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トマといっしょに里帰りだよ!
またね!
「トマ、おかえり!」
「よく帰ってきたねえ!」
「トマ!」
「とま!」
ちっちゃな子から、しわしわおじいちゃんまで、皆がトマと話したがるので、キーアはよい子で、鳥麺屋さんのお手伝いです。
ヨニも接客を手伝ってくれるんだよ。さすがヨニ!
対応がかんぺきすぎて、透夜とちっちゃな仲間たちが、びっくりしてる。かわいい。
「とんこつラーメンつくってよ。すんごい濃いの!」
ねぎを刻みながらリクエストするキーアに、鶏ガラを煮込んでいた透夜が凛々しい眉をしかめる。
「豚をどうする」
「狩る?」
「どこにいるか、知ってるのか!」
ギラつく透夜の目に、キーアは首をふる。
「魔獣とかにも会ったけど、豚っぽいのはいなかった」
「会ったのか!」
「いい子たちだったよ。魔界から落ちてきて、困ってた」
笑うキーアに、ぽかんとした透夜も笑う。
「ぽやぽやしてそうなのに、キーアも冒険してるんだなあ。まあ強いし、当然か」
「え、俺、強い!?」
飛びあがるキーアに、透夜がうなずく。
「強いよ。まあまあ」
「まあまあかあ」
ちょっと唇が、とがってしまう。
まあ、透夜、最強だからね。まあまあ評価は、かなりいいかも!
「もっと強くなりたい?」
透夜に聞かれたキーアは、首をひねる。
「強くなるより、貧乏な家を何とかしたい!」
キピア家、没落中でした!
トマとヨニと自分を、ちゃんと養えるようになりたいよ!
あと、これからできるかもしれない伴侶もね!
「なるほど。がんばれ」
励ましてくれる透夜に、キーアは首をかしげた。
「『軟弱な』『そんなでトマを守れるか!』って、しからないの?」
「トマは、あるじを守りたいタイプだろ。守られてやって、あるじさま」
ふうわり笑う透夜が、かっこよくて困る。
なんだ、この、かっこいー人。
わかった、たらしだ!
ちょっと、うろんな目になるキーアに、不思議そうに透夜が瞬いてる。
「没落した家を何とかしたい! アイデアください!」
せっかくなので聞いてみたキーアに、透夜は首をふる。
「そーゆーのはノィユだな。ネメド王国にいる転生者。今、5歳か。逢いにいく? 紹介してもいーぞ」
「おぉお、転生者! 逢いたい! けど……」
キーアは目を閉じる。
誰かに頼って、転生者に頼って、領地を復興させるのは、たぶん、きっと、ちがう。
「ごめん。俺、やっぱり、自分で何とかする」
「えらいえらい」
透夜が頭をなでてくれたら、頬が熱くなって、笑ってしまう。
「えへへ」
「あー! とーやが、またうわきしてる──!」
ぽてぽて駆けてくるロロァが、とってもかわいい。
「ちょっと、よろめいちゃったけど、だいじょうぶ。
たらしな透夜としあわせにね!」
ロロァを抱っこしようとしたら、透夜に奪われました。
「たらしじゃないから! 言われなくても、しあわせだから!」
抱っこされたロロァも、真っ赤な透夜も、とってもしあわせそうでした。
鳥麺、しょうゆラーメン、おいしかった──!
たくさんの人に愛されるトマに、やきもちをやいた里帰りでした。
「お世話になりました!」
「ありがとうございました」
ヨニといっしょに、丁寧に頭をさげたキーアは、胸をたたく。
「来年は、きのこ汁を箱で買ってくるよ!」
せっかくの善意に、透夜は思いきり眉をしかめた。
「来年とか遅すぎだろう。来週は?」
「帰るだけで1週間以上かかるから!」
無茶、言うな!
「あー、じゃあ帰るのについてって、醤油を山ほど仕入れて来よう。
これからもよろしくな、キーア」
透夜が背中をぽんぽんしてくれる。
「よろしくね、透夜。でもトマは渡さないから!」
ちっちゃい拳をにぎったら、透夜が笑った。
「いいあるじをつかまえたな、トマ」
「うん!」
トマが、とびきりしあわせそうに笑ってくれるから。
「よかったですね、キーアおぼっちゃま」
ヨニも、とびきりうれしそうに笑ってくれるから。
「ありがとう、トマ、ヨニ」
キーアの胸も、ぽかぽかになって。
やきもちでいっぱいになってしまうだろう次の里帰りも、楽しみになってしまうのです。
────────────────
トマといっしょに里帰り編、完結です!
遅くなってしまったのですが、きーちゃんとトマヨニの愛の動画(笑)をつくりましたー!(笑)
もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。
インスタ @siro0088
Youtube @BL小説動画
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!
つぎは、トマヨニといっしょに領地復興?(笑)
また何か思いついたらお書きしますね! 皆が出てくるお話になったらいいなあ。
ずっと読んでくださって、ありがとうございます!
いいねやエールやご感想で応援してくださった方も、ほんとうにありがとうございました!
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