【完結】残念な悪役の元王子に転生したので、何とかざまぁを回避したい!

  *  ゆるゆ

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また出た!

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「交番はどっちですか」

 丁度いいので、柄の悪いお兄さんたちに尋ねてみた。


「こ、交番?」

 引き攣る男たちに、こっくり頷く。


「おまわりさ────ん!!」

 叫んだら、警棒を掲げた犬の獣人のお巡りさんが走ってきた!


 さすが日本のゲーム!
 さすが『愛のラビリンス』

 犬のおまわりさんが来たよ!



「なんだ、事件か!!」

「ぎゃああ! ほんとに来た──!」

「俺たち、何にもしてません────!」

「まだ!!」

 真っ青になった、柄の悪そうな男たちが逃げてゆく。



「きみたち、大丈夫か!
 そんな可愛いおそろいで、下町をうろついちゃ、いかん!」

 いやいや、ぴるぴるしてる耳と尻尾のお巡りさんのが可愛いよ!

 思いつつ、俺は手を挙げる。


「ギルドへの道を教えてください!
 ……えと、ギルドありますか」

 ぱちりと目を瞬いたお巡りさんは、首を傾げる。
 もふもふの尻尾が、ぱたりと揺れた。


「ぎるど?」

「冒険者組合?
 作った薬を買ってほしいんです」

「それは薬師組合じゃないのかな?」

「え、冒険者組合、ない?」

「ううーん??」

 反対方向に首を傾げるお巡りさんの肩を、逞しい男が叩いた。


「俺、知ってる。
 案内してもいいよ」


 はい、来た────!

 そう言って、あやしいとこに連れ込む輩ね!
 お約束第二弾!


 と思って見あげた長身の男の顔に、俺は、口を開ける。


 …………めちゃくちゃかっこいー。

 細く締まる鍛えあげられた身体と、短い灰色の髪と、吊りあがる凛々しい灰色の瞳を裏切るような、もふもふの灰色の耳と、灰色の尻尾がついてるとか、最高なんですけど!

 って思ったら、霞んでいた記憶が蘇る。


 2巡目の隠しキャラ、平民として育ったけど実は公爵令息来ました!



 ううーん??

 メファの時も思ったけどさ、ふつう、誰かひとりのルートをクリアしたら、2巡目のキャラが、次に3巡目のキャラが、って現れてゆくんだよ。

 最初っから、隠しキャラ出てくるの、おかしくね?

 しかも、3巡目出てから2巡目出たよ??


 ?????



 でも、この世界は、ゲームであって、ゲームじゃない。


 …………たぶん。


 だって、俺にも、ディゼにも、メファにも意志があって、俺にはかあちゃんも親父もいる。

 少なくともゲームには、かあちゃんも親父も出て来なかった。

 でもふたりとも、ちゃんと居て、ちゃんと意志があって、今も元気に生きてる。
 そういうところが、ゲームと違うところなんだと思う。


 ゲームだと、ゲームのこと以外の世界は、無だから。


 かあちゃんも親父も設定としてはあるけど、ゲームの世界では、無に分類される。
 顔も姿も、今何してるかも、何にもない。


 でも、この世界には、存在してる。
 そしてちゃんと、世界に影響する力を持ってる。


 それがきっと、ゲームと違うところだと思う!


 たぶん!






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