悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ

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あいしょう




 ちゅ

 あまい音を立てて、くちびるが、さまよう。

「……ん……わか、る……? のーすちゃん」

「……ん……ちょっと、待って」


 ちゅ

 ちゅ

 ふわふわの、のーすちゃんのくちびるが、僕の魔脈を探して、さまよった。


「あー、魔脈というのは体内をめぐる魔力の流れで、さわると自分の魔力ではないものが流れている感覚がわかると思うのですがのう。
 そこにこう、唇から、ちゅうっと魔力を注ぐのですな」

 やさしく教えてくれる魔導士おじいちゃんに、僕の首に口づけたままのノゥスが軽く手をあげる。

『わかってる』

 言いたげな唇は僕から離れることなく、やさしく僕の首をやわらかに噛んだ。

「んん、のーすちゃん、くすぐったい」

「……もうちょっと……」


 ぎゅっ

 抱きしめてくれるのーすちゃんに


「殿下ぁあアアア──!?」

「真面目にやっていただかないと困るのですが」

 ロドお兄ちゃんから闇が、おかあさんから炎が噴いてる。


「責任を取ってもらうことになりますよ」

 ゴゴゴゴゴゴ──!

 大地を揺るがせる、おとうさんの地を這う声に

「あぁ──!」

「それ言ったら、だめぇええエエ──!」

 カイとロドお兄ちゃんが目をむいて


「喜んで取らせていただきましょう」

 のーすちゃんが、極上の笑顔になってる。



 んんん?

 今、ちょこっとお話が、わかりにくくなったね?

 なんだか、とっても大切なことをさらっと言われた気がするけど……聞こえなかったということで──!


「い、今の発言はちょっとした錯乱で──!」

「なかったことに……!!」

 おとうさんと、おかあさんが全力で訂正してる。




「それで、魔脈は見つかりましたかのう」

 いつもの遠い目になってる魔導士おじいちゃんに、うながされた、のーすちゃんのくちびるが

 ちゅう

 僕の魔脈に、ふれる。


「……ここ……?」

「た、たぶん……!」

 ぞわぞわするよ──!


「じゃあ少しずつ注ぐから。ちょっとでも痛かったり、気分がわるくなったら、すぐ言って」

 おぉう、ビリビリ電撃かもしれないよね……!

「う、うん。よろしくお願いします」

 緊張に、こわばる頬で、うなずいた。

「お願いされた」

 のーすちゃんがかすかに笑ったのが、うなじにふれる、くちびるで、わかる。


 ちゅ

 確かめるように、あまやかに僕の肌を喰んだくちびるから、のーすちゃんの光の魔力が流れこむ。


 そっと、そっと、やさしく。

 僕を、傷つけないように。

 僕を、痛くしないように。


 細心の注意を払って注がれるやさしい光が、僕の首から指先まで、そうっと、そうっと満ちてゆく。


「……痛く、ねえ……?」

 僕の肌に落ちたささやきに、ちいさくうなずいた。

「へいき」

 ちゅ

 くちびるが、うなじに、ふれる。


「……きもちいい……?」

 僕にしか聞こえない、ちいさな、ちいさな声だった。


 ぎゅ

 のーすちゃんに抱きついた僕は、そうっとささやく。

「……とっても」


 ちゅう

 くちびるに、肌を、あまやかに吸いあげられる。

「俺も、すげー、きもちいー……」

 とろけるような恍惚をふくんだ、あまい声だった。


「……カイと、どっちが、きもちいい……?」

 たわむれに聞くふりで、藍の瞳は驚くほど真剣な光をたたえていた。


 ぎゅう

 のーすちゃんに抱きついた僕は、もごもごする。

「……わかんない」

「……ほんとに……?」

 疑わしそうな、のーすちゃんの背中に腕を回す。


「……2人とも、やさしくて、あまくて、ひんやりしてて、きもちいー」

「……あぁ」

 眉をあげたノゥスは、つまらなそうに、つぶやいた。


「あいつも、俺も、ゆーりが、めちゃくちゃすきってことか」


 僕のうなじに落ちた言葉は、くぐもって聞こえなかった。


「はいもう充分ですじゃ!
 おしまいですじゃ──!」

 おじいちゃん魔導士に引きはがされた、のーすちゃんが、ちょっと涙目になってる。

 
 やっぱり、のーすちゃんは、おっきくなっても、かわいーです!






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