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3日目:失言カミングアウト
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寝不足と空腹は人を殺す。という言葉がどこかにありそう。
寝不足と空腹をこじらせた人は何するか分かったもんじゃない。
自分が今、そんな感じだった。
人知れずため息をつきながら時計を見た。まだまだ開店したばかり、1日はこれからだ。
(眠い…)
どうして?どうして今日に限って人手不足なの?
さっきまで日勤の人が居たけど、お子さんが熱を出したらしく、お店のレジ打ちより大事な役目に向かった。
レジなんて守るべき家族もいない腰痛野郎が打てばいいんだもの。
(社員としては絶対言っちゃだめだよな、レジなんかって)
へへ、と一人笑った。
でもそうでしょう?エヴァに乗るより私の代わりがいる仕事だもの。
気を紛らわせても、眠気と空腹と体の痛みで闇落ち待ったなしだった。
(土日だったらヘルプを頼んだかもだけど…)
平日だし、休んだ人が気を使うかなと思って、バイトの連絡用グループLINEは使えなかった。
まぁ夕方には人が来るし平気だろ、なんて思ったら昼の時点で既に負け戦だった。これは疲れじゃなくて老いなのかもしれない。
(そうだ!令和の若者)
バックヤードに引っ込んだついでに、アルバイター向井君にダメ元で連絡してみようと思いついた。
(ダメならダメでばっさり断ってくれそうだし、気兼ねなくワンチャンいってみよう)
「お疲れ様!今日何時でもいいんでシフト入れたりしますか?お休みでちゃって、いけたらでいいんで待ってます!」
(誰か待ってなかったかな)
一瞬レジを空けただけだったが、心配になっていそいそと台車を転がしてフロアに戻った。
お昼のちょっとした混雑も落ち着き、何とかレジが詰むこともなく午後を迎えた。
夕勤の人が来るまであと数時間、ここが辛いところだった。もう眠いとかじゃなくて気持ち悪い…
(空腹とか頭痛って気持ち悪さ出てくるよね)
理由が分かったからってなんの慰めにもならなかった。
そこまで頑張る仕事でもないと思いつつ、笑顔を作ってしまう自分が馬鹿みたいだった。にっこり笑う度に自分の心が遠くに行く気がした。
「お疲れ様です。返信なかったけど勤怠切っちゃいました。レジ代わりますよ」
「え?」
お客様に商品を渡して、振り向いた先に向井君がいた。
「え、来てくれたの?大丈夫?まだ3時なのに、学校とか…」
「大丈夫っす、それに何か困ってそうだったんで」
向井君を超えた。神様だった。
「えぇ…なんでわかったの」
「シフト催促とか苦手そうなのに珍しいなと思って。全体に言わないってことは、誰か体調不良で気にしそうだからかなって」
「かしこすぎない…?」
神様は推理を披露しつつ、手際よくレジに名札をスキャンしてレジ台を乗っ取った。
「ごめん、本当ありがとう。そしたらちょっとトイレ行ってきていい?すぐ戻るから」
「もしかして行ってないんすか今日」
「うん、食べてないから困ってもなかったんだけど、今のうちに行っとこうかと思って」
「まじやばいんすけど織さん、早く行ってください」
トイレで手を洗って、鏡に映る自分をボーっと見つめた。
(本当、まじやばいよな、そこまで混んでないんだしトイレも休憩も適当に行きゃいいのに)
自分でも思うんだから、向井君からしたら本当バカみたいだろう。
(そもそも、食べないのだって忙しいってだけじゃないし)
準備した後で無駄になったら…と不安になって、食事を後回しにするということはよくあった。
そんなこんなを二日連続でやってしまった今日だから。自業自得の自己責任だった。
(なんでこんなに不器用で何もうまくできないんだろう)
「はぁ…」
