【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします

  *  ゆるゆ

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ゆうめいみたいです




「ひどいよヴィル! 目の前でいちゃつきながら伴侶自慢なんて最低だよ! 『救援求む』って言うから、皆であわてて集まったのに!」

「………………」

 可愛いお兄さんが涙目で頬をふくらませて、茶色いフードのおじいちゃんが首を振ってる。

「まあ皆いつもここにいるけどさ。家は肩身が狭くてさ──!
 どこに行っても『伴侶は?』って!
 できないんだよ、察してくれよぉオオオ──!」

 ガチムチお兄さんが泣いてる。
 お兄さんの肩を励ますように、売れ残り仲間たちがぽふぽふしてる。

「同士よ!」

 硬い結束みたいだよ。

 入れなくなってしまったヴィルはちょっとさみしそうに目を伏せて、唇を開いた。

「自慢じゃ、なく、皆、には、ちゃんと、ノィユを紹介、したかった」

「ヴィル──!」

 抱きつかれたヴィルが、皆を、ガチムチのお兄さんまで軽く抱きとめてる。

 さすが、ヴィル! かっこい──!

 隣のエヴィの目もきらきらしてる。


「皆、に、相談、があって」

 ヴィルがやさしくノィユの背を押してくれる。
 勇気をヴィルに注入されたノィユは、ぷるぷるしながら声を張る。

「あ、あの、バチルタ家の領地復興、借金返済にお力を貸していただきたいのです──!」

 言った!
 初対面なのに!
 印象最悪なのに!

 顔を見合わせた皆さんがきょとんとしてる。


「……は?」

「領地?」

「ばちるた?」

「………………?」


 皆が首を傾げてる。
 最底辺貧乏貴族の名前なんて知らないよね、ごめんなさい。

「……うわあ。ネメド王国で王家の次に有名なバチルタ家を知らないなんて、さすがお兄さまのお仲間ですね」

 エヴィが引いてるのか褒めてるのか解らない!

 しかし有名なのかな、バチルタ家?
 顔面? 借金? 噴火? ぜんぶか!

「い、いえ、あの、バチルタは最底辺なのでご存知ないのは当然かと」

 あわてて進言したノィユの母ノチェが『許可がないのに口を利いちゃった!』 真っ青になってカタカタしてる。

 はい、皆で無言で謝罪だよ。
 父がさっと母に合わせて深々と頭を下げてる。慣れてる。
 ノィユも勿論頭をさげた。角度もタイミングもばっちりだよ!

 ずっと無言の茶色いフードのおじいちゃんが、ぱちぱち拍手してくれた。やさしい。


「ああ、学究の宮では身分関係なく、誰でも発言していいんだよ。でないと研究が進まないからね」

 可愛いお兄さんが微笑んでくれる。

 おお、威厳がある。
 も、もしかしてネメド王国の頂点の一角、高位貴族なのでは──!?

 ビビるバチルタ家に、お兄さんは笑った。

「ああ、自己紹介がまだだったね、僕はニィハ。平民だよ。研究してるのは商業かな」

 ノィユは息をのむ。

「平民の方が学究の宮にいらっしゃるということは、凄まじく優秀でいらっしゃるんですね──! すごいです!」

 ぱちぱち拍手するノィユと一緒に両親も拍手して、瞬いたニィハは照れくさそうに笑った。

「いやあ、平民ですって言って蔑まなかった貴族は、売れ残り仲間の皆以外で初めてだよ!
 へぇ、さすがヴィルが選んだ伴侶だ」

 褒められたヴィルが

「えへん」

 胸を張ってる。


 なんだこの可愛いすぎる伴侶──!






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