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ひさしぶり!
というわけで、ラザさまのお仕置きを見られなくなった俺は、ラザさまの宮でひとりで、お暇になるよりは、魚を愛でたいだろうと、北の果てのボロ宮へと帰してもらえることになりました。
ラザさまの宮より、警備が厳重らしい。
女の子以外は入れないはずだからね。
……男の俺が入ってて、ごめんね……!
今日も北の果てで、雑草のそよぐ、ボロ宮が輝いてる!
いや、修繕は、してるんだけど、修繕な感じでね……そんなに見た目はね……変わっていないというか、うん……
しかし、ドロドロっぽかった池は、一生懸命きれいにして、ちょこっと澄んだ池になったんだよ!
「ひさしぶりー! 元気だった?」
ちいさな池に駆け寄ったら、ぱしゃぱしゃ跳ねてくれる魚が、かわいい。
きっと俺のことを、ごはん係だと思って歓迎してくれているだけだと思うけれど、それでも、かわいー!
「ごはんだよー。
たっぷり、お食べー」
にこにこしながら、雑穀をふりまく。
ぱくぱく口を開ける、愛らしい魚の頭を、そうっと、なでなでしていたら、草を踏む音がした。
ヤヤの音じゃない。
し、きつい香水の匂いがする。
顔をあげたら、キンキラの衣で、従僕を五人引きつれた、おひめさまが、眉をつりあげて立っていた。
「あなたね、最小国レィゼの最終兵器は──!」
「ちがいます」
手をあげてみた。
今まで平和に過ごしてきたことが、奇跡だったのかもしれないと思う。
まあ、こんな北の果て、ぼろっぼろの宮に、従僕のひとりもいない『ひめなの、ほんとに……?』みたいな俺がいることは、他のひめは、まったく知らないだろうし、帝王陛下の弟君が、可愛がってくださって、いる……? ことも、知らないと思う!
だって
『帝王陛下の弟君、ご来臨!』
ぱらりらら~♪
音楽が鳴って、皆がうやうやしく膝を折って、みたいなの、ないよ?
ラザさまが、ここに来ていることも知らないだろうし、俺の存在も、医士のおねえさんくらいしか知らないと思うのだけれど。
……なぜ来た──?
びっくりする俺の胸元で、ラザがくれた青い魔石が、ちかりと赤く輝いた気がした。
『どうして来たんだろう、この人たち』
顔に大書きしてしまったと思う俺に、気づいたのか、気づいていないのか、本物のおひめさまらしい人は、口を開く。
「メゼア帝国の高位貴族のひめ、大国のひめを差し置いて、最小国レィゼの卑しい民が、帝王陛下のご寵愛を得るだなんて、ありえぬということが分からぬのですか!
分をわきまえなさい!」
「そうよ、そうよ!」
「顔だけひめ!」
「ド田舎の卑しい民のくせに!」
「恥を知りなさい!」
わあわあ、叫ばれました!
おぉ! これは、小説で読んだことがある、悪役ひめなのでは!?
……いや、うん、他のひめにとっては、男の俺が、悪役ひめ……? かもしれないね。うん……!
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