とにかく仕事に集中しようと気合を入れなおしてフロアに戻った。
-----
夕勤のスタッフも来てくれて、余裕が出たので休憩させてもらうことにした。
「悪いんだけどちょっとバックの休憩室にいるから、何かあったら呼んで」
フロアの二人に声をかけて、バックヤードの奥にある休憩用の机に突っ伏した。
少なくとも入店時からある老いたパイプ椅子が軋んだ。
「これ腰痛い…おしり冷たい…」
それでも立っているより体全体としては楽だった。目を閉じていられる喜びをかみしめた。
(ありがとう、スタッフさんありがとう…)
スヤ…
「織さん、織さん」
「ん…えっ?」
はっと身体を起こして時計を見た。まもなく閉店時間だった。
「うそ、がっつり寝てた?ごめん、何かあった?」
「あぁ違います、1番レジ以外を締めたので鍵をお借りしたくて。すみません疲れてるところ」
ベテランスタッフの大月さんが申し訳なさそうに答えた。
「いや全然。ありがとう。そしたら最後までお願いしていい?」
大月さんは鍵を受け取りながら、元気な笑顔で返してくれた。
「はい!あと足りないもの発注リストに入れといたので、それだけ確認と承認いただけますか?」
「まじで!ありがとう!超ありがとう、せめて床掃除やるね」
最高すぎる大月さんに自分ができることは汚れ仕事を引き受けることのみだった。
「あ、織さん。起きたんすか」
同じくフロアにモップをかける向井君と合流したので掃除も終了だ。
「うん…ごめんね、ずっと休憩しちゃってて」
「いえ。大月さんは?」
「レジ仮締めしてくれたから、残りのレジも締めてもらった。いやー、発注もしててくれたみたいで、本当助かったわ」
そのおかげで早く帰れる!と陽気にモップでホコリをバックヤードに連れて行きながらごみをまとめて締めようとしたが、向井君が付いてこなかった。
「俺も今日わざわざ来たんですけど」
(おっと)
急に呼んだわりにてめーは寝てるし感謝が足んねーんじゃねーか。
これはそれか?と思い、ビクッとして後ろを向いた。
「え、ごめん、いや本当に助かったよ。PCの時もだし、ほんとありがとうね」
「あー、これ俺が言わせましたね、すません」
「違う違う!あれだ、何かおごるから!ね!」
「別に暇だから来ただけなんでいいです。時給出るし」
(何だ、じゃあどうして欲しいんだこいつ)
神様に思ってはいけないと思いつつ、急な面倒くささに不敬にもイラっとしてしまった。
「まぁ…そりゃ出てくれたんだから当然出るよ。はい!モップ洗わせていただきますんで貸して!」
今は苛立ちを態度に出さない自信が無かったので、今度こそとっておきの入浴剤に向けてさっさとあがることにした。
「はい、退勤!今日もお疲れ様でした」
電車で来ている大月さんは、いつもの電車に乗るためエプロンだけ脱いでダッシュで帰った。
(俺も帰ろう…)
「腰大丈夫っすか」
「え!?」
油断していたところに、またも後ろから向井君が話しかけて来た。
(もっと物音立てられない?)
「あぁ、大丈夫、ごめんね、昼間から締めまでいてもらって」
「平日の連日は大変っすね」
ガラガラガラ
備品が入っていた段ボールを思い切り倒して、商品陳列用のフックやら値札やらが高い音を立てた。
しかし、こっちはそれどころではなかった。
「えっと…なにが…」
弱い!これは弱い!だが逃げるしかない。バレたら終わりなのだ。
(おいこら向井、急に何がしたいんだ。何かおかしかった?皆にもバレてる?)
半ばパニックな状態で、いつもの調子でこちらを追い詰めてくる向井にも怒りがわいてきた。逆切れだ。
「寝言で相手の名前言ってましたよ」
「は?」
どっちだ?
(いや、これはどっちでも関係ない!)
「知らないし。てか関係なくない?今日は急な休みが出たから忙しかったし、来てくれて助かったけど、時給出るからいいって言ってたよね?まだ何かあるの?」
どうだ!もう帰ろうぜ向井!
