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一章 同格の管理者
50話 一章完結
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「ファンの皆さん。こんにちは、アイドルグループ、エリシオンのリーダー、ミコトです」
今はウチの商人達が築き上げた企業『秋天カンパニー』のアイドルグループがライブを行っている。
その人気は視聴数に出ていた。土曜日で、既に一万人もの人が見ている。
「実は私達、隠していた事があります。実は、私達はモンスターです!」
荒れるコメント欄。しかし、ミコト達は続ける。
「難攻不落迷宮、SSSクラスのダンジョンのモンスターです。今回は、二つの報告です。まずは、我々の管理者様から話があります」
俺はカメラの前に出る。勿論認識阻害はある。
「皆さんどうも。迷宮症候群の犯人にされた管理者さんです。今回はまぁ、宣伝ですね。政府公認ですよ。証拠もあります。簡潔に言いますね。我々は迷宮都市と言うのを行います。来たいと言う人は望んでください。こちらで選別致します。困っている人に手を差し伸べる所存ですよ。何が狙いかと思われるかもしれませんが、ダンジョンの中に住むの、気になりませんか? 詳しくはこのエリシオンのSNSをチェック!」
そしてカメラから出る。
「はぁ。めっちゃ緊張した。途中から台本忘れたし。全く」
「ちょ、その位置だとマイク入ります」
「⋯⋯」
俺は離れた。
その後、ミコトをメインに、このエリシオンは迷宮都市に戻る事。そこで暮らす事。その他諸々を淡々と話す。
コメント欄は勿論、荒れている。非難する人、現実逃避する人、それでも認める人。千差万別。
「さーて、どんくらいの反響があるのかね」
◇
天音達のやった事はすぐにニュースになった。
「そっか。天音じゃないかったね。天音がこんな大きな事出来ないもん。小心者だし」
安堵する者。
◇
「天音さん。貴方は、何を考えているんですか」
疑問に思う者。
◇
様々な反応がある世の中で、希望する人も居た。
「お姉ちゃん。迷宮都市だって」
「そうだね」
虐待を受け、監禁され、外の世界を知らない姉妹。
世の中に絶望して全てを諦めた人達。
「行けるかな?」
「無理よ。東京よ? それに、出られないわよ。いずれ⋯⋯」
姉は両親の会話を聞いて、将来どうなるのかを察していた。それを、妹に伝える事が出来なかった。
「もしも行けたら、一緒に行こうね」
「そうね」
「なら、来ますか?」
そこに、犬耳を付けた女性が現れた。
「来ますか? 貴方方は幸せを掴む権利がある。それのお手伝いをしますよ。迷宮都市、来ますか? 覚悟があるのなら、本当に望むのなら、お手を」
手を伸ばし、その手を取る姉妹。
一枚のスペルカードが浮かび、ゆっくりと発光して三人は消えた。
姉妹の両親はきちんと説得した。ただ、両親は現在刑務所の中にいるようだが。
◇
発表から一週間、続々と日本から人が減って行く。と、言っても誤差だし国的に問題は無い。
子供とかは問題かもだが、ホームレスなどは問題視されてない。
そして、ここは管理者と対面した政府の一人の家。
「零、来たか?」
「はい。お父上様」
「零、君は16歳だ」
「はい」
「義務教育は終わっている」
「はい」
零と言われた少女はさっさと本題だせよクソ親父と心の中で叫んだ。
「迷宮都市へと、密偵を行って欲しい。内部に潜入して調べてくれ」
(16の娘に頼む事かよ。これだからクソ親父は。だけど、ちょっと気になるし、良いか)
「分かりました。しっかり、闇の部分を暴きます」
「ああ。あと、放り込んだあの男の事も見て来い」
(死ね)
「仰せのままに」
零は母親の下に向かい、抱き着く。
「ママ~クソ親父が迷宮都市に行けって言うんだけど~」
「そうね。困ったわね。でもね、あの加齢臭の命令は聞かないといけません。不甲斐ないママでごめんなさいね」
「ううん。毎晩アレに耐えているママはすごいと思うよ。私、頑張る!」
「ええ。それでこそ私の娘よ」
そんな会話を聞いているのはその父親。
(⋯⋯そんなに臭い?)
