32 / 155
誓うのです
「まるで陛下を選んだ僕が、ゲテモノ喰いみたいじゃないか。やめてくれるかな」
ふんと鼻を鳴らしながら、密談の部屋を開けたのは、あざやかな青い髪とおそろいの青い瞳が愛らしい男の子だ。
華奢な手足と大きな瞳はまるで少年みたいなのに、陛下の隣に堂々と並び立つさまは、とても堂に入っている。
あわてて頭を下げるノィユと両親と皆を見渡した少年は微笑んだ。
「おもてをあげよ」
愛らしさと威厳のあふれる声に、ノィユはそうっと顔をあげる。
「……ふぅうぅん。きみがヴィルさまの伴侶ねぇえ」
殺人光線が刺さった!
……王配殿下なのに、ヴィルに『さま』がついてるよ。
こわい予感しかしない。
「名乗れ」
睥睨にふるえたノィユは、唇を開く。
「お初にお目にかかります、王配殿下。ノィユ・バチルタにございます」
胸に手をあて、深くひざを折る。
最敬礼だ。
「……月の精霊の母、陽の精霊の父、精霊の目を持つ3歳児か。
ヴィルさまは、顔面最強な、ちっちゃい男の子が大すきなんですね……!」
泣いてる。
「違う!」
ヴィルの反論が、いつになく強い!
「ノィユだから、伴侶に」
答えたヴィルが、ぎゅっとノィユの手を握ってくれる。
火照る頬で握り返したら、もしゃもしゃの雪の髪の向こうでほんのり微笑んでくれた。
「うわぁああん!」
王配殿下が号泣してる。
「はいはい、アォナ、落ち着いて。いちおうきみの伴侶は俺なんだからね。堂々と目の前で他の男を口説かないように」
ぽんぽん陛下にお背なを叩かれたアォナ殿下が、ぐすぐす鼻を啜った。
「……アォナ・ロベォ。ロベォ家三男」
貴族最高位のロベォ家! さすが王配殿下!
「ヴィルさまに振られて、ユィクにも振られて、仕方なくザイアと一緒になった王配だよ」
「ちょ……! 説明──!」
ザイアが泣いてる。
…………おとうちゃんの名前が出た気がするんだけど、気のせいかな…………?
「ノチェ殿とエヴィに振られたザイア陛下と、お義兄さまとユィク殿に振られたアォナさまがくっついて、それなりに楽しくお暮らしなのが我らがネメド王家です」
トートがまとめてくれた!
「だから、めちゃくちゃ王家から怨みを買ってるわけだよ、ヴァデルザ家も、ネァルガ家も、バチルタ家も。だから伴侶契約で呼び出されちゃうの。わかる?」
トートの説明が、痛いほどわかります!
両親の分までごめんなさい!
謝ろうとしたら、ザイア陛下が手をあげてくれる。
許しをもらったノィユは、ふるえそうな唇を開いた。
「ご心痛をおかけすること、誠に、誠に申し訳なく存じますが」
深く頭をさげたノィユは、息を吸う。
「僕は、ヴィルを、愛しています。
ヴィルは、僕の、伴侶です!」
断言した!
燃える頬で、ヴィルの手を握る指が、ふるえてる。
ぎゅ
ヴィルが、手を握ってくれる。
もしゃもしゃの雪の髪の向こうにのぞく耳を真っ赤にして、藍の瞳をほそめて、笑ってくれる。
ヴィルのためなら、何だってできる気がするんだ。
「借金は、僕が死ぬ気で何とかします! ヴィルに、ヴァデルザ家に、ネァルガ家に、絶対にご迷惑をおかけしません! ですからどうか、ヴィルの伴侶となることを認めてください、お願いします!」
地につくほど頭を下げた。
あなたにおすすめの小説
【完結】悪役令息の従者に転職しました
* ゆるゆ
BL
暗殺者なのに無様な失敗で死にそうになった俺をたすけてくれたのは、BLゲームで、どのルートでも殺されて悲惨な最期を迎える悪役令息でした。
依頼人には死んだことにして、悪役令息の従者に転職しました。
皆でしあわせになるために、あるじと一緒にがんばるよ!
『悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?』のカイの師匠も
『悪役令息の伴侶(予定)に転生しました』のトマの師匠も、このお話の主人公、透夜です!
表紙は、Pexelsさまより、Abdalrahman Zenoさまによる写真をお借りしました。ありがとうございます!
文章にはAIを使用しておりません。校正も自力です!(笑)
【完結】双子の兄が主人公で、困る
* ゆるゆ
BL
『きらきら男は僕のモノ』公言する、ぴんくの髪の主人公な兄のせいで、見た目はそっくりだが質実剛健、ちいさなことからコツコツとな双子の弟が、兄のとばっちりで断罪されかけたり、 悪役令息からいじわるされたり 、逆ハーレムになりかけたりとか、ほんとに困る──! 伴侶(予定)いるので。……って思ってたのに……!
表紙は、Pexelsさまより、Julia Kuzenkovさまによる写真をお借りしました。ありがとうございます!
【完結】転生した悪役令息は、お望み通り近付きません
カシナシ
BL
「お前など、愛す価値もない」
ディディア・ファントム侯爵令息が階段から落ちる時見たのは、婚約者が従兄弟を抱きしめている姿。
(これって、ディディアーーBLゲームの悪役令息じゃないか!)
妹の笑顔を見るためにやりこんでいたBLゲーム。引くほどレベルを上げた主人公のスキルが、なぜかディディアに転生してそのまま引き継いでいる。
スキルなしとして家族に『失敗作』と蔑まれていたのは、そのスキルのレベルが高すぎたかららしい。
スキルと自分を取り戻したディディアは、婚約者を追いかけまわすのを辞め、自立に向けて淡々と準備をする。
もちろん元婚約者と従兄弟には近付かないので、絡んでこないでいただけます?
十万文字程度。
3/7 完結しました!
※主人公:マイペース美人受け
※女性向けHOTランキング1位、ありがとうございました。完結までの12日間に渡り、ほとんど2〜5位と食い込めた作品となりました!あああありがとうございます……!。゚(゚´Д`゚)゚。
たくさんの閲覧、イイね、エール、感想は、作者の血肉になります……!(o´ω`o)ありがとうございます!(●′ω`人′ω`●)
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される
秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました!
最終17位でした!応援ありがとうございます!
あらすじ
魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。
ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。
死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――?
傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。
【完結】お義父さんが、だいすきです
* ゆるゆ
BL
闇の髪に闇の瞳で、悪魔の子と生まれてすぐ捨てられた僕を拾ってくれたのは、月の精霊でした。
種族が違っても、僕は、おとうさんが、だいすきです。
表紙は、Pexelsさまより、MAG Photographyさまによる写真をお借りしました。ありがとうございます!
文章にはAIを使用しておりません。校正も自力です!(笑)
捨てられた生贄オメガ、魔王城で極上の『巣作り』始めます!~不眠症の魔王様、私のクッションで爆睡して溺愛モードに突入~
水凪しおん
BL
「役立たずのオメガ」として冷遇され、血も涙もない魔王への生贄として捨てられたリノ。
死を覚悟して連れてこられた魔王城は、寒くて硬くて、居住性最悪のブラック環境だった!?
「こんなところで寝られるか!」
極限状態で発動したオメガ特有の『巣作り本能』と、神業レベルの裁縫スキルが火を噴く!
ゴミ同然の布切れをフカフカのクッションに、冷たい石床を極上のラグマットにリフォーム。
すると、不眠症で常にイライラしていた魔王ザルドリスが、リノの作った「巣」のあまりの快適さに陥落してしまい……?
「……貴様、私を堕落させる気か」
(※いいえ、ただ快適に寝たいだけです)
殺されるどころか、魔王様に気に入られ、気付けば城中がリノの虜に。
捨てられた生贄オメガが、裁縫一つで魔王城を「世界一のマイホーム」に変える、ほのぼの逆転溺愛ファンタジー!