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おまけです
登校の馬車のひしめくロデア大公立学園に、大公家の紋章が輝くルゥイの馬車で乗り入れて、ルゥイとレォとネィトと一緒に馬車を降りたキーアは、皆の視線が刺さりまくるのに小さくなった。
そりゃ『あの庶民、誰だよ』ってなるよね。
わかる。
いちおうキーアは伴侶(予定)のネィトのトリアーデ家とつりあいのとれる上位貴族だけど、没落中なキピア家なんて、誰も知らないよ!
顔も名前も声もないモブが、ルゥイやレォと親しくしてもらっていて、なんかほんとにごめんなさい。
全方位に謝りそうになったキーアの顔を、レォが覗きこむ。
「今日は午前が騎士科の特別講義、午後が魔法科の特別講義か?」
首をかしげるレォの青磁の長い髪がさらさら揺れて、ルゥイのはちみつの眉がさみしそうに下がる。
「もうキーアと離れなくちゃいけないなんて」
しなやかな腕がのびてきて、キーアはルゥイの胸に顔をうずめることになりました。
頭の芯がしびれるような、めちゃくちゃいい香りに包まれる。
ぎゅむぎゅむ抱っこしてくれるのは、とてもうれしいのですが!
「ちょっとルゥイ、皆、見てるんだけど!」
ルゥイの服の裾を、きゅうっと引っ張るネィトの頬が、ぷっくりしてる。
「見せてるんだけど?」
唇の端を吊りあげるルゥイが、はちみつっぽくないけど、かっこいー!
きゃー!
思わず拝みました。
「きーちゃん!」
ぷっくりしたままのネィトが抱きついてくるのは
「はいはい」
抱っこです。伴侶(予定)なので。
ルゥイとレォも、ぷっくりしてる。かわいい。
「朝から大公立学園の校門でいちゃいちゃとは、いい度胸だね」
涼やかな声が降ってきて、キーアはぴょこんと跳びあがる。
いやいやいや、朝から校門に学園長がいらっしゃるほうが、びっくりですよ!
「おはようございます、ハゥザ学園長」
あわあわ腰を折ったキーアの敬礼にかるく手を挙げたハゥザは、レォとネィトの敬礼も解かせて微笑んだ。
「一緒に登校してくるなんて、呼びに行く手間が省けたよ」
きょとんとする皆に、学園長は唇を開く。
「隣国ネメド王国ヴァデルザ領で魔物が氾濫した。いつもヴァデルザ領主が狩ってくれているが、今回はすこし数が多いらしい。討ち漏らしがロデア大公国にも来るかもしれないと連絡があった」
ビクリとふるえたキーアの後ろで、ルゥイとレォ、ネィトの顔も引き締まる。
「ロデア大公国騎士団と魔導士団が、ネメド王国との国境に向かう。大公立学園の生徒も、騎士団、魔導士団と同等以上の能力を持つ者は、出撃してほしいと請願があった」
ハゥザは告げる。
「ロデア大公立学園入学試験、魔法科首席、ルゥイ・トゥナ・ロデア、次席、キーア・キピア、3位、ネィト・トリアーデ、騎士科首席、レォ・レザイ、きみたちに出撃を依頼する」
ぽかんとキーアは口を開ける。
そ、それ、BLゲームの最終版に起きる、最難関イベントです──!
「……え、え、もうですか……!」
あわあわするキーアに、ハゥザは頷く。
「いつもなら秋から冬にかけて氾濫がおきやすくなっているが、今年は春にも魔物が増えたと。
まあ、すんごく強い、本気でロデア大公国民が全滅しそうな魔物はヴァデルザ領主が狩ってくれているそうだから、ロデア大公国側にビビって逃げてきた、人間を攻撃してくる魔物を、何とかするだけだから。騎士団も魔導士団も来るし」
やわらかにハゥザは微笑む。
「僕らは、おまけ。
後ろのほうで、民の避難をお手伝いしたり、怪我した騎士や魔導士の治療をしたりね。
騎士団や魔導士団がどんな風に戦闘して魔物を狩ってるのか見学 兼 実戦だよ。
気楽に、行ってみよー!」
拳を掲げるハゥザと一緒に、キーアも拳を掲げてみたよ。
おまけだそうです。
よかった!
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