ちなみにその父親は最近火を操るアビリティを無理矢理手に入れた経験がある。
◇
廃人と極悪人が少し入ったコンテナがゲートに投げられた。
雑である。
「ふっしゃあ! なんで急にシャバに出れたんだ?」
男の顔は厳つく、赤髪で鋭い眼光。
目の前に広がる空間は日光に照らされる都会の街並み。だが、どこか違う雰囲気がある。
彼のアビリティはたったの一つ。その一つが強力で異物により、他のアビリティの適正がなかった。
「ようこそ犯罪者と廃人さん? 廃人は五人、犯罪者は一人ですか。何をなさったんですか」
「誰だテメェ?」
「迷宮都市安全保護委員会のフタバです。または管理人ですかね? まぁ、管理人の役割を持つ人は複数人居ますが」
ツインテールの緑髪のメイド服姿の人はそう言った。
人工人間では無い。種族は精霊である。メイド服は仕事服でもあり私服である。
彼女の辞書にオシャレは存在しない。
「ヒィ。ここが何処か知らねぇが、テメェ人間じゃねぇな! おもしれぇ! お前の全て、俺様が貰ってやるぜ! グラトニー!」
「さっさと移動したいので、暴れないでください」
拳一つで捩じ伏せる。
(人間にしては硬いわね。さっさと運びましょ)
「機械動物達は廃人を運んで」
フタバは男の頭を掴んで引き摺って移動する。
「まずはここの電子端末を渡さないと。あれないとここじゃ何も出来ないし」
(なんなんだこの女。なんで、俺様のアビリティが)
どんな力にも限界はある。その限界を超えた力にな敵わない。
男がそれに気づくのはまだ先である。
◇
「順調だな」
さて、これからどうなるのやら。
てか、政府側の人も普通に招き入れるんだな。
──◆
これにて一章完結でございます。二章からは学校がメインの話です。楽しみにしてくださると幸いです。
何かありましたらコメントにてお願いします。
今はウチの商人達が築き上げた企業『秋天カンパニー』のアイドルグループがライブを行っている。
その人気は視聴数に出ていた。土曜日で、既に一万人もの人が見ている。
「実は私達、隠していた事があります。実は、私達はモンスターです!」
荒れるコメント欄。しかし、ミコト達は続ける。
「難攻不落迷宮、SSSクラスのダンジョンのモンスターです。今回は、二つの報告です。まずは、我々の管理者様から話があります」
俺はカメラの前に出る。勿論認識阻害はある。
「皆さんどうも。迷宮症候群の犯人にされた管理者さんです。今回はまぁ、宣伝ですね。政府公認ですよ。証拠もあります。簡潔に言いますね。我々は迷宮都市と言うのを行います。来たいと言う人は望んでください。こちらで選別致します。困っている人に手を差し伸べる所存ですよ。何が狙いかと思われるかもしれませんが、ダンジョンの中に住むの、気になりませんか? 詳しくはこのエリシオンのSNSをチェック!」
そしてカメラから出る。
「はぁ。めっちゃ緊張した。途中から台本忘れたし。全く」
「ちょ、その位置だとマイク入ります」
「⋯⋯」
俺は離れた。
その後、ミコトをメインに、このエリシオンは迷宮都市に戻る事。そこで暮らす事。その他諸々を淡々と話す。
コメント欄は勿論、荒れている。非難する人、現実逃避する人、それでも認める人。千差万別。
「さーて、どんくらいの反響があるのかね」
◇
天音達のやった事はすぐにニュースになった。
「そっか。天音じゃないかったね。天音がこんな大きな事出来ないもん。小心者だし」
安堵する者。
◇
「天音さん。貴方は、何を考えているんですか」
疑問に思う者。
◇
様々な反応がある世の中で、希望する人も居た。
「お姉ちゃん。迷宮都市だって」
「そうだね」
虐待を受け、監禁され、外の世界を知らない姉妹。
世の中に絶望して全てを諦めた人達。
「行けるかな?」
「無理よ。東京よ? それに、出られないわよ。いずれ⋯⋯」
