【完結】残念な悪役の元王子に転生したので、何とかざまぁを回避したい!

  *  ゆるゆ

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久方ぶりに登校するよ!

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 俺の親父、めちゃくちゃかっこいーからな。
 さすが、元魔王。

 血をひいてる俺にも、若干の恩恵があるらしい。

 …………たぶん、顔だけ、ほんとに若干っぽいけど。
 そうだといいな!


 俺の母ちゃんは、男性体の淫魔だ。
 皆、子ども産める、BLゲームの世界だから!

 顔は平凡……いや、『淫魔か、本当に!?』って疑われるくらい、残念気味だが、尻が天下一だった。

 親父、めろめろ。
 親父、どろどろ。

 母ちゃんを掴んで離さない。


 間に生まれた俺は、まあまあ可愛い顔と、まあまあ絶品の尻を持って生まれたっぽい。

 モブレで快楽堕ちしちゃう尻!!

 天下一の母ちゃん、たすけて……!!


 本泣きな俺を、母ちゃんが助けにきてくれることはないと思う。
 親父、淫魔の母ちゃんの浮気が心配過ぎて、監禁気味だからな。
 母ちゃん、自分にベタ惚れの親父が可愛いらしくて、にこにこ監禁されてるからな!


 ここは俺が乗り切るしかない!


 しかし俺……もしかして、かわい?
 おっきい紫の目で、うるうるで上目遣いとか、もしかして攻撃力高い?


 いやいやいや。
 主人公、半端なく可愛いからな。

 ここで、俺ってかわいーんだぜ、ふふん♡ とかやったら、モブレまっしぐら!

 悪役のお約束は、よく解ってる。
 えっちなオンライン小説、めちゃくちゃ読んでたから!

 
 俺は、モブレされる悪役! 図に乗らないように頑張ろう!









 ちっちゃな拳を握った俺は、ゾイに貰った、黒の指定の学生鞄で登校した。

 学校と寮は、めちゃくちゃ近い。
 徒歩1分というか、学校の敷地内に、寮が建ってる。

 俺の住んでる寮は、魔力の低いのが入る、おんぼろ寮だ。
 魔力の高いのは、もっと豪華な寮に入れるみたいだよ。
 BLゲームらしく、きらきらしてる白亜の建物が、遠くに見える。

 ゲームで主人公の寮の部屋が出て来たけど、ちゃんと綺麗で可愛い部屋だった。
 俺のちっちゃい尻すらはみ出る、おんぼろ丸椅子とか、なかったぞ!


 ちょっとぷりぷりしながら、鞄を握り締め、聳え立つ校舎へと向かう。


 ほえ──。
 これが、校舎、か……?

 あんぐり口を開けた俺の隣を、くすくす笑いながら生徒たちが歩いてく。


 は、はずかし──!
 おのぼりさん、丸出し!


 し、しかし、すんごいよ!
 美術館とか、何とかホールとか、そういうのみたい!


 3階建ての真っ白な校舎は石造りで、壁や柱には花々や蔦や魔法学園の紋章が彫りあげられ、朝の光に輝いた。
 中央に聳え立つのは、金に彩られた時計塔だ。

 さすがBL魔法学校な感じに、きらきらしてる!


「うわ、指定の制服着て、指定の鞄持ってるー」

「さすが、ぼろ寮から出てくるだけあるな」

「魔力ないんだねー、かわいそー」

「ほんとに18歳なの? ちっちゃ!」

「魔法学園は、成人の18歳からですよー」

「僕、知ってる?」

 にやにやする、びらびらした服を着た一団に囲まれた!


「ちっちゃい言うな!」

 ぷくっと膨れたら、ゲラゲラ笑われる。


 失礼な!

『俺はこれでも、魔界の王子さまだぞ!』

 言いかけた俺は、止まった。


 元王子だよ、俺。
 ド平民だよ。

 皆と一緒!


 それ以前に、身分を振り翳して言うこと聞かすのはだめだから!!

 今世の俺、反省しろ!



「おい、無視すんなよ」

 ぼん、と小突かれた俺は、よろめいた。



 おおう。

 反省してる場合じゃなかった!










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