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ネィト(攻)
愛
しおりを挟む伴侶なネィトが、かっこいい。
一緒に暮らすキピア家のちっちゃな玄関ホールに朝の光をあびてたたずむ、ただそれだけなのに、キーアの唇からうっとりした吐息がこぼれた。
さらさら流れる闇の髪も、涼やかに切れあがる紫の瞳も、かすかに開かれる唇も、長い指の先からも、あでやかな艶が香る。
「キーア」
とろけるようなあまい声で名を呼んでくれたら、崩れ落ちそうだ。
「おいで」
手を差しだしてくれたら、とてとて駆け寄って、きゅ、と握ることしかできない。
「かわいい、キーア」
抱きしめて、髪をなでて、ちゅっちゅしてくれるネィトは、ちっちゃなネィト+身長+かっこよさ+色っぽさ全開だ。
「ネィト、かっこいー」
今日も、うっとりして見あげてしまう。
「きーちゃんにそんな顔をさせることができるなんて、おっきくなって、ほんとによかった」
とろけるようにネィトが笑ってくれる。
大陸に蔓延していた紫の目に対する恐怖と差別撲滅のため、ネィトはロデア大公国の特使として他国の使節を歓待したり、親善を深めるときに大公殿下一行と一緒に赴いたりと大活躍だ。
ネィトが外国にゆくときは、キーアもくっついてゆく。ことになった経緯は簡単だ。
「きーちゃんと離れたら、死んじゃうから」
ネィトの言葉に仰け反った大公だが、すぐにめちゃくちゃ真剣だと理解してくれたらしい。
「ネィトが死んだら大変だから」
ついてきていいよと言ってくれる大公にキーアも進言した。
「俺も死んじゃう」
「キーアが死んだら大変だから!」
伴侶でなかよく大公にくっついてゆけることになりました。
あんぽんたん気味なキーアと違って、主人公と闘える悪役令息なだけあってネィトは大変頭がよいので、キピア家の領地経営もキーアと一緒にがんばってくれている。
大変なスパダリだ。
文句のつけようがない、というより感嘆しかないネィトが自分の伴侶だなんて、夢みたいなのに、夢だなんて絶対いやだ。
「ネィト」
ぎゅうぎゅう抱きしめたら、ぎゅうぎゅう抱きしめてくれる。
「今日はココ王国の大使と昼食をご一緒するだけだから、早く帰れるよ。いい子で待っててね」
頭をなでてくれたら、もうちゃんと成人したのに、ちいさな子どもみたいにうれしくなって、こくりとうなずいた。
「はやく、帰ってきて」
腕をのばしたら、かがんでくれる。
抱きよせて、ネィトのおでこに口づける。
「いってらっしゃい、ネィト」
ふわふわ紅くなったネィトの唇の両端があがる。
「ちゅうしてくれたら、はやく帰ってきて、キーアをいっぱい可愛がってあげる」
抱き寄せられた指に背をたどられたら、それだけであまい吐息がこぼれそうで、耳まで燃えたキーアは、かかとをあげて背のびする。
ちゅう
ネィトの唇に、くちづけた。
「やくそく」
耳まで真紅に染まったネィトが、ちいさな顔を大きくなったてのひらで覆った。
「あぁあ……! もう! 朝からなんて可愛いの、僕の伴侶は──!」
もだもだしたネィトが、ぎゅむぎゅむ抱っこしてくれる。
「はやく帰ってきて、きーちゃんを、めちゃくちゃ、めちゃくちゃ可愛がるから!」
「待ってる。いってらっしゃい、ネィト」
ちゅ
それは、とても、かわいらしい『いってらっしゃい』のちゅうだったのに。
「キーア」
抱きよせられて、抱きしめられて、熱く濡れた舌に、唇を割られた。
「……ん……っ……ネィ、ト……」
あまえるようにすがる指が、ふるえてる。
「きーちゃん、だいすき。あいしてる」
ささやいて、くちづけて
「ネィト、だいすき。あいしてる」
重なるくちびるが、熔けてゆく。
『あのー、そろそろ遅刻しちゃうんですが……』
ものすごーく言いにくそうにトマがうながしてくれるまで、あとちょっと。
「やめないで、ネィト」
離れそうなくちびるを、抱きよせた。
「あぁあぁあ──! 僕の伴侶が、可愛すぎて、つらい──!」
真っ赤なネィトが、泣いてる。
めちゃくちゃかっこよくなっても、ネィトはやっぱり、とびきりかわいい。
「ちゅうは?」
「してあげるに決まってる!」
ちゅう
くっつく唇に、今日も愛がとけてゆくのです。
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