30 / 131
伝説の魔導士と魔法勝負だよ!
しおりを挟む魔法をどれだけ撃ちまくっても大丈夫な時空を、ジァルデが開いてくれる。
「うわあ! すごい! 4次元!?
え、もしかして伝説の時魔?
初めて逢った! 僕、伝説の魔導士、キュト・デア・グォリアーゼ」
きらきらの紫紺の瞳で、ジァルデの手を、両手でキュトが握り締める。
隣のゼドが、ぶっすりふくれてるのが、かわいーよ。
ちょっとうれしそうなジアも、かわいー!
「伝説の時魔に、凄まじい闇の申し子に、伝説の勇者?
何これ。今度の魔王、最強だ」
目をまるくするキュトに、僕は首を振った。
「前世の僕の知識では、ジアも、魔王さまも、僕も死ぬんです。
僕は、それを変えたい」
「──……なるほど」
ちょっと上を見たキュトは、頷いた。
「エルフの血、だからエルフ探査機か」
さすが伝説の魔導士!
話が早いよ。
「ふふふん。
僕を倒せたなら、作ってあげてもいいよ!」
「いや、さっき勝ちましたよ!」
「さっきのは卑怯だから。
いざ、尋常に勝負!」
キュトが、どこからか取り出した銀の杖を掲げる。
その姿だけで、ものすんごい魔法が飛び出しそうなんですけど!
「クロの援護を認めてください!」
「だめ!」
「クロと僕は、一心同体なんです!」
クロの顔が赤くなって、ふわふわの尻尾が、ぶんぶん振られた。
「えへへ。ろーといっしょ!」
ああもう、クロが可愛すぎる……!
もだもだする僕に、エォナの栗色の瞳が泣きだしそうに揺れて、ちいさな顔が歪む。
キュトは、にっこり笑った。
「だめ♡」
見たこともない、ものすんごい魔紋が展開する。
「うぎゃあああ!
やっぱり伝説!」
魔導士と魔導士が、この世界で戦う場合、相手の魔紋を破るのが最善だ。
ジァルデが魔法撃の特訓をしてくれたので、たいていの魔紋なら破れるが、伝説は無理!!!
いや、どうなってるのかさえ読めないよ!
なに、この複雑すぎる魔紋!
仕方ないので、僕は僕の得意なところで頑張ります。
闇の力全開、敵の全魔力吸収、敵の全魔法無効、魔法防御最大、闇のいかずちの突撃一閃!!!
高速詠唱で展開した、僕の渾身の一撃を、キュトは防いだ。
「ふぁああああ!
な、何これ、すごい!
僕の魔力吸収してる! 僕の魔法無効化してくる!
更に、魔法防御壁、見たことないほど凄いの張って、更に、ものすんごい闇のいかずち?
全部一遍に高速詠唱?
ふぁああああああ!」
紫紺の瞳が、ギラギラしてる!
な、なんか変なスイッチを押したっぽい?
さすが、世界一むかつくモブ!
「ひめさま!」
エォナの栗色の瞳が、心配そうに揺れる。
ひめさまじゃないけど、僕、死にそうだよ。
でも頑張るよ、エォナ。
ジアと魔王さまとレトゥリアーレさまの、しあわせ未来のために!
キュトは、可愛くて、やさしくて、簡単に御せそうに思えるけど、芯が厳しく、決して折れない。
だから、この勝負に負けたら、エルフ探査機は、きっと作って貰えない。
そうなったら、ジアとゼドは殺されて、死んでしまう。
そんなの絶対、ゆるさない。
最大出力の魔法を連続で放ったのに、僕の魔力はまだ切れない。
キュトの魔力を吸ってるからだ。
すんごいなあ。
全属性だなあ。
さすが伝説!
ってことは、僕も、全属性の魔法を撃てるってことだ!
きゃっはー!
じゃない、これはいけるかも!
憧れてるだけで、全く全然使えなかった魔法たちを、全速力で撃ち出した。
「う、そ──!
すごい、何これ!
僕の魔力が、僕を攻撃してくるんだけど!
えー! 萌える!
ふぁあああああ!」
もっと変なスイッチ押した!
「すんごいなあ。
こんなの初めて!
じゃあ遠慮なく、本気出しちゃうぞ♡」
やばいやばいやばい!
キュトの後ろで、凄まじい魔紋が展開しだした!
目がイったキュトに、殺される!
ガクブルになった僕の目に、キュトの魔紋が見えた。
キュトの魔力を吸った僕には、複雑怪奇すぎる魔紋が、どう展開されてゆくのか、どこが穴なのか、見える────!
