【R18】耐えきれなくなってからが始まり

立花

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7日目:結局酔ってたらワンチャンある

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今日はピザだって酒だっていっちゃうもんね!

準備や胃腸のことを考えないで良いってなんて気楽なんだろ!

しかも仕事帰りにそれぞれ買い物して向井君と並んで歩く感じ、ツレ感があって青春っぽい!


なんて浮かれていた時期が私にもありました。

「…?」

気付いたら真っ暗な部屋で、一人ベッドにいた。

(あれ?さっきまで向井君とピザ食べてたよね?その後、そのあと…)

全く覚えてなかった。

とはいえ、今までも近くの居酒屋で飲んでたはずが、気付いたら一人、店舗のバックヤードで目が覚めたことが割とあった。でも今日はそこまで飲んでないのに…

いや、それよりも。

(む向井君は…?)

普通に考えたら、自分がつぶれてゲームどころじゃなくなったから帰ったんだろう。
あんなに楽しみにしてたのに。浮かれて向井君をほっといて一人で寝ちゃうなんて最悪すぎる。

(とにかく今何時?スマホ、電気…)

「!」

手が滑ったと思ったら、衝撃。ベッドから落ちた。下の階の人ごめんなさい…
そこで、パッと部屋が明るくなった。

(まぶしっ)

シキさん?」

人がいると思ってなかったのでドキッとした。

「あ…向井君、ごめん、帰っちゃったかと思ってびっくりしたら、落ちちゃった…」

向井君がいてくれたのは嬉しかった。
けど、酔いつぶれた様も見ただろうし、今も自分のせいで起こしただろうと思うと恥ずかしくて仕方なかった。

「帰んないっすよ。まだゲームもしてないし」
「いやごめん、浮かれて早々につぶれちゃったみたいで…」
「頭痛いとか気持ち悪いとか無いっすか?」
「あ、うん、寝れば覚めるっていうか、そういうのは大丈夫」

良いのか悪いのか、自分は酔うとすぐ寝るものの、ちょっと寝れば酔いもすっかり覚めて、二日酔いにもなったことが無かった。

「良かったっす」
「う…ありがとう」

(いつもみたいに冷たい目で見てくれたなら…)
優しく笑いかけられるとムズムズする。自分には無縁な浮ついた気持ちだ。

落ち着かない気持ちを誤魔化すように、別の話題を探した。
と、自分の着ている半袖シャツのソデが肘のあたりまで来ていて、まさに!だったので、つい浮かれた声が出た。

「え、これ向井君の?なんか、彼シャツって感じ!同じ男なのに、こんなに体格違うんだね」

ふと向井君を見ると、両手で顔を覆っていた。遅れて、なぜ自分が彼のシャツを着ているのかを悟った。

「あっ。もしかして、わたし、粗相しました?」
「…そうすね、水こぼしただけっすけど。ちょっとどこに着替えあるか分かんなかったんで俺の着てもらいました」
「本当にすみませんでした」

(自分はもう喋んない方がいいな)

「ちょっとこっち来てください」
「ハイッ」

素早く立ち上がるとソファ前のカーペットに座り、向井様を見上げた。

「何でそこなんすか。こっちに座ってください」
「ハ、ハイッ」

(向井君、正論で詰めてくるから怖いんだよな。100%自分が悪いけど)

ソファに座って身構えていると、ふいに肩を引き寄せられた。

「???」

怒られるどころか、向井君に寄りかかって、肩を抱かれる形になった。
?すぎて向井君の顔を見上げようとしても、近すぎて見えなかった。

「ゲームしますよー」
「えっ、いいの?」

向井君はちゃっちゃとゲームを開始していて、画面では自分の島に向井君のキャラっぽい人が遊びに来ていた。

「あっ、この人、向井君?」
「そうっす、お邪魔してます」

(可愛い!)

何てことだ、チャカチャカ走り回ってるだけで楽しい!これは流行るわけだ!

「やば!楽しい!」

-----

「今日はこの辺までっすかね」

気付けば深夜から朝になろうとしていた。織は以前ほど徹夜ができなくなっていることに加齢を感じつつ、寝る準備を始めた。

(あっという間だったなぁ)

向井にシャワーを譲り、続けてさっぱりした織が浴室から戻ると、カウンターにもソファにも向井の姿が無かった。

(あれ?どこ行った?)

「あっ?え?向井さん?」

織のベッドでスマホを触る向井が発見された。

「電気消します?このリモコンっすよね」
「いや、え?こっちで寝るの?」
「はい」

(あれ?そんな話したっけ?まぁ、一日くらいいいか…)

「あー、じゃあ毛布だけ取らして」
「何でですか」
「いや、あっちに持ってくから…」

向井は毛布を取られまいとガードした。

「織さんもこっちっすよ」
「えっ?いやいいよ、狭いし」

彼のベッドは生意気にもクイーンサイズだが、織は狭いことにしたかった。

「狭くないっす。俺が気遣うんでいてください」
「はぁ…え?なんでそうなったんだっけ?」
「覚えてないんすか?」
「えっ…」

覚えてないしそうなった経緯も無いが、織は酔いつぶれた間に何か言ったんだろうと勝手に判断し、大人しくベッドに入り込んだ。
向井は嘘にならない範囲でもうワンチャンいってみることにした。

「織さん。明日一緒に出掛けるってのも覚えてないですか?」
「いや、えー、…ごめん、どこ行くんだっけ」
「神田の方に紅茶専門店ってのがあって行ってみたかったんすけど、一人じゃ行きにくくて。やっぱ家でゆっくりしたいっすか?」

最後の方でちょっと向井の気弱が出たが、織には紅茶というワードがしっかりフックした。

「え、行きたい!詳しくないけどいいの?」
「俺も詳しくないけど大丈夫っぽいです」

向井は予約の電話をした時に会話した、店主の感じを思い出しながら適当に答えた。

「へぇー。緊張するな。でも楽しみだな。えぇ緊張する…」
「酔っぱらって服ビショビショにしなければ大丈夫っすよ」
「それ詳細を聞くのが怖い…ほんとごめんね」
「大して害なかったんで良いっすよ。とにかく適当な時間に起きて紅茶飲みに行くだけなんで気楽に付き合ってください」

(向井君て、こういう所が大人だなぁ)
「うん。おやすみ」

ほどなくして眠りについた織の寝顔を見て、向井は電気を消した。

(もう寝た。寝付きの良さ子どもだな)

向井はアラームを設定しながら、自分はお酒に飲まれないようにしようと心に刻んだ。
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