能力者とダンジョンがありふれた世界の最高位迷宮管理者〜ようこそ神が救いし世界へ

ネリムZ

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一章 同格の管理者

23話 蘇生

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「じゃ、今から核壊すけど、なんか遺言ある?」

「いえ。我々は敗者。敗者は勝者の意に従うもの。それが管理者同士の争いです」

「そう。ベヒ達、準備してな」

 俺はダンジョンの心臓である核をデコピンで破壊する。
 高速で亀裂が入り、綺麗に砕ける。
 同時に、管理室にも亀裂が入り、崩れて行く。
 俺はスペルカード『入室』を発動させた。

 管理室に入った瞬間に秋が来て、俺はベヒをとある場所に連れて行く事を支持した。

「『どんな事をしてでも全部救え』と言っておいてくれ。俺は部屋に入る」

 俺は管理室の管理者の部屋に入る。
 ここのベットに俺は寝転ぶ。大きなベットだ。
 これに寝ていると様々な効果が体を包み込む。
 さっきまでの事で相当疲弊していたのだろう。俺は目を瞑る。

「頼むぞ。みんな」

 俺は少ししたら気絶する。それまで待つか。

 ◆

「⋯⋯913個の魂を蘇生って、まじですか」

「まじです」

 私様はセイヒ。
 このダンジョンの中で1番仕事が無く肩身の狭い部隊の纏め役をしている。
 二つ名は『治癒女王ヒーリングクイーン』を賜っている。
 回復を主に行っている部隊なのだが、ここに住むモンスターが傷つく訳もなく、仕事が無かった。

 ここは2層であり、かなり大きめな土地を頂いて働いてはいるのだが、ぶっちゃけやる事が本当にない。
 給与泥棒と言われても何も言えないレベルで何もしてない。
 仕事がないので当然腕が鈍っている。
 そんな状態で数百という魂を魂のみから復元しろと言われた。

「そうですか」

 かなり難しいだろう。
 いや、めっちゃ難しい。
 そんなの半裸装備のダンボール装甲でユニーク級のレアエネミーとタイマン張るくらいに鬼難易度だ。

「分かりました。どんな手を使ってでも、蘇生させます」

 だけど、役場ランキング毎年、毎月、毎日ワーストワンの我々が天音神に頼られたのだ。
 頼まれたのだ。
 そんなの、断れる訳がない。
 それに、初めての仕事だ。やる気になると言うもの。

「みんな! 今倉庫にしている場所の荷物を全部、能力式倉庫箱アイテムボックスに詰め込んで出しな! 魔法陣の掃除を! ベヒさんは魂と天音神のご友人の遺体を其方に運んでください」

 責任重大の働き。
 これを完璧に遂行すれば、周りから冷たい目で見られる事はなくなるだろう。
 さらに、天音神からも褒めて貰えるだろう。
 俄然、やる気が出る。
 さて、私様は次の準備をしましょうか。

「スペルカードショップに転移」

 ダンジョン内ならどこでも転移可能。
 スペルカードショップのカード倉庫の中に入る。

『侵入者!』

「護衛ロボですか。失礼ですね。天音神の願いの為に集団蘇生用スペルセットを貰いに来ました」

『確認中。秋様からの確認。承認。奥の12番の1番奥の1番下の箱に入ってます』

 つまり、1番使われてないから誰も行かない場所に放置されている、と言う事ね。

 スペルカードセット、複数のスペルカードを束にして1枚のスペルカードとして使うもの。
 略語にスペルセットやスペセ等がある。
 今回は25枚のスペルカードのスペルセットだ。

 あんな数の魂を一気に蘇生させるには私様だけの力では無理だ。
 しかし、25枚のスペルセットでは足りない。
 後、75枚必要だ。

 奥に行くとホログラムのパソコンがある。
 ここでプログラムを設定し、スペルカードを作る事が出来る。
 天音神の能力が使えると言う事だ。
 天音神はダンジョンエナジーを使って自分のアビリティを使える道具をいくつか作っている。

「これとこれ」

 うぅ。私様はコンピュータ苦手なのですよ。終わったら天音神にどんだけ褒めて貰えるかな。
 ごめんなさい天音神。少しだけ、お眠りください。
 スペルカードを大量に、しかも高性能なので今の天音神でもごっそり体力が奪われる。

 スペルセットの準備を終えたら次にアンの所に向かう。
 アンはアドマン等のアンデットの1番上の存在。
 死者王アンデットロードのアンである。
 今回この人にも協力を仰ぐ必要がある。

「クソがあああああ! 皐月姉の廃人がああああ! なんで勝てないんだあああ! ぜったいれいどにつのどりる等、即死技も全然当たらないし! なんだよ! 死者に運は無いってか? クソがあああ!」

「あ、あの」

「んだよ! て、珍しいな。引きこもり無能部隊の隊長さん、名前、なんだっけ?」

「セイヒです。実は」

 私様は丁寧に説明した。

「ふむ。確かにそれは我が必要だな。マスター様の願いでもあるなら行くよ。と、メッセージを送っておくから先行って」

「はい」

 さて、スペルセットの配置をしますか。

 魔法陣の場所に行き、魔法陣に沿ってきちんとスペルカードをセットしていく。
 スペルカード1枚1枚地味に違うので配置をミスる訳には行かない。
 魂魄が大量に魔法陣の中央に浮いて、地面に遺体が転がっている。

「さて、皆さんも配置に着いてください」

 部下であるシスター達に指示を出す。
 さて、⋯⋯あれ?
 あれあれ? ダメじゃん。

「この遺体、いやもう遺体ですらないですね。肉と骨の腐った生ゴミですね。天音神はお気づきに成らなかったのでしょうか? ま、かなりうざったい呪詛ですからねぇ。内部から徐々に腐っているようですね。これは、どうしましょう」

 はは。辛い。
 魂の浄化、記憶の復元、魂の活性化。
 その後も⋯⋯辛い。でも、頑張るもん!
 寒いな。この歳(見た目31歳、実年齢9歳)でもんって。
 恥ずかしい。心の中で良かった。
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