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愛?
しおりを挟む弟と兄の愛の世界を打ち砕くように、
『話は聞かせてもらったぁアア────!!』
バァン!
扉が開いた音とともに、風磨が叫んだ。
涙と愛を風磨に思いきりぶち壊されて、あんぐり口を開けるチチェの隣で、気配で解っていたのだろうエォナが吐息する。
『あまりよい趣味ではないですよ、風磨たん』
愛らしい栗色の瞳で睨まれた風磨は、ふんと鼻を鳴らした。
『緊急事態だ!
チチェとエォナが勇者の村に行っちゃったら、獣人さんたちを守るのは俺だけじゃんか!
無理無理無理無理────!!
いやだ────!! 行かないで────!!
って俺が泣いたら困るだろ?』
にやりと風磨が唇の端をあげる。
『全く困らず、にいちゃと村に帰ります』
エォナの断言に、風磨が泣いた。
『ち、ちっちゃい勇者が、酷過ぎる────!!』
『まあ、本音がちょっとな』
チチェの頷きに、風磨は更に仰け反った。
『兄もひでえ!!』
ぐすぐす泣いた風磨は、鼻を啜った。
『お、俺さ、レベル1で、役立たずだけどさ、でも、主人公だから、チートあるんだ。
スキル即死回避Lv99。
俺は、どんな攻撃を喰らっても、絶対に即死しない。
だから、どんなえぐい攻撃でも、俺が止められる』
チチェと顔を見合わせたエォナは、頷いた。
『矢面に立ってくださると』
『いやだあぁああ────!
こ────わ────い────!!』
泣きじゃくる風磨に、エォナの冷たい視線が降って、チチェはぽふぽふ風磨の背を叩いてあげた。
『って言いたいけど、言ったらだめなのは、わかってる。
絶対漏らしそうだけど、お、俺、頑張るから』
うるうるの涙目で、風磨はふるえる拳を握った。
『キュトたんの家には、魔道具がいっぱい詰まってる。
魔法防御も掛けてくれてて、空間拡張もしてくれてる。
更に、攻撃を喰らった時は、キュトたんに通報までできる!
だから、勇者の村の人たち皆を、キュトたん家に呼ぼう!』
チチェが拍手して、エォナの栗色の瞳が細くなる。
『どうやって?』
『え、俺、走って来たぞ』
きょとんとチチェが首を傾げて、エォナは深く頷いた。
『にいちゃは勇者だから!』
真っ赤になるチチェに、風磨は首を傾げた。
『あれ? ふたりともルル狙いだと思ってたのに、さっきので愛、育まれちゃった?』
によによする風磨に、ちいさなエォナが噴火した。
『配慮!!』
真っ赤な顔でエォナが叫んで、畑仕事でごつごつになったチチェ手が、エォナのちいさな頭をかき混ぜた。
『俺は生まれた時からずーっと、エォナを愛してる』
直球に、深紅に染まったエォナが、しゅーしゅー湯気を噴く。
『……ぼ……僕も、にいちゃを、ずっと……あ、愛して、……る』
ぽそぽそ呟く耳まで真っ赤なエォナを、チチェの腕が抱きしめた。
『相思相愛だな!』
『いやいやいや、俺もいるから!
ふたりの世界にならないで!!
今、作戦会議!!』
ちょっと赤くなった風磨が腕を振り回して、真っ赤なエォナはチチェの腕のなかで、もごもご頷いた。
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