55 / 276
あいしょう
ちゅ
あまい音を立てて、くちびるが、さまよう。
「……ん……わか、る……? のーすちゃん」
「……ん……ちょっと、待って」
ちゅ
ちゅ
ふわふわの、のーすちゃんのくちびるが、僕の魔脈を探して、さまよった。
「あー、魔脈というのは体内をめぐる魔力の流れで、さわると自分の魔力ではないものが流れている感覚がわかると思うのですがのう。
そこにこう、唇から、ちゅうっと魔力を注ぐのですな」
やさしく教えてくれる魔導士おじいちゃんに、僕の首に口づけたままのノゥスが軽く手をあげる。
『わかってる』
言いたげな唇は僕から離れることなく、やさしく僕の首をやわらかに噛んだ。
「んん、のーすちゃん、くすぐったい」
「……もうちょっと……」
ぎゅっ
抱きしめてくれるのーすちゃんに
「殿下ぁあアアア──!?」
「真面目にやっていただかないと困るのですが」
ロドお兄ちゃんから闇が、おかあさんから炎が噴いてる。
「責任を取ってもらうことになりますよ」
ゴゴゴゴゴゴ──!
大地を揺るがせる、おとうさんの地を這う声に
「あぁ──!」
「それ言ったら、だめぇええエエ──!」
カイとロドお兄ちゃんが目をむいて
「喜んで取らせていただきましょう」
のーすちゃんが、極上の笑顔になってる。
んんん?
今、ちょこっとお話が、わかりにくくなったね?
なんだか、とっても大切なことをさらっと言われた気がするけど……聞こえなかったということで──!
「い、今の発言はちょっとした錯乱で──!」
「なかったことに……!!」
おとうさんと、おかあさんが全力で訂正してる。
「それで、魔脈は見つかりましたかのう」
いつもの遠い目になってる魔導士おじいちゃんに、うながされた、のーすちゃんのくちびるが
ちゅう
僕の魔脈に、ふれる。
「……ここ……?」
「た、たぶん……!」
ぞわぞわするよ──!
「じゃあ少しずつ注ぐから。ちょっとでも痛かったり、気分がわるくなったら、すぐ言って」
おぉう、ビリビリ電撃かもしれないよね……!
「う、うん。よろしくお願いします」
緊張に、こわばる頬で、うなずいた。
「お願いされた」
のーすちゃんがかすかに笑ったのが、うなじにふれる、くちびるで、わかる。
ちゅ
確かめるように、あまやかに僕の肌を喰んだくちびるから、のーすちゃんの光の魔力が流れこむ。
そっと、そっと、やさしく。
僕を、傷つけないように。
僕を、痛くしないように。
細心の注意を払って注がれるやさしい光が、僕の首から指先まで、そうっと、そうっと満ちてゆく。
「……痛く、ねえ……?」
僕の肌に落ちたささやきに、ちいさくうなずいた。
「へいき」
ちゅ
くちびるが、うなじに、ふれる。
「……きもちいい……?」
僕にしか聞こえない、ちいさな、ちいさな声だった。
ぎゅ
のーすちゃんに抱きついた僕は、そうっとささやく。
「……とっても」
ちゅう
くちびるに、肌を、あまやかに吸いあげられる。
「俺も、すげー、きもちいー……」
とろけるような恍惚をふくんだ、あまい声だった。
「……カイと、どっちが、きもちいい……?」
たわむれに聞くふりで、藍の瞳は驚くほど真剣な光をたたえていた。
ぎゅう
のーすちゃんに抱きついた僕は、もごもごする。
「……わかんない」
「……ほんとに……?」
疑わしそうな、のーすちゃんの背中に腕を回す。
「……2人とも、やさしくて、あまくて、ひんやりしてて、きもちいー」
「……あぁ」
眉をあげたノゥスは、つまらなそうに、つぶやいた。
「あいつも、俺も、ゆーりが、めちゃくちゃすきってことか」
僕のうなじに落ちた言葉は、くぐもって聞こえなかった。
「はいもう充分ですじゃ!
