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4日目:楽器をやらないのに防音室…妙だな
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少し迷ったが、織は自分が仕事に出る時間に合わせて向井を起こすことにした。
ただ問題は、暇を持て余して朝食を作り過ぎたことだった。織は人がいるとやたら張り切ってしまう、自分のベタついた性質が好きではなかった。
(向井いかにも朝食べない顔だもんな。聞いてみて、食べるようなら出すか)
台所から部屋に入った織は、ソファにちょこんと座っている向井を見つけた。
「あれ?おはよう、今日何時に出るんだっけ?」
「おざます、今日はえーっと、9時とか9時半とかに出ればっすかね」
「あ、本当?じゃあ9時15分にいつも出てるんだけど、一緒に出るんでいい?」
向井は店の開店時間から織の出社時間を推理した。そして見事正解し、鉄筋ポーカーフェイスで返事をした。
「はい。あの、もしかして何か作ってました?」
「あ…うん」
織は出すか迷っていた朝食を向井に一応見せてみることにした。
「…」
「何か早く起きちゃって。朝、食べないなら無理しなくていいけど、よかったら食べ」
「食べます」
反応が無かったので不安だったが、食い気味で返事をされたので嫌ではないと信じることにした。
「料理上手っすね」
「え!ありがとう、向井君が言うとほんとっぽくて嬉しいわ」
「本当っす、俺料理全然なんでこれは普通にすごいと思います」
(さては他ですごいと思ってないな?)
意外でもない向井の本音を垣間見つつ、織は終始ニコニコしていた。
「昨日は寝れたんすか?てか楽しそうっすね」
「え?あぁ、寝れたよ。いや何か、自分が作ったのを一緒に食べるっていいよなぁと思って」
織の部屋にはダイニング代わりのカウンターがあったが、一度もここで誰かと食事を楽しんだことは無かった。
「…何か大丈夫すか、割とぼっちなんすか」
「う…まぁ、そうだよ。地元出ちゃってからは全然だね。女友達なら結構こっちにいるけど、一応男の部屋に呼ぶのはどうかなぁと思って」
(半ばヤケでこの部屋を借りてからは誰も呼んでないな)
隣から向井の視線は感じていたが、無視して黙々と玉子焼きを食べた。
「地元出ちゃうとそうかも知んないっすね。プライベートでも気使ってたらまぁ、疲れますよね」
(え…)
急な理解ある向井に、織は驚いて黙ってしまった。その沈黙に、逆に向井が驚いて織を見た。
「…え。何すか」
「いや、ありがとう。昨日もだけど、急に迷惑かけたのに相談まで乗ってくれてさ。そんで案外ひどいこと言わないから何かびっくりしちゃって」
「言ったこと無いでしょ、ひどいことなんて」
「ハハ。自覚あるだろ」
朝食を終え、もう少し時間があったので、洗い物は夜に回してお茶を飲むことにした。玄米茶の香りがカウンターに広がった。
(話聞いてもらったからには、言わないとな)
「…友達とはもう、やめようと思うんだ」
「…」
「って、今は思ってるよ。気持ち悪い話して申し訳なかったから、気持ち悪いって自分で思うようなことはやめようと思って」
「織さん」
「はい?」
「無理してますよね」
(ばれてるよね)
力ない笑顔で返した。織自身、何度もやめようと思った上で今があった。
彼がいなかったら、自分はもう一生独りになる気がした。心臓がバクバクして、いつ来るか分からないLINEを何度も確認した。
あの熱が二度と手に入らないと思うだけで、既に心が折れそうだった。
「まぁスパッといけるような性格ならこんな沼にハマらないよね。何か趣味とか無いかな」
「楽器とかやらないんすか?」
「楽器?あぁ、ここ防音らしいけど、カウンターとかが気に入って借りただけから何もやってないよ」
「そうすか…」
(流石に言えなかったけどこれくらいは良いだろ。カウンターも気に入ったのは本当だし)
しばし沈黙の後で、向井がお茶を飲み干して宣言した。
「俺、考えときます」
「え?」
「とりあえずゲームとか思いつくもの持って来るんで、その友達に今日はムリって言っといてください」
「わかった…え?今日も来んの?」
