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呼べるのです
もだもだするキーアの背中に、ネィトがぎゅうっと抱きついた。
「ご、ごめん!」
振りかえって頭をさげるキーアを、ぎゅうぎゅう抱っこしたネィトが、首を振る。
「キーアは、皆のキーアだから」
ぎゅむぎゅむ、ルゥイが抱っこしてくれました。
「まだ誰のものでもないから」
ルゥイの腕からキーアを奪ったレォが、ぎゅうぎゅう抱っこしてくれる。
あったかくて、いー匂いがして、至福だけど──!
とろけてしまう、うるうるの目で、ささやいた。
「だ、だめ」
きゅうっと、ふたりの胸を押してみました。
「──っ!」
耳まで真っ赤になったルゥイとレォが、鼻を押さえてる。
「ど、どしたの、だいじょうぶ?」
あわあわルゥイとレォのちいさなかんばせをのぞきこむキーアの肩で
『冷やしてあげようかー?』
頬杖をついた水さまが、によによしてる。
「……いーなー……じゃ、なくて! 討伐だよ!」
ぴんくの髪をふわふわ揺らしたマェラが、ぴょこぴょこ跳びあがる。
「そうそう、いちゃいちゃしてねえで、張りきって行こうぜ!」
ガダ先輩の筋肉が、もりもりしてる。
将軍ゼァルが手を挙げる。
それだけで皆一斉に鎮まって、将を見あげた。
「では騎士団より3名、魔導士団より3名、6名ずつ班になり、闇の森の探索を開始する。
手に負えない魔物が現れた時は、即座に救難信号を撃ちあげ逃走することを許可する。魔物を狩ることより、命を守ることを優先してくれ」
ゼァルの言葉に続いて班分けと、闇の森の探索区域が発表される。
ロデア大公立学園の生徒は、皆で一緒の班だよ。
騎士枠に、レォ、ガダ、キーア、魔導士枠に、ルゥイ、ネィト、マェラだ。
「保護者として僕もゆく。短距離なら転移魔法が使えるから、フィリのところに戻って来れるよう、ここに門を設置しよう」
ハゥザ学園長が、光の指をひるがえす。
お疲れで、おやすみ中のフィリを守るように、光の魔法陣が重なりながら現れた。
「うわ。僕を座標にしたの?」
「ついでに守護もつけておいたから。ゆっくり休んで。お疲れさま。これ、魔力回復薬ね」
ハゥザがポケットから取りだした青い小瓶に、フィリが目を瞠る。
「これ、すっごいたっかいのに!」
「頑張ってくれたから。兄さまから」
微笑むハゥザ学園長の顔力にも揺るがないフィリ先生がすごいです。
「大公殿下から?」
「将軍も。僕の感謝も入ってるよ」
片目をつぶるハゥザに、照れくさそうにフィリが笑う。
「ありがとう、ハゥザ。将軍も、ありがとうございます」
「ああ」
かるく手を挙げるゼァル将軍が、かっこいーです!
「これを各班にひとつずつ渡しておく。フィリ特製の術式を組みこんだ魔道具だ。俺を召喚できる。
逃げる隙もないほど強力な魔物と遭遇した場合は、ためらわず呼んでくれ。同時に呼ばれた場合は、より危険度の高いほうにゆく。来なかった場合もできるだけすぐ駆けつけるから、あきらめずに逃げてくれ」
「は、はい!」
魔道具を受けとった皆が、うっとりする目で将軍を見あげてる。
『将軍を呼べる魔道具』がうれしいみたいです。
めちゃくちゃ、気もちわかる!
夜にひとりの部屋で使いたい、あれですね!
つ、使わないよ!
伴侶(予定)が、いますので!
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