闇の魔力を、振り絞る。
「貫け! メゼルディギリス!!」
紫紺の瞳が、見開かれて、止まる。
キュトと僕の魔力が合わさった闇のいかずちが、キュトの防御壁さえ突き破り、キュトのちいさなおでこを、でこぴんした。
「…………落とされた────!」
真っ赤な頬で叫んだキュトが、くずおれた。
911
あなたにおすすめの小説
悪役令息ですが破滅回避で主人公を無視したら、高潔な態度だと勘違いされて聖人認定。なぜか溺愛ルートに入りました
水凪しおん
BL
BL小説『銀の瞳の聖者』の悪役令息ルシアンに転生してしまった俺。
原作通りなら、主人公ノエルをいじめ抜き、最後は断罪されて野垂れ死ぬ運命だ。
「そんなの絶対にお断りだ! 俺は平和に長生きしたい!」
破滅フラグを回避するため、俺は決意した。
主人公ノエルを徹底的に避け、関わらず、空気のように生きることを。
しかし、俺の「無視」や「無関心」は、なぜかノエルにポジティブに変換されていく。
「他の人のように欲望の目で見ないなんて、なんて高潔な方なんだ……!」
いじめっ子を視線だけで追い払えば「影から守ってくれた」、雨の日に「臭いから近寄るな」と上着を投げつければ「不器用な優しさ」!?
全力で嫌われようとすればするほど、主人公からの好感度が爆上がりして、聖人認定されてしまう勘違いラブコメディ!
小心者の悪役令息×健気なポジティブ主人公の、すれ違い溺愛ファンタジー、ここに開幕!
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
【8話完結】勇者の「便利な恋人」を辞めます。~世界を救うより、自分の幸せを守ることにしました~
キノア9g
BL
「君は便利だ」と笑った勇者を捨てたら、彼は全てを失い、私は伝説の魔導師へ。
あらすじ
勇者パーティーの万能魔術師・エリアスには、秘密があった。
それは、勇者ガウルの恋人でありながら、家事・雑用・魔力供給係として「便利な道具」のように扱われていること。
「お前は後ろで魔法撃ってるだけで楽だよな」
「俺のコンディション管理がお前の役目だろ?」
無神経な言葉と、徹夜で装備を直し自らの生命力を削って結界を維持する日々に疲れ果てたエリアスは、ある日ついに愛想を尽かして書き置きを残す。
『辞めます』
エリアスが去った翌日から、勇者パーティーは地獄に落ちた。
不味い飯、腐るアイテム、機能しない防御。
一方、エリアスは隣国の公爵に見初められ、国宝級の魔導師として華麗に転身し、正当な評価と敬意を与えられていた。
これは、自分の価値に気づいた受けが幸せになり、全てを失った攻めがプライドも聖剣も捨てて「狂犬」のような執着を見せるまでの、再構築の物語。
【勇者×魔導師/クズ勇者の転落劇】
※攻めへのざまぁ要素(曇らせ)がメインの作品です。
※糖度低め/精神的充足度高め
※最後の最後に、攻めは受けの忠実な「番犬」になります。
全8話。
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
【完結 一気読み推奨】片想いの相手が「そろそろ恋愛したい」と言ったので、用済みの俺はニートになることにしました。
はぴねこ
BL
高校生の頃、片想いの親友に告白した。
彼はノンケだったから玉砕して友人関係も終わるものだと思っていた。
もしかすると気持ち悪いと軽蔑される覚悟までしていたのに、彼は「今は恋愛をしている時間がないんだ」と自分の夢を語ってくれた。
彼は会社を興した祖父のことをとても尊敬していて、自分も起業したいと熱く語ってくれた。
そして、俺の手を握って「できれば親友のお前には俺の右腕になってほしい」と言われた。
同性愛者の俺のことを気持ち悪いと遠ざけることもせずに、親友のままでいてくれた彼に俺は感謝して、同じ大学に進学して、大学の頃に彼と一緒にゲームを作成する会社を起業した。
あれから二十年間、本当に二人三脚で駆け抜けてきた。
そして、昨年売り出したVRMMOが世界的に大ヒットし、ゲーム大賞を取ったことを祝うパーティーで親友が語った言葉に俺の覚悟も決まった。
「俺もそろそろ恋愛したい」
親友のその言葉に、俺は、長年の片想いを終わらせる覚悟をした。
不憫な拗らせアラフォーが”愛”へと踏み出すお話です。
番に見つからない街で、子供を育てている
はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。
異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。
現世の記憶は失われているが、
この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。
街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、
ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。
だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。
再会は望まない。
今はただ、この子との生活を守りたい。
これは、番から逃げたオメガが、
選び直すまでの物語。
*本編完結しました
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる