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一章 同格の管理者
35話 ダークエルフ戦終了
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高速で逆流する血の感覚、薄れて行く意識。
「あああああああああああああ!」
魔力を血液に混ぜて強制的に血の流れを安定させる。
俺は薄れ行く意識の中でも、相手の腕を左手で捕まえる。
「⋯⋯」
「これで、チョロチョロ動く事、出来ねぇだろ」
俺は紫蘭をしっかり、相手の心臓目掛けて突き刺した。
しかし、ダークエルフは高速で回転して、自分の掴まれている腕を引きちぎり、バックステップで躱す。
「スペルカード、回復、発動」
傷が塞がれ、徐々に意識が回復して行く。
ダークエルフに回復の余裕は与えない。
「皐月!」
「はぁ! 武技、龍の鉤爪!」
「ふっ!」
三本の刃を躱すダークエルフ。
皐月が能力を使ってガチで殺しに掛かっている。
それだけ怒っていると言う事だろう。
「天音様」
「タクヤ、大丈夫。ただ、血を流し過ぎた」
後で補充しておかないとな。
俺は皐月の戦いを見守る。
俺達は俺以外の人は基本的に能力を使わない。
俺はスペルカードと言う能力をふんだんに使っている。
「はああああああああ!」
「そんな振り回すだけの剣は当たらない。高校生にしては肝が座っているけど、実力は大した事ないわね」
「あぁ?」
「皐月、落ち着け」
「ヤユイ! だけど、こいつは!」
「相手はもう左手しかない。冷静にやれば簡単に倒せる」
「甘く見られたモノですね。まぁでも、貴方方が強い事は承知の上。だからこそ、油断しないし隙も見せない。全力で来てくれたら良かったのに」
「⋯⋯ダンジョンに攻め来ているようだね」
「だから何ですか?」
「いや、逆にこっちも全勢力で来てくれたら皆揃って本気を出して良いかと思っただけだよ」
「や、ヤユイ、お主そんなに喋る奴だったか?」
「⋯⋯」
「⋯⋯」
「な、なんだ!」
「時間稼ぎも馬鹿が居ると難しいんですね。参考に成りますよ」
「ほんと、やになるよ」
ダークエルフは懐からハンドガンを瞬時に抜き取り、目に見えないミツルに向かって放つ。
放たれた弾をヤユイが撃ち落とす。
「ミツルの作戦は失敗だな」
「すまぬ」
「大罪悪魔達でも呼ぶか? いや、ここは我々で行うべきだな。相手がどのくらいの戦力で来ているか分からない以上⋯⋯天音が回復するまでここに居たいけど、そうすると他のモブに追いつかれる可能性もあるし、どうしようか」
俺はタクヤが作り出した人形にもたれて、アイテムストレージの血液パックを出して使っている。
「ヤユイさん。意外に余裕ですね。敬愛足る主があのザマなんですよ?」
「天音は正直あんまり強くないし、そもそも死ぬ気があったなら止める」
「貴女は自分の主に対してフレンドリーなのね」
「我は天音の部下であり友であるつもりだから。それと、無駄話は終わり」
「そうですね。右腕の再生が不可能なようですし、そろそろ終わりにしましょうか」
「天銃」
ヤユイのサブマシンガンがハンドガンに変わる。
右手のハンドガンの銃口をダークエルフに向ける。
「この一撃で貴女の核を撃ち抜く」
「出来ると思いますか?」
「時間くれたし、準備は整った。外さない」
ヤユイはハンドガンの準備、ダークエルフは体の再生を行っていた。
腕はタクヤの力に寄って再生させないようにしている。
だからこそ、タクヤは戦いに参加出来ない。
「皐月~動くなよ~」
「くっ、わ、分かった!」
空気が揺れて二人の目が細くなる。
そして、ダークエルフが一歩進むと、ヤユイの前に出る。
ヤユイがハンドガンを放つ。
「かは!」
「ちっ、核は外したか」
ハンドガンが塵と成って消える。
ダークエルフが地面を前転して立ち上がり短剣をヤユイの喉に向けて突き出す。
ヤユイは回転して躱し、瞬時にミニガンを展開する。
「塵となれ」
二丁のミニガンからは毎秒百発の弾丸が発射される。
「ちっ」
大打撃を受けても尚、ダークエルフは躱す。
しかし、その先には皐月が居た。
「ミツルの転移能力か」
「物知りだな! 武技、龍斬り!」
巨大な青い斬撃がダークエルフを包み込む。
「先に主を狙うべきでしたかね?」
「そもそも全体的に10パーセントくらいの力しか出てない人達と互角な時点であんたは負けてんのよ」
「⋯⋯ッ! それは、情報違い」
情報違い、か。
さて、俺はちょっと動けないな。
「ロードーーーー!」
「ちょ、今皐月に抱きつかれたら骨折れる!」
冗談抜きで!
「緊張感が無いですね」
「あはは。タクヤ、人形で運んでくれない?」
「休まなくて宜しいのですか?」
「ああ」
少しでも先に進みたい。
少し寝れば治るだろう。
◆
「ああああ!」
「菜々美さん。落ち着いて、今治しますから」
治癒班のところに転送した。
菜々美の体は半壊していた。
「あーもう! 何ですかアレ! 崩壊の力なんて聞いてないよ! だから一人で来たんだろうけどさー!」
あーもう!
もうボス部屋まで行かせてあの人に任せようかな。
触れただけで崩壊させるって、ここのボスには会わせる事が出来ない。
「ま~一層の迷宮の秘密は知らないようで安心した~」
もしも知ってたら、その場でボス討伐されちゃいそうだしね~。
でも、あの子を動かすなら流石に許可は得ないとね~。
「メッセージ」
──許可も貰った事だし、今度はあの子に。
『ベルゼブブの奴が大食い大会に出るって、見た目隠せんのか?』
「何を言っているんですか?」
『あ? マリちゃん。おひさー。ちょっと情報まとめの新聞でベルゼブブが外の大食い大会に出るってあってさ。どうやって人間に化けんのか気になってな~』
「くだらないですね。出て来てください」
『およ?』
「一層のボス部屋で、侵略者を倒してください」
『ん~分かった!』
今日、このダンジョンの秘密兵器が表に出る。
「あああああああああああああ!」
魔力を血液に混ぜて強制的に血の流れを安定させる。
俺は薄れ行く意識の中でも、相手の腕を左手で捕まえる。
「⋯⋯」
「これで、チョロチョロ動く事、出来ねぇだろ」
俺は紫蘭をしっかり、相手の心臓目掛けて突き刺した。
しかし、ダークエルフは高速で回転して、自分の掴まれている腕を引きちぎり、バックステップで躱す。
「スペルカード、回復、発動」
傷が塞がれ、徐々に意識が回復して行く。
ダークエルフに回復の余裕は与えない。
「皐月!」
「はぁ! 武技、龍の鉤爪!」
「ふっ!」
三本の刃を躱すダークエルフ。
皐月が能力を使ってガチで殺しに掛かっている。
それだけ怒っていると言う事だろう。
「天音様」
「タクヤ、大丈夫。ただ、血を流し過ぎた」
後で補充しておかないとな。
俺は皐月の戦いを見守る。
俺達は俺以外の人は基本的に能力を使わない。
俺はスペルカードと言う能力をふんだんに使っている。
「はああああああああ!」
「そんな振り回すだけの剣は当たらない。高校生にしては肝が座っているけど、実力は大した事ないわね」
「あぁ?」
「皐月、落ち着け」
「ヤユイ! だけど、こいつは!」
「相手はもう左手しかない。冷静にやれば簡単に倒せる」
「甘く見られたモノですね。まぁでも、貴方方が強い事は承知の上。だからこそ、油断しないし隙も見せない。全力で来てくれたら良かったのに」
「⋯⋯ダンジョンに攻め来ているようだね」
「だから何ですか?」
「いや、逆にこっちも全勢力で来てくれたら皆揃って本気を出して良いかと思っただけだよ」
「や、ヤユイ、お主そんなに喋る奴だったか?」
「⋯⋯」
「⋯⋯」
「な、なんだ!」
「時間稼ぎも馬鹿が居ると難しいんですね。参考に成りますよ」
「ほんと、やになるよ」
ダークエルフは懐からハンドガンを瞬時に抜き取り、目に見えないミツルに向かって放つ。
放たれた弾をヤユイが撃ち落とす。
「ミツルの作戦は失敗だな」
「すまぬ」
「大罪悪魔達でも呼ぶか? いや、ここは我々で行うべきだな。相手がどのくらいの戦力で来ているか分からない以上⋯⋯天音が回復するまでここに居たいけど、そうすると他のモブに追いつかれる可能性もあるし、どうしようか」