と、言わんばかりに上着を着てみた。
「はい。関係ないし、いいんすけど、恋人と楽しそうだなと思って」
向井は全然立つ気配が無かった。
恋人…?
楽しそう?
「…そんなんじゃないから。もう帰んない?」
不機嫌さを隠さずに言ったが、向井はずっといつもの調子で、それがまた腹立たしかった。
「恋人じゃないんすか?」
「だから関係ある?なんなの?急に」
今までそんなに話さなかったから、こんなにしつこいとは思わなかった。
「織さんだったら俺もいけるなぁと思って」
これは今日一番イラっとした。お前、女に向かってそれ言えんの?
「気持ち悪いこと言ってんなよ」
(あ、待って)
「ごめん」
今、自分が一番言われたくないこと言ったかも。
そう思って、何故かこっちが怒ってこっちが謝る結果になった。
向井はキレてから一瞬で謝るまでの行動がツボに入ったらしく、笑い出した。
「なんすかそれwww」
(ムカつくなこいつ)
罪悪感を返して欲しい気分になったものの、付き合い切れなくて置いて帰ることに決めた。
「店の鍵、いつものとこ置いといて」
「織さん、すみませんでした。今、俺最低でしたよね」
「……まぁイラっとはしたよ」
急に素直な態度を見せる向井の言葉に、仕方なく振り向いて答えた。
向井はバックヤードのパイプ椅子に座って、俯いたまま話を続けた。
「すいません、癖なんです」
「はぁ?」
「わざとこういうこと言って、どこまで許されるか試しちゃうのが」
「…はぁ」
(何のチキンレースしてんの)
とは思ったが、急に深刻な空気を出しはじめた相手に余計なことは言えなかった。
「…もうしませんから」
(ここまでシュンとされると扱いに困る…)
「あぁ、そうして。もう帰ろ」
仕事終わりにどっと疲れたから、早く帰りたかった。
ポケットからスマホを出したところで、うっかりスマホを落としてしまった。
「俺、男が好きなんです」
向井が急なカミングアウトをしたタイミングで。
寝不足と空腹をこじらせた人は何するか分かったもんじゃない。
自分が今、そんな感じだった。
人知れずため息をつきながら時計を見た。まだまだ開店したばかり、1日はこれからだ。
(眠い…)
どうして?どうして今日に限って人手不足なの?
さっきまで日勤の人が居たけど、お子さんが熱を出したらしく、お店のレジ打ちより大事な役目に向かった。
レジなんて守るべき家族もいない腰痛野郎が打てばいいんだもの。
(社員としては絶対言っちゃだめだよな、レジなんかって)
へへ、と一人笑った。
でもそうでしょう?エヴァに乗るより私の代わりがいる仕事だもの。
気を紛らわせても、眠気と空腹と体の痛みで闇落ち待ったなしだった。
(土日だったらヘルプを頼んだかもだけど…)
平日だし、休んだ人が気を使うかなと思って、バイトの連絡用グループLINEは使えなかった。
まぁ夕方には人が来るし平気だろ、なんて思ったら昼の時点で既に負け戦だった。これは疲れじゃなくて老いなのかもしれない。
(そうだ!令和の若者)
バックヤードに引っ込んだついでに、アルバイター向井君にダメ元で連絡してみようと思いついた。
(ダメならダメでばっさり断ってくれそうだし、気兼ねなくワンチャンいってみよう)
「お疲れ様!今日何時でもいいんでシフト入れたりしますか?お休みでちゃって、いけたらでいいんで待ってます!」
(誰か待ってなかったかな)
一瞬レジを空けただけだったが、心配になっていそいそと台車を転がしてフロアに戻った。
お昼のちょっとした混雑も落ち着き、何とかレジが詰むこともなく午後を迎えた。
夕勤の人が来るまであと数時間、ここが辛いところだった。もう眠いとかじゃなくて気持ち悪い…
(空腹とか頭痛って気持ち悪さ出てくるよね)
理由が分かったからってなんの慰めにもならなかった。
そこまで頑張る仕事でもないと思いつつ、笑顔を作ってしまう自分が馬鹿みたいだった。にっこり笑う度に自分の心が遠くに行く気がした。
「お疲れ様です。返信なかったけど勤怠切っちゃいました。レジ代わりますよ」
「え?」
お客様に商品を渡して、振り向いた先に向井君がいた。
「え、来てくれたの?大丈夫?まだ3時なのに、学校とか…」
「大丈夫っす、それに何か困ってそうだったんで」
