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宴もたけなわですがまた明日
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(なんか疲れた)
羽場の話を聞いたり、泣いたり、泣かれたり、なんだかんだで笑いまくって今。こんだけ感情を大振りしたら当然か。
「はぁ。脱線しちゃったけど、話せてよかったよ」
「俺も。適当なことしてごめん」
「お互い様じゃない?それに、もう終わった話だろ」
「…そうだよね」
各々の席に戻ってスマホを見ると、もう結構な時間だった。
「羽場、電車大丈夫?」
「あぁ、そろそろ出ようか。長居しちゃったな」
(いくらになるんだろうここ)
羽場のスマートなカード決済が終わり、濃い時間を過ごした個室を後にした。
ライトアップされて良いムードの庭園を歩きながら、店の出口へ向かった。なんて世界だ。
「聞いちゃだめなんだろうけど、高かったよね?」
「はっは。気にしないでよほんと」
「ごちそうさまです!次はおごるから、また飲もうよ」
「そうね。でも俺、久々におるの料理が食べたい」
(そういえばしばらく羽場を部屋に入れてなかったな)
外に行くより楽なので、自分としては全然かまわなかった。向井君からも来客時は帰るんで気にせず言ってくれって言われてたし。
「あぁ、いいよ全然。20時過ぎなら大体空いてるから連絡してよ」
「ほんと?恋人と住んでるっていうから、難しいかなって思ってたけど」
「あ」
「ん?」
そういう設定にしたってことをすっかり忘れていた。
「あのさ羽場、それゴメン、嘘で」
「えっ?」
「恋人と同棲してるって話」
「同棲してないの?」
「いや、恋人のところから嘘。ああいう関係、いい加減やめなきゃと思って…ごめん」
「あ、そうなんだ…」
もうすぐ解散というところで、ギリギリ訂正が間に合った。
「うん。だから、いつ来てもらっても大丈夫」
「今日はダメなの?」
「えっ?」
(うーん)
正直、今日はこのまま別れたかった。
せっかく友達に戻れたし、今までのこじらせも解けたところだ。
(羽場には悪いけど、このまま駅で別れることにしよう)
「今日の今日はごめん。準備してないし」
「準備?」
「片付けとか、そういう準備!」
「…ダメ?」
「もう遅いし。明日も仕事でしょ、お互い」
「うん…分かった。じゃあ明日は?」
羽場の粘り勝ちで明日の予定が確定した。羽場をこんなに甘やかしたのは誰だ。自分だった。
「無理言ってごめんね?じゃあ明日、楽しみにしてる」
「あぁ。食べたいものあったら教えて。検討するわ」
「はーい。じゃあね、おやすみ」
もうすぐ駅というところで羽場が抱きついてきて、ポンポンと背中を叩かれた。
「なにっ?急に」
「おやすみのハグでしょう。じゃあね」
(人前でハグとかできるやつ、怖ぁ…)
さっさと地下鉄の改札へ向かっていく羽場を見送って、自分も駅へ向かった。
羽場の話を聞いたり、泣いたり、泣かれたり、なんだかんだで笑いまくって今。こんだけ感情を大振りしたら当然か。
「はぁ。脱線しちゃったけど、話せてよかったよ」
「俺も。適当なことしてごめん」
「お互い様じゃない?それに、もう終わった話だろ」
「…そうだよね」
各々の席に戻ってスマホを見ると、もう結構な時間だった。
「羽場、電車大丈夫?」
「あぁ、そろそろ出ようか。長居しちゃったな」
(いくらになるんだろうここ)
羽場のスマートなカード決済が終わり、濃い時間を過ごした個室を後にした。
ライトアップされて良いムードの庭園を歩きながら、店の出口へ向かった。なんて世界だ。
「聞いちゃだめなんだろうけど、高かったよね?」
「はっは。気にしないでよほんと」
「ごちそうさまです!次はおごるから、また飲もうよ」
「そうね。でも俺、久々におるの料理が食べたい」
(そういえばしばらく羽場を部屋に入れてなかったな)
外に行くより楽なので、自分としては全然かまわなかった。向井君からも来客時は帰るんで気にせず言ってくれって言われてたし。
「あぁ、いいよ全然。20時過ぎなら大体空いてるから連絡してよ」
「ほんと?恋人と住んでるっていうから、難しいかなって思ってたけど」
「あ」
「ん?」
そういう設定にしたってことをすっかり忘れていた。
「あのさ羽場、それゴメン、嘘で」
「えっ?」
「恋人と同棲してるって話」
「同棲してないの?」
「いや、恋人のところから嘘。ああいう関係、いい加減やめなきゃと思って…ごめん」
「あ、そうなんだ…」
もうすぐ解散というところで、ギリギリ訂正が間に合った。
「うん。だから、いつ来てもらっても大丈夫」
「今日はダメなの?」
「えっ?」
(うーん)
正直、今日はこのまま別れたかった。
せっかく友達に戻れたし、今までのこじらせも解けたところだ。
(羽場には悪いけど、このまま駅で別れることにしよう)
「今日の今日はごめん。準備してないし」
「準備?」
「片付けとか、そういう準備!」
「…ダメ?」
「もう遅いし。明日も仕事でしょ、お互い」
「うん…分かった。じゃあ明日は?」
羽場の粘り勝ちで明日の予定が確定した。羽場をこんなに甘やかしたのは誰だ。自分だった。
「無理言ってごめんね?じゃあ明日、楽しみにしてる」
「あぁ。食べたいものあったら教えて。検討するわ」
「はーい。じゃあね、おやすみ」
もうすぐ駅というところで羽場が抱きついてきて、ポンポンと背中を叩かれた。
「なにっ?急に」
「おやすみのハグでしょう。じゃあね」
(人前でハグとかできるやつ、怖ぁ…)
さっさと地下鉄の改札へ向かっていく羽場を見送って、自分も駅へ向かった。
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