【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  ゆるゆ

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トマといっしょに里帰りだよ!

はじめて




「しゅっぱーつ!」

 キーアはちっちゃな拳をかかげる。


「行きましょう、キーアおぼっちゃま!」

 にこにこ笑顔で、バギォ王国まで走って行こうとするトマを、あわあわ止めたのは、キーアだ。


「ヨニもいるから! 俺も死んじゃうから!」

「……そうですか……」

 トマが、とっても残念そうだよ。
 めちゃくちゃ走る気だったみたいだ。

 さすが、すーぱートマ!

 ヨニといっしょに拍手した。
 照れ照れしてるトマが、かわいい。


 前世を含めて、はじめての外国旅行で、どきどきなキーアだけれど、ヨニとトマというベテランさんが2人もいるので、大船に乗った心地です。

「いやあ、はじめての外国は緊張しますなあ」

「俺もあんまり記憶なくて」

 …………………………。

 はじめて3人組だったよ!


 え、だ、だいじょうぶなの……!? 心配になったけど、トマとヨニでした。

 だいじょうぶ感しかない。


 乗合馬車を乗り継ぎながらバギォ王国に行くことになったよ。

「あぎゃぎゃぎゃぎゃ……!」

 いつもトマが揺れないように操ってくれる馬車に乗っていると、乗合馬車、めちゃくちゃ揺れる……!
 舌を噛むあれだよ。お尻痛いし、大変!


「キーアおぼっちゃま、こちらをどうぞ」

 ふかふかのクッションを出してくれるヨニが、さすがだ。


「おひざ抱っこしましょうか」

 にこにこして腕を伸ばしてくれるトマが、本気らしい。


 キーアもちょっと、座っちゃいそうになったよ!

 めちゃくちゃ、いちゃいちゃだから!

 一緒に乗り合わせた皆さん、びっくりだから!


「き、きもちだけ、ありがとう」

 トマの手をにぎったら、トマがしょんぼりしてる。かわいい。




 しかし、馬車が乗っても乗っても終わらないよう……!

 新幹線とか飛行機とかないんだよ。
 平均時速にすると馬車は10キロくらいらしい。
 自転車は平均15キロくらい出るらしい。

 自転車よりゆっくりなの……!?

 きゃーあぁ──!


 しかし、自転車をいちから作る技術なんて、ニューキーアには、ない……!
 

 ガタンガタン揺れる馬車に

「お尻痛いよう」

「酔う……!」

「うげぇええ」

 せつないさらさらを流したりしながら、キーアとトマとヨニは、バギォ王国へとやってきました!

「や、やっと、やっと、やっと着いたよ……!」

 馬車からまろびでた皆で、抱きあって喜びました。


「おお! ここが! トマの故郷!」

 王都のあちこちに瓦礫が積みあがっていて、大災害から復興中みたいになっている場所と、発展してるっぽく高い建物が立ち並ぶ区画とがあるみたいだ。

「災害があったの?」

 心配で聞いたキーアに、トマは眉をさげた。

「2年ほど前、トゥヤ師匠が、俺たち敵国の暗殺集団から王太子を守るために、大技を」

 ………………な、なるほど……?

 まあ、トマの師匠というだけあって、すんごい気がする。


「たしか、こっちです、キーアおぼっちゃま」

 1年前とは街並みも違っているのだろう、記憶をたどるように、トマが王都を進んでゆく。

 ロデア大公国は大公も国民ものんびりしていて、魔獣の襲撃とかもほとんどなくて、のどかで平和な国な感じだけれど、バギォ王国は皆に活気があって、せかせかしてる? 復興も大変だから、忙しいのかも。
 行きかう人々が、とっても裕福そうな人と困っているのだろう人たちの差がすごい。

 中心部から離れ、郊外に近くなったころ、巨大な倉庫みたいな邸が見えてくる。


「あれです、キーアおぼっちゃま!」

 指したトマの頬が、なつかしさと、トゥヤにこれから逢えるというよろこびでだろう、ぴかぴかだ。

 ちょっぴり、やきもちできしむ胸で、顔をあげたキーアの鼻が、ぴくぴく動いた。


「めちゃくちゃいー匂いする!」

 跳びあがるキーアに、トマが笑う。


「トゥヤ師匠と皆の、鳥麺屋です」


 らーめん? ぱすた? お腹がいっぱいでも、お腹が減っちゃう香りだよ!

 きゃ──!







────────────────

 ずっと読んでくださって、ほんとうにありがとうございます!

 今日の動画は、トマどーなつです!(笑)動画というほどのあれではないのですが(笑)作ってたら更新遅くなりました、ごめんなさいー!
 楽しんでくださったら、とてもうれしいです。 @siro0088
  https://www.instagram.com/siro0088/

 今度はいよいよ師匠登場で、きーちゃんのやきもち爆発?(笑)



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