27 / 37
お帰り、好きな人
しおりを挟む
※向井
今日はもう何も手につかなかった。
「はぁ…」
(これで合ってるよな?)
初恋の人とセフレ関係で?辛くて距離おいた矢先に相手が離婚して?会いたいって連絡してくるって、何の第何話だよそれ。
でも「行くな」なんて言える訳がない。俺が目の前にいたって、羽場って奴のLINEひとつに余裕で負けるんだから。
「はぁ…」
(何が「会うのが怖い」だよ)
「俺の方が怖ぇよ」
「どうした?ゴキ出た?」
「あ、いや、大丈夫」
大月の声で我に返った。
(何してたんだっけ…あぁ、モップか)
持っていたモップのおかげで、自分が閉め作業中だったことを思い出した。
「大月、こっち終わったけど上がれそう?」
「はーい、お疲れ。こっちも書けたから上がろっか」
と、言いながら大月は休憩室の椅子に腰掛けて缶コーヒーを飲み始めた。
「あれ、今日は電車いいの?」
「うん。車で迎え来るって」
(大月ダーリンか)
「いいなぁ…俺も迎えに行きたい」
「行く側がいいんだ。相手いるの?」
「一方通行でよければいる」
「あぁ…頑張ってんだ」
迎えが来るまでの間、珍しく大月と話した。
(大月はやっぱ格好いいな。年下だけどまじ姉さん)
一人になったバックヤードで、俺は自宅に帰るか織さんの部屋に行くか迷った。
(今日がうまく行って、織さんと羽場って奴が一緒に帰ってきたとこに俺がいたら…ダメだよな)
織さんなら連れ込むにしても一応俺に連絡くれるだろうけど、酔っていたとしたらもう何も信用できない。
(ダメだけど、ダメだけど…)
俺は合鍵を持っているという一点を頼りに、織さんの部屋に向かった。
そっと部屋に入ると、朝に出た時のままだった。
明日も仕事だから泊まりは無いだろうと思いつつ、落ち着かない。
(未だにLINEの一番上に置いてんだから)
LINEで会う約束を打ち込むとき、織さんが羽場って奴とのトークを一番上に固定しているのを見た。
(まだ好きなんじゃん)
カウンターに突っ伏して、何もする気になれなかった。
(俺といたって、笑ってたって、あいつじゃなきゃダメなんじゃん)
珍しく泣きたい気分だった。
その時、ガチャンと音がして玄関の扉が開いた。
今日はもう何も手につかなかった。
「はぁ…」
(これで合ってるよな?)
初恋の人とセフレ関係で?辛くて距離おいた矢先に相手が離婚して?会いたいって連絡してくるって、何の第何話だよそれ。
でも「行くな」なんて言える訳がない。俺が目の前にいたって、羽場って奴のLINEひとつに余裕で負けるんだから。
「はぁ…」
(何が「会うのが怖い」だよ)
「俺の方が怖ぇよ」
「どうした?ゴキ出た?」
「あ、いや、大丈夫」
大月の声で我に返った。
(何してたんだっけ…あぁ、モップか)
持っていたモップのおかげで、自分が閉め作業中だったことを思い出した。
「大月、こっち終わったけど上がれそう?」
「はーい、お疲れ。こっちも書けたから上がろっか」
と、言いながら大月は休憩室の椅子に腰掛けて缶コーヒーを飲み始めた。
「あれ、今日は電車いいの?」
「うん。車で迎え来るって」
(大月ダーリンか)
「いいなぁ…俺も迎えに行きたい」
「行く側がいいんだ。相手いるの?」
「一方通行でよければいる」
「あぁ…頑張ってんだ」
迎えが来るまでの間、珍しく大月と話した。
(大月はやっぱ格好いいな。年下だけどまじ姉さん)
一人になったバックヤードで、俺は自宅に帰るか織さんの部屋に行くか迷った。
(今日がうまく行って、織さんと羽場って奴が一緒に帰ってきたとこに俺がいたら…ダメだよな)
織さんなら連れ込むにしても一応俺に連絡くれるだろうけど、酔っていたとしたらもう何も信用できない。
(ダメだけど、ダメだけど…)
俺は合鍵を持っているという一点を頼りに、織さんの部屋に向かった。
そっと部屋に入ると、朝に出た時のままだった。
明日も仕事だから泊まりは無いだろうと思いつつ、落ち着かない。
(未だにLINEの一番上に置いてんだから)
LINEで会う約束を打ち込むとき、織さんが羽場って奴とのトークを一番上に固定しているのを見た。
(まだ好きなんじゃん)
カウンターに突っ伏して、何もする気になれなかった。
(俺といたって、笑ってたって、あいつじゃなきゃダメなんじゃん)
珍しく泣きたい気分だった。
その時、ガチャンと音がして玄関の扉が開いた。
10
あなたにおすすめの小説
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される
マンスーン
BL
王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。
泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
経理部の美人チーフは、イケメン新人営業に口説かれています――「凛さん、俺だけに甘くないですか?」年下の猛攻にツンデレ先輩が陥落寸前!
中岡 始
BL
社内一の“整いすぎた男”、阿波座凛(あわざりん)は経理部のチーフ。
無表情・無駄のない所作・隙のない資料――
完璧主義で知られる凛に、誰もが一歩距離を置いている。
けれど、新卒営業の谷町光だけは違った。
イケメン・人懐こい・書類はギリギリ不備、でも笑顔は無敵。
毎日のように経費精算の修正を理由に現れる彼は、
凛にだけ距離感がおかしい――そしてやたら甘い。
「また会えて嬉しいです。…書類ミスった甲斐ありました」
戸惑う凛をよそに、光の“攻略”は着実に進行中。
けれど凛は、自分だけに見せる光の視線に、
どこか“計算”を感じ始めていて……?
狙って懐くイケメン新人営業×こじらせツンデレ美人経理チーフ
業務上のやりとりから始まる、じわじわ甘くてときどき切ない“再計算不能”なオフィスラブ!
【完結】極貧イケメン学生は体を売らない。
紫紺
BL
貧乏学生をスパダリが救済!?代償は『恋人のフリ』だった。
相模原涼(さがみはらりょう)は法学部の大学2年生。
超がつく貧乏学生なのに、突然居酒屋のバイトをクビになってしまった。
失意に沈む涼の前に現れたのは、ブランドスーツに身を包んだイケメン、大手法律事務所の副所長 城南晄矢(じょうなんみつや)。
彼は涼にバイトしないかと誘うのだが……。
※表紙をAI君に描いてもらいました。(2026.2.21)
※本作品中の公判、判例、事件等は全て架空のものです。完全なフィクションであり、参考にした事件等もございません。拙い表現や現実との乖離はどうぞご容赦ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる