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一章 同格の管理者
29話 作戦会議前
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ダンジョンの中に入ると秋が出迎えてくれる。
「動物型人工人間達が謝罪したいと申しています」
「謝罪はいいから何があったのか聞いて」
「畏まりました」
秋がメッセージのスペルカードを使って動物型人工人間達と話す。
その間に俺は訓練場に向かう。
大体ここでは騎士達の訓練が行われている。
「む、これは天音様。このような場所に何用ですか」
「ああ、皐月を呼びに来た」
俺は騎士団長のマリーと話している。
彼女は鎧を着ており、兜で顔が見えない。
武器は戦斧である。
騎士団の他にも十二星騎士の一人でもある。
「左様ですか。あの子は花蓮さんと遊んでいらっしゃいます」
「そうか。分かった」
取り敢えず、俺はSSSクラスダンジョンの攻略に向けた編成を行う。
マリカはダンジョンの管理を任しているから参加させる訳にはいかない。
皐月は取り敢えず確定として、他は行きたい人を募うかな。
秋のところに戻り、内容を聞く。
「分身体との繋がりが急に切れて、情報が集めれなかったそうです」
「成程。相手が言った能力がまじの場合、全部バレている可能性が高い。一度ダンジョンに戻しておくように伝えてくれ。それと、今回のあの金栗の発言は宣戦布告して受け入れる。皐月の他に三名同行させる。それに参加したい人を集めてくれ」
「⋯⋯わざわざマスターが出向く必要はないと思うのですが」
「相手は俺を狙って来ている。ダンジョンにヘイトが向くなら俺に向いて欲しい」
「それは、マスター、それは王としては失格ですよ」
秋が辛そうな顔で言ってくる。
全部の事柄に俺が関わる事が許せないらしい。
だけど、相手は俺に喧嘩を売って来たんだ。
そんな相手に安全圏から見て皆に任せる、俺にそんな事は出来ない。
それが王として正しくないとしても、それが俺だから。
俺は会議室へと足を動かす。
振り向く事なく、俺は秋に伝える。
「すまんな。自己中な管理者で。だけど、それが俺だ。安心してくれ、無傷で帰って来る」
それに、俺の目で確かめたい事もある。
⋯⋯そうだな。俺もコレが終わったら、管理者として少しは歩みを踏み出すかな。
会議室に行って、数分待つと皐月と他三名と秋が入って来る。
皐月に近い力を持つ三名だった。
「天音様。今回はご同行させて頂きます。人形王、タクヤでございます」
タクヤ、見た目は男の執事だが、中身は特別性の綿である。
管理者が作るモンスターは性別を選べない。
管理者がエナジーを使って作れるのは能力や見た目なので、内面などはランダムだ。
そして、異性の方が作成確率が高い。
だからこそ、このダンジョンでは女性が多い。
タクヤは操り人形や人形の他にも魔力式人形なども管理している。
王の名を持つ者は何かを総括する管理者であり、星騎士などは階級のような物で、二つ名はその人の能力等に合わせて与えている。
二つ名は求められた時に与えていたりする。
なんで流行ったんだろうな。二つ名。
「⋯⋯」
「おい、ヤユイ、天音様に対して無言とは無礼だぞ。ここで死ぬか?」
「⋯⋯」
無言でこっちを一瞥して来たのは十二星騎士の1人、銃狂乱のヤユイ。
このダンジョンで銃の扱いが1番上手く、戦闘用人工人間冥土の長であり、秋の直属の部下の1人を鍛えた人物でもある。
普段から無口で基本喋らず、前髪が長いので暗い印象があり、ダンジョン内でもあまり仲のいい人を見かけない。
「良いよ。俺は気にしてないし。ヤユイの個性の1つなんだし、つーか、タクヤ。仲間に死ぬとかそんな事言うなよ」
「ぐ、すみません」
「⋯⋯」
「貴様笑ったな!」
「あははは! お前ら愉快だな!」
皐月が大きく笑う。
最後に入って来たのはフード付きマントで全身を覆って、何も見えない人だった。
「フード、取りますね」
フードを取って、出した顔には仮面が被ってあった。
「今回は我が部下の分身体が完全に殺られたようなので、その復讐の為に参加を強く志願し、通ってここに来ました」
仮面を被っている理由、それは彼女に顔が無いからだ。
何も無いから何かを付ける事によって自分を表している。
動物型人工人間では無いが、その特性故に動物型人工人間達の長をして貰っている。諜報員のボスだな。
種族は『無人』と言う人間の別種だ。このダンジョンで唯一の種族だ。
透明人間、ミツル。
体の部位とかもないのだが、きちんと当たり判定はある。
マントや仮面を取ると、本当に存在を感じない。
気配等も全く感じないのだ。
一応、動物王は他に居るのだが、その人よりも強かった気がする。
ま、動物型人工人間と動物型魔物は別物だしな。
「集まってくれてありがとう。皐月、タクヤ、ヤユイ、ミツル。そしてこの俺。この5名で宣戦布告して来た自称、迷宮管理者の金栗稜留のダンジョンを攻略する!」
「はーい」
「はい」
「⋯⋯」
「許さない。許さない」
「さて、作戦会議をしようか」
「天音様。必要ですか?」
「力があるからと言って、出来る事も出来ないで疎かにするつもりは無い。それこそ滑稽で無能のやる事だ」
「はっ! それではまず、提案と言うか質問なんですが」
「なんだ?」
「ホームページを見ましたが、SSクラスダンジョン攻略経験者で応募し、その中から10パーティだけらしいですけど、大丈夫ですか?」
