。後で沢山遊ぼう!」

『『『『『『『『わーい』』』』』』』』

 俺は出て来た階層移動の魔法陣の上に乗って、次に行った。

「そう言えばしてなかったな。管理者同士之戦争ダンジョンラグナロクをここに宣言する!」

《許可出来ません》
《既にここは戦場と成っています》

「⋯⋯ッ! ざ、けんな」

 俺は中に入れた。つまり、入る前はダンジョンラグナロクは発動してない。
 ここのヤツらは俺の事を知っている。
 目的は2つ程、俺には思い浮かぶ。
 マリカとかならもっと出て来たかもしれん。

 1つ、迷宮管理者同士の遊びでの争い。
 時々あるのだ。どっちが上なのか競ったり、賭け事になったりと。
 管理者の中でも遊びだからなコレは。
 だが、この場合無関係な一般人も巻き込んでいる。しかも、意図的に。
 だから有り得ないだろう。

 2つ、それは俺の命。
 本当は一般人の命を狙うと思っていたが、さっきまでの反応的に俺の事を狙っていると思う。
 俺を誘い出す為、だからだろうか、千秋が巻き込まれたのは。
 ごめんな、千秋。俺のせいで。

 だが、そうなると本当になんで沢山の人を巻き込んだんだよ。
 人の魂も同時に手に入れる考えだと言うのか。
 何処までもふざけてやがる。

「⋯⋯クソが」

 こんなにイライラして来るのなんて初めてだ。
 本当の目的は分からねぇ。
 だがな、仁義外れな行為してまでこんな事する奴なんてロクな奴じゃない。

「来たようだね。不意打ち必殺一撃でーす!」

「この世に別れを告げ来世は俺らの下僕ー!」

 俺の背後に一瞬で双子と思われる似ている人物が取る。
 気配が人間のそれだ。そっか、これにはモンスター以外にも入ってんのか。
 なんで人間がこんなのに協力してんだよ。クソが!

 別に、ダンジョンエナジーで人間が作れない訳じゃない。
 ただ、人間を作っても気配はモンスターなのだ。

「ねぇ、君達なんでこんなの参加してんの? そしてなんで俺の命狙ってんの」

「な! いつの間に俺達の背後を!」

「やばい!」

「ただの能力者と管理者の俺を比べんなよ。元が違うんだよ」

 手加減キック!
 しかし、腕をクロスさせ防がれた。
 背後に飛び退いて体勢を直した2人。
 腕くらいなら折れると思ったんだが、手加減し過ぎたか?
 あ、そうか。

「私服で来てたわ」

 管理者としての服装に切り替える。
 こいつらの装備はSSクラスか? 俺の装備はSSSクラスだろ? 多分。

「「死ねぇ!」」

 左右から高速で接近して最初にナイフを目に向かって放って来る。
 さらに足を狙って短剣が振るわれる。
 確かに、殺す技術は高いな。
 だがなぁ、この装備を着た俺は本当に強いぞ。
 自分で言うのもあれだが。

「え」

「うそ」

 なんの抵抗する事なく、ナイフは服の自動防衛に寄って防がれる。
 俺のズボンはこんな短剣如きでは斬れない。
 つまり、俺の肌にも攻撃は与えられない。

「ねぇ、知っている事を教えてよ」

「言うかよ! あ、あああ!」

「おい。クソが!」

 俺は大きくバックステップで距離をとる。
 2人は肥大化して大きな爆発を生み出す。

「なぁこいつら、仲間、じゃないのか? なんで、こんな事、出来んだよ!」

 ◇

「くくく。情報通りだな。流石だよ。にしても、本当に強いね。本人だけでここまでの戦闘力だとは。やっぱり、管理者よりも絶対に弱い奴しか居ない迷宮をメインに狙う方が良いな」

 反逆を恐れて自分よりも弱い奴しか作らない管理者は多い。
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