【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします

  *  ゆるゆ

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誓うのです




「まるで陛下を選んだ僕が、ゲテモノ喰いみたいじゃないか。やめてくれるかな」

 ふんと鼻を鳴らしながら、密談の部屋を開けたのは、あざやかな青い髪とおそろいの青い瞳が愛らしい男の子だ。
 華奢な手足と大きな瞳はまるで少年みたいなのに、陛下の隣に堂々と並び立つさまは、とても堂に入っている。

 あわてて頭を下げるノィユと両親と皆を見渡した少年は微笑んだ。

「おもてをあげよ」

 愛らしさと威厳のあふれる声に、ノィユはそうっと顔をあげる。

「……ふぅうぅん。きみがヴィルさまの伴侶ねぇえ」

 殺人光線が刺さった!

 ……王配殿下なのに、ヴィルに『さま』がついてるよ。
 こわい予感しかしない。


「名乗れ」

 睥睨にふるえたノィユは、唇を開く。

「お初にお目にかかります、王配殿下。ノィユ・バチルタにございます」

 胸に手をあて、深くひざを折る。
 最敬礼だ。

「……月の精霊の母、陽の精霊の父、精霊の目を持つ3歳児か。
 ヴィルさまは、顔面最強な、ちっちゃい男の子が大すきなんですね……!」

 泣いてる。

「違う!」

 ヴィルの反論が、いつになく強い!


「ノィユだから、伴侶に」

 答えたヴィルが、ぎゅっとノィユの手を握ってくれる。
 火照る頬で握り返したら、もしゃもしゃの雪の髪の向こうでほんのり微笑んでくれた。


「うわぁああん!」

 王配殿下が号泣してる。

「はいはい、アォナ、落ち着いて。いちおうきみの伴侶は俺なんだからね。堂々と目の前で他の男を口説かないように」

 ぽんぽん陛下にお背なを叩かれたアォナ殿下が、ぐすぐす鼻を啜った。

「……アォナ・ロベォ。ロベォ家三男」

 貴族最高位のロベォ家! さすが王配殿下!

「ヴィルさまに振られて、ユィクにも振られて、仕方なくザイアと一緒になった王配だよ」


「ちょ……! 説明──!」

 ザイアが泣いてる。


 …………おとうちゃんの名前が出た気がするんだけど、気のせいかな…………?


「ノチェ殿とエヴィに振られたザイア陛下と、お義兄さまとユィク殿に振られたアォナさまがくっついて、それなりに楽しくお暮らしなのが我らがネメド王家です」

 トートがまとめてくれた!


「だから、めちゃくちゃ王家から怨みを買ってるわけだよ、ヴァデルザ家も、ネァルガ家も、バチルタ家も。だから伴侶契約で呼び出されちゃうの。わかる?」

 トートの説明が、痛いほどわかります!
 両親の分までごめんなさい!

 謝ろうとしたら、ザイア陛下が手をあげてくれる。
 許しをもらったノィユは、ふるえそうな唇を開いた。


「ご心痛をおかけすること、誠に、誠に申し訳なく存じますが」

 深く頭をさげたノィユは、息を吸う。


「僕は、ヴィルを、愛しています。
 ヴィルは、僕の、伴侶です!」

 断言した!

 燃える頬で、ヴィルの手を握る指が、ふるえてる。


 ぎゅ

 ヴィルが、手を握ってくれる。
 もしゃもしゃの雪の髪の向こうにのぞく耳を真っ赤にして、藍の瞳をほそめて、笑ってくれる。


 ヴィルのためなら、何だってできる気がするんだ。


「借金は、僕が死ぬ気で何とかします! ヴィルに、ヴァデルザ家に、ネァルガ家に、絶対にご迷惑をおかけしません! ですからどうか、ヴィルの伴侶となることを認めてください、お願いします!」

 地につくほど頭を下げた。





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