【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします

  *  ゆるゆ

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舞踏会編

ご招待




「ヴィルのおひざ抱っこで、朝ご飯を食べたいです!」

 きゅう。

 ヴァデルザ領のお城で、ヴィルのおひざに抱きつくノィユを、軽々抱きあげてくれたヴィルが、ほんのり赤いまなじりで笑ってくれる。

「『あーん』する?」

「するー! ヴィル、大すき!」

「ノィユ、だいすき」

 ぎゅうぎゅう抱っこして、愛しくてたまらない伴侶と、いちゃらぶ、あまあまな、朝ご飯!

 至福!

 これいじょうの、さいわいがあるでしょうか……!

「はー、もう僕、死んじゃいそうなくらい、しあわせ」

 ヴィルの、とびきりいー香りを胸いっぱいに吸いこむノィユに、ヴィルがちいさく笑った。

「俺も」

 ちっちゃなノィユを抱きしめて、笑ってくれる。

 顔がとろけて、心がとろけて、今日も最愛の伴侶しか、見えなくなってく。



「……あのぅ……お邪魔するのは、誠に、誠に申し訳ないのですが……」

 ロダの控えめな声がして、ヴィルもノィユも振り向いた。

「ごめんなさい! 四六時中いちゃいちゃしてるから、声をかけにくいですよね!」

 あわあわヴィルのおひざから降りようとするノィユを、ヴィルのしなやかでたくましい腕が止めた。

「ロダ、なに?」

 ノィユを抱っこしたまま首を傾げるヴィルに、ノィユの頬がふわふわ熱くなって、ロダの白い眉が下がる。

「ネメド王国、王陛下からの召喚にございます」

「…………え?」

 な、何にもわるいこと、してないよ、ね?

 しょ、召喚?

 獣じゃないよ。
 呪文でぱぱっと、ヴィルとノィユが『こんにちは』しないよ?

 目を見開くノィユの隣で、ヴィルが雪の眉をしかめた。

「俺に?」

「ノィユさまにも、王宮まで謁見に来ていただきたいと。至急だそうです」

 いやな予感しかしない──!


「……至急……」

「とりあえず、行って、話を、聞こう。ロダ、用意を」

「かしこまりました。すぐに」

 優秀すぎるロダが、爆速で準備をしてくれて、ツーとホーが元気満タンで張り切って王都まで爆走してくれました!

 はっや!
 すっご!

 ジェットコースターより速くてこわい、でも素晴らしくかわいいツーとホーが魔物まで蹴散らしてくれ、優秀すぎるロダが、倒された魔物をしゃしゃっと集めてくれて、魔法使いゾホや緑の手のメィファのお土産にしてくれました。ありがとう!

 久しぶりの王都だよー!

「おかえりなさいませ、ヴィルお兄さま──!」

 ネァルガ邸にお邪魔した途端、飛びかかるように抱きつく弟のエヴィを、難なく片手で抱きとめられるヴィルがすごい。

「陛下、召喚。ツー、ホー、預かって」

「勿論です! トートが先に王宮でお待ちしています。僕も一緒に参りますね、お兄さま♡」

 目が♡のエヴィに、ヴィルのもう片方の腕に抱っこされているノィユが映っていないようなので、手を挙げてみた。

「お久しぶりです、エヴィさま。お逢いできてうれしいです」

 ようやくノィユを、ちらりと見たエヴィが、ふんと鼻を鳴らす。

「ま、まあ、元気そうで、よかったんじゃない?」

「……えぇ……!? エヴィさま、デレてますよ、どうしました!? どこか具合でもお悪いんじゃ──!」

 あわあわ心配するノィユに、エヴィが目を剥いた。

「なにこの失礼な子──! お兄さま、僕、ひどいこと言われた──!」

 エヴィが泣いて、ヴィルがエヴィとノィユの頭をぽふぽふしてくれる。

「今の、ノィユ、『め』」

 ちょっと雪の眉をあげて、叱ってくれる伴侶も、天使です♡

「ごめんなさい、エヴィさま。心配で」

「……ま、まあ、悪意がない、のは、わかった、けど……ぼ、僕だって、たまには、ツンじゃないんだから──!」

 真っ赤なエヴィが、かわい──!
 さすがヴィルの弟!

「はい、エヴィさま!
 これからも、どうぞよろしくお願いします!」

 深々頭をさげたら

「……うん」

 ちっちゃく頷いて、ぷいと横を向いた。
 耳が真っ赤で、かわいーです!




「……あー、うん、それで、片手に弟を、片手に伴侶を装着してるのかな」

 久しぶりに王宮の防音の部屋で謁見したネメド王ザイアが、遠い目になってる。

「おお! ノィユ! さらに愛らしくなったな! 俺の伴侶になる気になったのか!」

 久しぶりに謁見した王太子ザファの空の瞳が、きらきらしてる。

「お久しぶりです、ザファ殿下。
 僕の伴侶は死んでもヴィル・ヴァデルザ、ただひとりです♡」

 ヴィルの腕のなかで、断言してみました。

 ………………泣いてる。

 ごめんね……!
 でもお断りは、はやいほうが……!

 あわあわするノィユを抱っこし直したヴィルが、首を傾げる。

「何か、用?」

 王ザイアは吐息した。

「それが、頭の痛い話があって」

「何?」

 ヴィルとエヴィとノィユとザファが一緒に首を傾げて、ちょっと楽しそうに笑った王ザイアは、重々しく唇を開いた。

「関係が悪化する一方の敵国ドディア帝国から、舞踏会の招待状が届いた」

「宣戦布告じゃないなら、よかったです。ドディア帝国に睨まれたら、うち、潰れますよね」

 ちょこっと世界のことを勉強したノィユの言葉に、エヴィもザファも頷いて、王が引きつってる。

「……ま、まあな」

 王として、しょんぼりなのはわかるけど、国力の差がありすぎるよ。

 ドディア帝国に敵国認定をされても、ヴァデルザ領の、あの険しい山脈のおかげで放置してくれてるから存続できてるネメド王国!

 そのドディア帝国が、舞踏会?


「王を、招待? 俺は、護衛に?」

 首を傾げるヴィルに、王は首を振る。


「ヴァデルザ領主、ヴィル・ヴァデルザと、バチルタ家次期当主ノィユ・バチルタ、伴侶たるふたりを、ドディア帝国、帝宮舞踏会に、招待すると」





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