能力者とダンジョンがありふれた世界の最高位迷宮管理者〜ようこそ神が救いし世界へ

ネリムZ

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一章 同格の管理者

26話 喧嘩

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 翌日になり、俺は雪姫のところに来ていた。
 今日はアドベンチャーラーの特訓である。
 雪姫の家の地下で行うではなく、ダンジョンタワーである。
 目的のダンジョンはSクラスダンジョンの冒険物のダンジョンである。

「天音さん、お友達の迷宮症候群は大丈夫ですか?」

「えぇ、何とか」

 千秋があんな状況でありながらも、今回これに参加した訳はそろそろ黒幕について調べるつもりだからだ。
 こんな風に行動していたらいつか尻尾を出すかもしれない。
 迷宮症候群がその黒幕が引き起こした事なら神からの情報共有は期待薄だ。
 自分で調べるにしても詳しくないので、俺に出来る事は本当にない。
 せいぜい、自分を囮にするくらいか。

 冒険型のダンジョンでは様々なギミックをクリアして先に進むように成っている。
 これで順応性とパーティ連携を上げるのが目的らしい。
 俺はカミラを呼び出している。

 それから数時間、今はダンジョン内でキャンプをしている。
 休憩と昼食を行っている。
 管理者がいるならこの光景も見られているだろうな。
 その映像を撮るモンスターの気配を感じるし。
 カミラが打ち殺そうとするが、これは管理者としての仕事の一環でもあるので、きちんと止める。

 管理者は挑戦者をよく観察しないといせないからな。
 仲間のモンスターが手違いを起こさないように見張る為にも。

「雨宮君はもう少し緊張感を持つべきだと思う!」

 フェンさんが俺に向かってそう言って来た。
 カミラが一瞬て殺気立つが、目線を送り止めた。

「きちんと注意してますよ」

「だったらアレはなんだ! 何回も罠に引っかかって! どれだけパーティの進行を妨げる!」

「自分は召喚士サモナーです。言い訳に成りますが、経験も少ないでし、罠を見分けたり感知する術は自分にありません」

 正直、警戒するのも面倒だっただけだ。
 すまんな。

「それでももっとやりようはあるだろ! どれだけ邪魔したら⋯⋯」

「それ以上の悪態は止めて貰いますよ」

「カミラ、止めろ」

 カミラがフェンの頭に向かって銃口を向ける。
 カミラのハンドガンを抜いて頭に銃口を突き立てるまでの一連の流れを見えた人はこの中にどれ程居るのだろうか。

「あ、えと、そろそろ再開しますか」

 雪姫が場を和ませようとしたが、何も思いつかなかったようだ。
 フェンはいつもならこんな事では愚痴を言う人ではない。多分。
 だから何があったのか気になるところだ。
 それが俺の思い過ごしだと言うのなら、それまでだが。

「すみません。うちのギルマスが」

「いえ。お気になさらず。こちらも悪いですし」

「実は、ギルマスのお姉さんが迷宮症候群に合いまして、それでここ最近はピリピリしているのです」

「そう言う事ですか。なら、尚更お気になさらないでください」

 身内が未知の病に陥る姿を見れば神経質に成るのも分かる。
 それを責めるような事はしない。

 ◇

 家に帰り風呂に入っていると秋からメッセージが来る。

「なんだ?」

『オーディン様からの手紙が届きました。内容は巷の迷宮症候群に付いてです』

「そうか」

 オーディンから来ると言う事はこれは本当にイレギュラーなんだな。
 神も対応が遅れたのか。

「ドッペルゲンガー、頼んだ」

「はい」

 服を着替えて、俺は完璧なダミーを用意していダンジョンに入る。
 管理室に行くと既に秋が居り、手紙を渡してくれる。
 俺はそれを開封して中身を読んだ。
 こんな時だ。さすがにおふざけなしだろ。

 やぁ雨宮天音君。
 君が最近気にかけている、そっちでの名は迷宮症候群だったね。
 その迷宮症候群に付いて情報をまとめたから送る事にしたよ。
 まず、迷宮症候群とは何か、だけど。
 それは魂に濃い瘴気の混ざった魔力が大量に入った事に寄って起きた拒絶反応だ。

 あそこのダンジョンにはアンデット系が多かった事から、瘴気も多かったのだろう。
 人工的な体に魂を移植させたようだから今はアレだが、人間の体で元に戻したら体は塵に成っていたね。
 時間が経てば体に魔力が馴染んで自然と治ると思うよ。
 ただ、能力を持ってないのに能力者レベルの身体能力に成るから注意だね。

 そんなの待てないと思う天音君に対して特効薬のレシピを送るよ。
 泉できちんと作成方法を学んだから問題ない筈だ。
 それじゃ、後は君次第だよ。

 俺は次の紙のレシピを見る。
 こよダンジョンで栽培したり設置している鉱山で取れる資源で作れるようだ。
 この素材を集めて錬金術師達に作って貰おう。
 そして、人工人間の体ならアビリティに耐えれるだろうし、アビリティオーブも持って行こうかな?
 いや、副作用でそうなったと言う説明にするか。

 どうして特効薬が作れたのか聞かれたら、アビリティでと答えよう。
 他の質問などはその場で返答しよう。

 そして数時間後、薬が完成して送られて来た。
 俺はそれを見て笑みを浮かべ、翌日に千秋のもとに行く事にした。

 ◆

「くく。本当に君はズルよぉ。こんなに神に近いしいなんて。でも残念。君が知った時点で隠さないと言う事はこっちにも分かるって事なんだよ。さぁ、新たな時代の1ページを再び増やそうか」
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