姉は両親の会話を聞いて、将来どうなるのかを察していた。それを、妹に伝える事が出来なかった。
「もしも行けたら、一緒に行こうね」
「そうね」
「なら、来ますか?」
そこに、犬耳を付けた女性が現れた。
「来ますか? 貴方方は幸せを掴む権利がある。それのお手伝いをしますよ。迷宮都市、来ますか? 覚悟があるのなら、本当に望むのなら、お手を」
手を伸ばし、その手を取る姉妹。
一枚のスペルカードが浮かび、ゆっくりと発光して三人は消えた。
姉妹の両親はきちんと説得した。ただ、両親は現在刑務所の中にいるようだが。
◇
発表から一週間、続々と日本から人が減って行く。と、言っても誤差だし国的に問題は無い。
子供とかは問題かもだが、ホームレスなどは問題視されてない。
そして、ここは管理者と対面した政府の一人の家。
「零、来たか?」
「はい。お父上様」
「零、君は16歳だ」
「はい」
「義務教育は終わっている」
「はい」
零と言われた少女はさっさと本題だせよクソ親父と心の中で叫んだ。
「迷宮都市へと、密偵を行って欲しい。内部に潜入して調べてくれ」
(16の娘に頼む事かよ。これだからクソ親父は。だけど、ちょっと気になるし、良いか)
「分かりました。しっかり、闇の部分を暴きます」
「ああ。あと、放り込んだあの男の事も見て来い」
(死ね)
「仰せのままに」
零は母親の下に向かい、抱き着く。
「ママ~クソ親父が迷宮都市に行けって言うんだけど~」
「そうね。困ったわね。でもね、あの加齢臭の命令は聞かないといけません。不甲斐ないママでごめんなさいね」
「ううん。毎晩アレに耐えているママはすごいと思うよ。私、頑張る!」
「ええ。それでこそ私の娘よ」
そんな会話を聞いているのはその父親。
(⋯⋯そんなに臭い?)
ちなみにその父親は最近火を操るアビリティを無理矢理手に入れた経験がある。
◇
廃人と極悪人が少し入ったコンテナがゲートに投げられた。
雑である。
「ふっしゃあ! なんで急にシャバに出れたんだ?」
男の顔は厳つく、赤髪で鋭い眼光。
目の前に広がる空間は日光に照らされる都会の街並み。だが、どこか違う雰囲気がある。
彼のアビリティはたったの一つ。その一つが強力で異物により、他のアビリティの適正がなかった。
「ようこそ犯罪者と廃人さん? 廃人は五人、犯罪者は一人ですか。何をなさったんですか」
「誰だテメェ?」
「迷宮都市安全保護委員会のフタバです。または管理人ですかね? まぁ、管理人の役割を持つ人は複数人居ますが」
ツインテールの緑髪のメイド服姿の人はそう言った。
人工人間では無い。種族は精霊である。メイド服は仕事服でもあり私服である。
彼女の辞書にオシャレは存在しない。
「ヒィ。ここが何処か知らねぇが、テメェ人間じゃねぇな! おもしれぇ! お前の全て、俺様が貰ってやるぜ! グラトニー!」
「さっさと移動したいので、暴れないでください」
拳一つで捩じ伏せる。
(人間にしては硬いわね。さっさと運びましょ)
「機械動物達は廃人を運んで」
フタバは男の頭を掴んで引き摺って移動する。
「まずはここの電子端末を渡さないと。あれないとここじゃ何も出来ないし」
(なんなんだこの女。なんで、俺様のアビリティが)
どんな力にも限界はある。その限界を超えた力にな敵わない。
男がそれに気づくのはまだ先である。
◇
「順調だな」
さて、これからどうなるのやら。
てか、政府側の人も普通に招き入れるんだな。
──◆
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何かありましたらコメントにてお願いします。
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