向井君を超えた。神様だった。
「えぇ…なんでわかったの」
「シフト催促とか苦手そうなのに珍しいなと思って。全体に言わないってことは、誰か体調不良で気にしそうだからかなって」
「かしこすぎない…?」
神様は推理を披露しつつ、手際よくレジに名札をスキャンしてレジ台を乗っ取った。
「ごめん、本当ありがとう。そしたらちょっとトイレ行ってきていい?すぐ戻るから」
「もしかして行ってないんすか今日」
「うん、食べてないから困ってもなかったんだけど、今のうちに行っとこうかと思って」
「まじやばいんすけど織さん、早く行ってください」
トイレで手を洗って、鏡に映る自分をボーっと見つめた。
(本当、まじやばいよな、そこまで混んでないんだしトイレも休憩も適当に行きゃいいのに)
自分でも思うんだから、向井君からしたら本当バカみたいだろう。
(そもそも、食べないのだって忙しいってだけじゃないし)
準備した後で無駄になったら…と不安になって、食事を後回しにするということはよくあった。
そんなこんなを二日連続でやってしまった今日だから。自業自得の自己責任だった。
(なんでこんなに不器用で何もうまくできないんだろう)
「はぁ…」
とにかく仕事に集中しようと気合を入れなおしてフロアに戻った。
-----
夕勤のスタッフも来てくれて、余裕が出たので休憩させてもらうことにした。
「悪いんだけどちょっとバックの休憩室にいるから、何かあったら呼んで」
フロアの二人に声をかけて、バックヤードの奥にある休憩用の机に突っ伏した。
少なくとも入店時からある老いたパイプ椅子が軋んだ。
「これ腰痛い…おしり冷たい…」
それでも立っているより体全体としては楽だった。目を閉じていられる喜びをかみしめた。
(ありがとう、スタッフさんありがとう…)
スヤ…
「織さん、織さん」
「ん…えっ?」
はっと身体を起こして時計を見た。まもなく閉店時間だった。
「うそ、がっつり寝てた?ごめん、何かあった?」
「あぁ違います、1番レジ以外を締めたので鍵をお借りしたくて。すみません疲れてるところ」
ベテランスタッフの大月さんが申し訳なさそうに答えた。
「いや全然。ありがとう。そしたら最後までお願いしていい?」
大月さんは鍵を受け取りながら、元気な笑顔で返してくれた。
「はい!あと足りないもの発注リストに入れといたので、それだけ確認と承認いただけますか?」
「まじで!ありがとう!超ありがとう、せめて床掃除やるね」
最高すぎる大月さんに自分ができることは汚れ仕事を引き受けることのみだった。
「あ、織さん。起きたんすか」
同じくフロアにモップをかける向井君と合流したので掃除も終了だ。
「うん…ごめんね、ずっと休憩しちゃってて」
「いえ。大月さんは?」
「レジ仮締めしてくれたから、残りのレジも締めてもらった。いやー、発注もしててくれたみたいで、本当助かったわ」
そのおかげで早く帰れる!と陽気にモップでホコリをバックヤードに連れて行きながらごみをまとめて締めようとしたが、向井君が付いてこなかった。
「俺も今日わざわざ来たんですけど」
(おっと)
急に呼んだわりにてめーは寝てるし感謝が足んねーんじゃねーか。
これはそれか?と思い、ビクッとして後ろを向いた。
「え、ごめん、いや本当に助かったよ。PCの時もだし、ほんとありがとうね」
「あー、これ俺が言わせましたね、すません」
「違う違う!あれだ、何かおごるから!ね!」
「別に暇だから来ただけなんでいいです。時給出るし」
(何だ、じゃあどうして欲しいんだこいつ)
神様に思ってはいけないと思いつつ、急な面倒くささに不敬にもイラっとしてしまった。
「まぁ…そりゃ出てくれたんだから当然出るよ。はい!モップ洗わせていただきますんで貸して!」
今は苛立ちを態度に出さない自信が無かったので、今度こそとっておきの入浴剤に向けてさっさとあがることにした。
「はい、退勤!今日もお疲れ様でした」
電車で来ている大月さんは、いつもの電車に乗るためエプロンだけ脱いでダッシュで帰った。
(俺も帰ろう…)
「腰大丈夫っすか」
「え!?」
油断していたところに、またも後ろから向井君が話しかけて来た。
(もっと物音立てられない?)