俺はタクヤが作り出した人形にもたれて、アイテムストレージの血液パックを出して使っている。
「ヤユイさん。意外に余裕ですね。敬愛足る主があのザマなんですよ?」
「天音は正直あんまり強くないし、そもそも死ぬ気があったなら止める」
「貴女は自分の主に対してフレンドリーなのね」
「我は天音の部下であり友であるつもりだから。それと、無駄話は終わり」
「そうですね。右腕の再生が不可能なようですし、そろそろ終わりにしましょうか」
「天銃」
ヤユイのサブマシンガンがハンドガンに変わる。
右手のハンドガンの銃口をダークエルフに向ける。
「この一撃で貴女の核を撃ち抜く」
「出来ると思いますか?」
「時間くれたし、準備は整った。外さない」
ヤユイはハンドガンの準備、ダークエルフは体の再生を行っていた。
腕はタクヤの力に寄って再生させないようにしている。
だからこそ、タクヤは戦いに参加出来ない。
「皐月~動くなよ~」
「くっ、わ、分かった!」
空気が揺れて二人の目が細くなる。
そして、ダークエルフが一歩進むと、ヤユイの前に出る。
ヤユイがハンドガンを放つ。
「かは!」
「ちっ、核は外したか」
ハンドガンが塵と成って消える。
ダークエルフが地面を前転して立ち上がり短剣をヤユイの喉に向けて突き出す。
ヤユイは回転して躱し、瞬時にミニガンを展開する。
「塵となれ」
二丁のミニガンからは毎秒百発の弾丸が発射される。
「ちっ」
大打撃を受けても尚、ダークエルフは躱す。
しかし、その先には皐月が居た。
「ミツルの転移能力か」
「物知りだな! 武技、龍斬り!」
巨大な青い斬撃がダークエルフを包み込む。
「先に主を狙うべきでしたかね?」
「そもそも全体的に10パーセントくらいの力しか出てない人達と互角な時点であんたは負けてんのよ」
「⋯⋯ッ! それは、情報違い」
情報違い、か。
さて、俺はちょっと動けないな。
「ロードーーーー!」
「ちょ、今皐月に抱きつかれたら骨折れる!」
冗談抜きで!
「緊張感が無いですね」
「あはは。タクヤ、人形で運んでくれない?」
「休まなくて宜しいのですか?」
「ああ」
少しでも先に進みたい。
少し寝れば治るだろう。
◆
「ああああ!」
「菜々美さん。落ち着いて、今治しますから」
治癒班のところに転送した。
菜々美の体は半壊していた。
「あーもう! 何ですかアレ! 崩壊の力なんて聞いてないよ! だから一人で来たんだろうけどさー!」
あーもう!
もうボス部屋まで行かせてあの人に任せようかな。
触れただけで崩壊させるって、ここのボスには会わせる事が出来ない。
「ま~一層の迷宮の秘密は知らないようで安心した~」
もしも知ってたら、その場でボス討伐されちゃいそうだしね~。
でも、あの子を動かすなら流石に許可は得ないとね~。
「メッセージ」
──許可も貰った事だし、今度はあの子に。
『ベルゼブブの奴が大食い大会に出るって、見た目隠せんのか?』
「何を言っているんですか?」
『あ? マリちゃん。おひさー。ちょっと情報まとめの新聞でベルゼブブが外の大食い大会に出るってあってさ。どうやって人間に化けんのか気になってな~』
「くだらないですね。出て来てください」
『およ?』
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『ん~分かった!』
今日、このダンジョンの秘密兵器が表に出る。
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