「予定ないっすよね」
「ないっす…」
織は向井に言われるがままLINEを打ち、二人そろって部屋を出た。
ただ問題は、暇を持て余して朝食を作り過ぎたことだった。織は人がいるとやたら張り切ってしまう、自分のベタついた性質が好きではなかった。
(向井いかにも朝食べない顔だもんな。聞いてみて、食べるようなら出すか)
台所から部屋に入った織は、ソファにちょこんと座っている向井を見つけた。
「あれ?おはよう、今日何時に出るんだっけ?」
「おざます、今日はえーっと、9時とか9時半とかに出ればっすかね」
「あ、本当?じゃあ9時15分にいつも出てるんだけど、一緒に出るんでいい?」
向井は店の開店時間から織の出社時間を推理した。そして見事正解し、鉄筋ポーカーフェイスで返事をした。
「はい。あの、もしかして何か作ってました?」
「あ…うん」
織は出すか迷っていた朝食を向井に一応見せてみることにした。
「…」
「何か早く起きちゃって。朝、食べないなら無理しなくていいけど、よかったら食べ」
「食べます」
反応が無かったので不安だったが、食い気味で返事をされたので嫌ではないと信じることにした。
「料理上手っすね」
「え!ありがとう、向井君が言うとほんとっぽくて嬉しいわ」
「本当っす、俺料理全然なんでこれは普通にすごいと思います」
(さては他ですごいと思ってないな?)
意外でもない向井の本音を垣間見つつ、織は終始ニコニコしていた。
「昨日は寝れたんすか?てか楽しそうっすね」
「え?あぁ、寝れたよ。いや何か、自分が作ったのを一緒に食べるっていいよなぁと思って」
織の部屋にはダイニング代わりのカウンターがあったが、一度もここで誰かと食事を楽しんだことは無かった。
「…何か大丈夫すか、割とぼっちなんすか」
「う…まぁ、そうだよ。地元出ちゃってからは全然だね。女友達なら結構こっちにいるけど、一応男の部屋に呼ぶのはどうかなぁと思って」
(半ばヤケでこの部屋を借りてからは誰も呼んでないな)
隣から向井の視線は感じていたが、無視して黙々と玉子焼きを食べた。
「地元出ちゃうとそうかも知んないっすね。プライベートでも気使ってたらまぁ、疲れますよね」
(え…)
急な理解ある向井に、織は驚いて黙ってしまった。その沈黙に、逆に向井が驚いて織を見た。
「…え。何すか」
「いや、ありがとう。昨日もだけど、急に迷惑かけたのに相談まで乗ってくれてさ。そんで案外ひどいこと言わないから何かびっくりしちゃって」
「言ったこと無いでしょ、ひどいことなんて」
「ハハ。自覚あるだろ」
朝食を終え、もう少し時間があったので、洗い物は夜に回してお茶を飲むことにした。玄米茶の香りがカウンターに広がった。
(話聞いてもらったからには、言わないとな)
「…友達とはもう、やめようと思うんだ」
「…」
「って、今は思ってるよ。気持ち悪い話して申し訳なかったから、気持ち悪いって自分で思うようなことはやめようと思って」
「織さん」
「はい?」
「無理してますよね」
(ばれてるよね)
力ない笑顔で返した。織自身、何度もやめようと思った上で今があった。
彼がいなかったら、自分はもう一生独りになる気がした。心臓がバクバクして、いつ来るか分からないLINEを何度も確認した。
あの熱が二度と手に入らないと思うだけで、既に心が折れそうだった。
「まぁスパッといけるような性格ならこんな沼にハマらないよね。何か趣味とか無いかな」
「楽器とかやらないんすか?」
「楽器?あぁ、ここ防音らしいけど、カウンターとかが気に入って借りただけから何もやってないよ」
「そうすか…」
(流石に言えなかったけどこれくらいは良いだろ。カウンターも気に入ったのは本当だし)
しばし沈黙の後で、向井がお茶を飲み干して宣言した。
「俺、考えときます」
「え?」
「とりあえずゲームとか思いつくもの持って来るんで、その友達に今日はムリって言っといてください」
「わかった…え?今日も来んの?」
「予定ないっすよね」
「ないっす…」
織は向井に言われるがままLINEを打ち、二人そろって部屋を出た。
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