「あぁ、大丈夫、ごめんね、昼間から締めまでいてもらって」
「平日の連日は大変っすね」
ガラガラガラ
備品が入っていた段ボールを思い切り倒して、商品陳列用のフックやら値札やらが高い音を立てた。
しかし、こっちはそれどころではなかった。
「えっと…なにが…」
弱い!これは弱い!だが逃げるしかない。バレたら終わりなのだ。
(おいこら向井、急に何がしたいんだ。何かおかしかった?皆にもバレてる?)
半ばパニックな状態で、いつもの調子でこちらを追い詰めてくる向井にも怒りがわいてきた。逆切れだ。
「寝言で相手の名前言ってましたよ」
「は?」
どっちだ?
(いや、これはどっちでも関係ない!)
「知らないし。てか関係なくない?今日は急な休みが出たから忙しかったし、来てくれて助かったけど、時給出るからいいって言ってたよね?まだ何かあるの?」
どうだ!もう帰ろうぜ向井!
と、言わんばかりに上着を着てみた。
「はい。関係ないし、いいんすけど、恋人と楽しそうだなと思って」
向井は全然立つ気配が無かった。
恋人…?
楽しそう?
「…そんなんじゃないから。もう帰んない?」
不機嫌さを隠さずに言ったが、向井はずっといつもの調子で、それがまた腹立たしかった。
「恋人じゃないんすか?」
「だから関係ある?なんなの?急に」
今までそんなに話さなかったから、こんなにしつこいとは思わなかった。
「織さんだったら俺もいけるなぁと思って」
これは今日一番イラっとした。お前、女に向かってそれ言えんの?
「気持ち悪いこと言ってんなよ」
(あ、待って)
「ごめん」
今、自分が一番言われたくないこと言ったかも。
そう思って、何故かこっちが怒ってこっちが謝る結果になった。
向井はキレてから一瞬で謝るまでの行動がツボに入ったらしく、笑い出した。
「なんすかそれwww」
(ムカつくなこいつ)
罪悪感を返して欲しい気分になったものの、付き合い切れなくて置いて帰ることに決めた。
「店の鍵、いつものとこ置いといて」
「織さん、すみませんでした。今、俺最低でしたよね」
「……まぁイラっとはしたよ」
急に素直な態度を見せる向井の言葉に、仕方なく振り向いて答えた。
向井はバックヤードのパイプ椅子に座って、俯いたまま話を続けた。
「すいません、癖なんです」
「はぁ?」
「わざとこういうこと言って、どこまで許されるか試しちゃうのが」
「…はぁ」
(何のチキンレースしてんの)
とは思ったが、急に深刻な空気を出しはじめた相手に余計なことは言えなかった。
「…もうしませんから」
(ここまでシュンとされると扱いに困る…)
「あぁ、そうして。もう帰ろ」
仕事終わりにどっと疲れたから、早く帰りたかった。
ポケットからスマホを出したところで、うっかりスマホを落としてしまった。
「俺、男が好きなんです」
向井が急なカミングアウトをしたタイミングで。
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