ふっ。
それも含めての作戦会議だ(キリッ)。
「動物型人工人間達が謝罪したいと申しています」
「謝罪はいいから何があったのか聞いて」
「畏まりました」
秋がメッセージのスペルカードを使って動物型人工人間達と話す。
その間に俺は訓練場に向かう。
大体ここでは騎士達の訓練が行われている。
「む、これは天音様。このような場所に何用ですか」
「ああ、皐月を呼びに来た」
俺は騎士団長のマリーと話している。
彼女は鎧を着ており、兜で顔が見えない。
武器は戦斧である。
騎士団の他にも十二星騎士の一人でもある。
「左様ですか。あの子は花蓮さんと遊んでいらっしゃいます」
「そうか。分かった」
取り敢えず、俺はSSSクラスダンジョンの攻略に向けた編成を行う。
マリカはダンジョンの管理を任しているから参加させる訳にはいかない。
皐月は取り敢えず確定として、他は行きたい人を募うかな。
秋のところに戻り、内容を聞く。
「分身体との繋がりが急に切れて、情報が集めれなかったそうです」
「成程。相手が言った能力がまじの場合、全部バレている可能性が高い。一度ダンジョンに戻しておくように伝えてくれ。それと、今回のあの金栗の発言は宣戦布告して受け入れる。皐月の他に三名同行させる。それに参加したい人を集めてくれ」
「⋯⋯わざわざマスターが出向く必要はないと思うのですが」
「相手は俺を狙って来ている。ダンジョンにヘイトが向くなら俺に向いて欲しい」
「それは、マスター、それは王としては失格ですよ」
秋が辛そうな顔で言ってくる。
全部の事柄に俺が関わる事が許せないらしい。
だけど、相手は俺に喧嘩を売って来たんだ。
そんな相手に安全圏から見て皆に任せる、俺にそんな事は出来ない。
それが王として正しくないとしても、それが俺だから。
俺は会議室へと足を動かす。
振り向く事なく、俺は秋に伝える。
「すまんな。自己中な管理者で。だけど、それが俺だ。安心してくれ、無傷で帰って来る」
それに、俺の目で確かめたい事もある。
⋯⋯そうだな。俺もコレが終わったら、管理者として少しは歩みを踏み出すかな。
会議室に行って、数分待つと皐月と他三名と秋が入って来る。
皐月に近い力を持つ三名だった。
「天音様。今回はご同行させて頂きます。人形王、タクヤでございます」
タクヤ、見た目は男の執事だが、中身は特別性の綿である。
管理者が作るモンスターは性別を選べない。
管理者がエナジーを使って作れるのは能力や見た目なので、内面などはランダムだ。
そして、異性の方が作成確率が高い。
だからこそ、このダンジョンでは女性が多い。
タクヤは操り人形や人形の他にも魔力式人形なども管理している。
王の名を持つ者は何かを総括する管理者であり、星騎士などは階級のような物で、二つ名はその人の能力等に合わせて与えている。
二つ名は求められた時に与えていたりする。
なんで流行ったんだろうな。二つ名。
「⋯⋯」
「おい、ヤユイ、天音様に対して無言とは無礼だぞ。ここで死ぬか?」
「⋯⋯」
無言でこっちを一瞥して来たのは十二星騎士の1人、銃狂乱のヤユイ。
このダンジョンで銃の扱いが1番上手く、戦闘用人工人間冥土の長であり、秋の直属の部下の1人を鍛えた人物でもある。
普段から無口で基本喋らず、前髪が長いので暗い印象があり、ダンジョン内でもあまり仲のいい人を見かけない。
「良いよ。俺は気にしてないし。ヤユイの個性の1つなんだし、つーか、タクヤ。仲間に死ぬとかそんな事言うなよ」
「ぐ、すみません」
「⋯⋯」
「貴様笑ったな!」
「あははは! お前ら愉快だな!」
皐月が大きく笑う。
最後に入って来たのはフード付きマントで全身を覆って、何も見えない人だった。
「フード、取りますね」
フードを取って、出した顔には仮面が被ってあった。
「今回は我が部下の分身体が完全に殺られたようなので、その復讐の為に参加を強く志願し、通ってここに来ました」
仮面を被っている理由、それは彼女に顔が無いからだ。
何も無いから何かを付ける事によって自分を表している。
動物型人工人間では無いが、その特性故に動物型人工人間達の長をして貰っている。諜報員のボスだな。
種族は『無人』と言う人間の別種だ。このダンジョンで唯一の種族だ。
透明人間、ミツル。
体の部位とかもないのだが、きちんと当たり判定はある。
マントや仮面を取ると、本当に存在を感じない。
気配等も全く感じないのだ。
一応、動物王は他に居るのだが、その人よりも強かった気がする。
ま、動物型人工人間と動物型魔物は別物だしな。
「集まってくれてありがとう。皐月、タクヤ、ヤユイ、ミツル。そしてこの俺。この5名で宣戦布告して来た自称、迷宮管理者の金栗稜留のダンジョンを攻略する!」
「はーい」
「はい」
「⋯⋯」
「許さない。許さない」
「さて、作戦会議をしようか」
「天音様。必要ですか?」
「力があるからと言って、出来る事も出来ないで疎かにするつもりは無い。それこそ滑稽で無能のやる事だ」
「はっ! それではまず、提案と言うか質問なんですが」
「なんだ?」
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ふっ。
それも含めての作戦会議だ(キリッ)。
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