【完結】最愛の推しを殺すモブに転生したので、全力で救いたい!

  *  ゆるゆ

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伝説の魔導士と魔法勝負だよ!

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 魔法をどれだけ撃ちまくっても大丈夫な時空を、ジァルデが開いてくれる。


「うわあ! すごい! 4次元!?
 え、もしかして伝説の時魔?
 初めて逢った! 僕、伝説の魔導士、キュト・デア・グォリアーゼ」

 きらきらの紫紺の瞳で、ジァルデの手を、両手でキュトが握り締める。

 隣のゼドが、ぶっすりふくれてるのが、かわいーよ。
 ちょっとうれしそうなジアも、かわいー!


「伝説の時魔に、凄まじい闇の申し子に、伝説の勇者?
 何これ。今度の魔王、最強だ」

 目をまるくするキュトに、僕は首を振った。


「前世の僕の知識では、ジアも、魔王さまも、僕も死ぬんです。
 僕は、それを変えたい」

「──……なるほど」

 ちょっと上を見たキュトは、頷いた。


「エルフの血、だからエルフ探査機か」

 さすが伝説の魔導士!
 話が早いよ。


「ふふふん。
 僕を倒せたなら、作ってあげてもいいよ!」

「いや、さっき勝ちましたよ!」

「さっきのは卑怯だから。
 いざ、尋常に勝負!」

 キュトが、どこからか取り出した銀の杖を掲げる。
 その姿だけで、ものすんごい魔法が飛び出しそうなんですけど!


「クロの援護を認めてください!」

「だめ!」

「クロと僕は、一心同体なんです!」

 クロの顔が赤くなって、ふわふわの尻尾が、ぶんぶん振られた。

「えへへ。ろーといっしょ!」

 ああもう、クロが可愛すぎる……!

 もだもだする僕に、エォナの栗色の瞳が泣きだしそうに揺れて、ちいさな顔が歪む。

 キュトは、にっこり笑った。


「だめ♡」

 見たこともない、ものすんごい魔紋が展開する。


「うぎゃあああ!
 やっぱり伝説!」

 魔導士と魔導士が、この世界で戦う場合、相手の魔紋を破るのが最善だ。
 ジァルデが魔法撃の特訓をしてくれたので、たいていの魔紋なら破れるが、伝説は無理!!!

 いや、どうなってるのかさえ読めないよ!
 なに、この複雑すぎる魔紋!

 仕方ないので、僕は僕の得意なところで頑張ります。


 闇の力全開、敵の全魔力吸収、敵の全魔法無効、魔法防御最大、闇のいかずちの突撃一閃!!!

 高速詠唱で展開した、僕の渾身の一撃を、キュトは防いだ。


「ふぁああああ!
 な、何これ、すごい!
 僕の魔力吸収してる! 僕の魔法無効化してくる!
 更に、魔法防御壁、見たことないほど凄いの張って、更に、ものすんごい闇のいかずち?
 全部一遍に高速詠唱?
 ふぁああああああ!」


 紫紺の瞳が、ギラギラしてる!

 な、なんか変なスイッチを押したっぽい?
 さすが、世界一むかつくモブ!



「ひめさま!」

 エォナの栗色の瞳が、心配そうに揺れる。

 ひめさまじゃないけど、僕、死にそうだよ。
 でも頑張るよ、エォナ。


 ジアと魔王さまとレトゥリアーレさまの、しあわせ未来のために!



 キュトは、可愛くて、やさしくて、簡単に御せそうに思えるけど、芯が厳しく、決して折れない。

 だから、この勝負に負けたら、エルフ探査機は、きっと作って貰えない。

 そうなったら、ジアとゼドは殺されて、死んでしまう。



 そんなの絶対、ゆるさない。



 最大出力の魔法を連続で放ったのに、僕の魔力はまだ切れない。
 キュトの魔力を吸ってるからだ。

 すんごいなあ。
 全属性だなあ。
 さすが伝説!

 ってことは、僕も、全属性の魔法を撃てるってことだ!

 きゃっはー!
 じゃない、これはいけるかも! 

 憧れてるだけで、全く全然使えなかった魔法たちを、全速力で撃ち出した。


「う、そ──!
 すごい、何これ!
 僕の魔力が、僕を攻撃してくるんだけど!
 えー! 萌える!
 ふぁあああああ!」

 もっと変なスイッチ押した!


「すんごいなあ。
 こんなの初めて!
 じゃあ遠慮なく、本気出しちゃうぞ♡」

 やばいやばいやばい!
 キュトの後ろで、凄まじい魔紋が展開しだした!
 目がイったキュトに、殺される!


 ガクブルになった僕の目に、キュトの魔紋が見えた。

 キュトの魔力を吸った僕には、複雑怪奇すぎる魔紋が、どう展開されてゆくのか、どこが穴なのか、見える────!

 闇の魔力を、振り絞る。


「貫け! メゼルディギリス!!」

 紫紺の瞳が、見開かれて、止まる。


 キュトと僕の魔力が合わさった闇のいかずちが、キュトの防御壁さえ突き破り、キュトのちいさなおでこを、でこぴんした。


「…………落とされた────!」



 真っ赤な頬で叫んだキュトが、くずおれた。










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