おしまいですじゃ──!」
おじいちゃん魔導士に引きはがされた、のーすちゃんが、ちょっと涙目になってる。
やっぱり、のーすちゃんは、おっきくなっても、かわいーです!
あなたにおすすめの小説
身代わり花婿の従者だった俺を、公爵閣下が主ごと奪っていきました
なつめ
BL
嫁ぐはずだった主人が式直前に姿を消し、従者のルキアンは主家を守るため、主人の身代わりとして花婿役を演じることになる。
だが、冷酷無比と噂される公爵ヴァレシュは、最初の対面から“花婿”ではなく、その横で嘘をついている従者のほうを見抜いていた。
主のために忠誠を差し出し続ける受けと、その忠誠ごと奪い、自分のものにしたい攻め。
身分差、主従、政略、執着、略奪の熱を濃く煮詰めた、じわじわ囲い込まれる主従逆転BL。
攻略キャラを虐げる悪役モブに転生したようですが…
キサラビ
BL
気づけばスイランと言う神官超絶美人になっていた!?どうやらBLゲームの世界に転生していて攻略キャラにきつくあたっていた…
でも、このゲーム知らない
勇者×ヒーラー
愛され方を教えて
あちゃーた
BL
主人公リハルトは自分を愛さなかった元婚約と家族のために無惨に死んだ…はずだった。
次に目が覚めた時、リハルトは過去に戻っていた。
そこは過去のはずなのにどこかおかしくて…
記憶を無くしたら家族に愛されました
レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない…
家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…
おひめさまな俺、帝王に溺愛される
* ゆるゆ
BL
帝王陛下に捧げられることになった小国の王族レイには、大変な問題が──!
……男です。
レイとラザの動画をつくりました!
Instagram@yuruyu0
Youtube@BL小説動画
もしよかったら、プロフのwebサイトからどうぞです!
愛されたいだけなのに
まさお
BL
我儘令息だったノアは一回目の人生で最愛の人からの裏切りの末、殺される。
気がつくと人生が巻き戻っていて人生二週目が始まる。
しかしまた殺される。
何度も何度も繰り返した人生の中で自分が愛されることを諦めてしまう。
死ぬだけの悪役令息に転生したら、待っていたのは攻略対象達からの溺愛でした。
きうい
BL
病でで死んでしまった優は、気が付いたら読んでいた小説の悪役令息として転生していた。
それもどのルートでも十五歳という歳になると、死ぬ運命にある悪役———フィオレン・オーレリウス。
前世で家族に恵まれず、家族愛とは程遠い世界で生きてきた優は、愛されたいという願望を捨て、ひとりで生きることを決意する。
しかし、家族に対して表情と感情を隠し、言葉も発さず、一人で生きて行く術を身につけようと家族から距離をとるフィオレンとは裏腹に、家族や攻略対象達は異常なほどの愛を注ぐ。
フィオレンの知らない所で、小説のシナリオとは正反対の道を辿ることになるも、愛に無頓着で無自覚なフィオレンは溺愛されていき………?
死に戻りを回避したいだけなのに、改変したストーリーは僕を追いかけてくる
犬白グミ
BL
「俺のことを好きだったんじゃないのか?」
僕が転生したのは、死に戻りBL漫画だった。
原作では不憫受けとして死に戻るはずの主人公リカルドだけど、美形で自信満々な逞しい騎士に成長して、なぜか僕を追いかけてくる。
本来の攻めも、なんだか様子がおかしいし。
リカルドが通う魔法学院に入学する資格すらない魔力なしの究極のモブ、それが僕だ。
そんな僕が改変させた物語は、大きく捻れて歪みはじめた。
そして、僕はリカルドに別れを告げて――。
自惚れリカルド × 鈍感なモブ転生者アーロン
果たして死に戻りは回避できるのか?
じれったくも切ないふたりの恋は加速する。
お気に入り、ハート、感想ありがとうございます!
タイトル変更しました。死に戻り小説→死に戻り漫画に変更しました。